Vol.3

UNIQUE

28 FEB 2019

〔中野坂上にズームイン!〕モモガルテンー古民家カフェ

普通のカフェはやりたくない。古民家カフェで思い思いの時間を過ごそう
新宿副都心エリアと隣接する中野坂上。青梅街道と山手通りが交差する場所にある駅周辺には、近代的な高層ビルが立ち並ぶ。ここだけを見れば、“洗練された都会の街”といった印象を受けるかもしれない。しかし、駅から徒歩10分ほど離れてみると、緑あふれる桃園川緑道にたどり着く。閑静な住宅街の間にあり、散歩コースとして地域の方々に愛されている遊歩道だ。

昭和23年に建てられた二軒長屋を“再生”

今回ご紹介するカフェ“モモガルテン”は、そんな桃園川緑道の通り沿いにある。1948年(昭和23年)に建てられた古い二軒長屋をリノベーションし、2013年4月にオープン。年季の入った木材が使われた店内には改築前の面影が残り、穏やかな時間が流れる。壁一面に並ぶ大きなガラス窓から陽が射しこみ、とても心地が良い。その佇まいからモモガルテンは“古民家カフェ”として愛され、遠くからわざわざ足を運ぶファンも少なくない。

動植物が自然に生息できるビオトープ
店外のテラス席近くに目を向けると、水が張られた石の流し台が置かれている。その中でメダカや金魚が悠々と泳いでいた。人の手を借りずとも動植物が自然に生息できる“ビオトープ”である。実は、現在の桃園川緑道は、杉並区から中野区にかけて流れていた旧桃園川に蓋をして生まれたもの。そうした経緯を踏まえ、失われた川辺を再生する目的で、このビオトープが作られたという

ケースワーカーとしての経験を地域に

嘉山隆司さん
お店を切り盛りするのは嘉山隆司さん。新宿区の福祉事務所でケースワーカーとして働いていた経歴の持ち主だ。自身の経験を地域のために活かしたいという思いから、定年退職後にモモガルテンの営業をスタートさせた。
オープンから現在に至るまでの経緯を尋ねると、「隣に自立支援施設があるのですが、もともとはそこを退所された方の居場所になればと、お店をオープンしたんです。ただ、建築家の中西道也さんに改修していただいた建物が“古民家カフェ”と呼ばれて話題を集め、嬉しいことに周辺地域以外からも多くの方々にお越しいただくようになりました。」と気さくに話してくれた。

落ち着いた雰囲気の店内。
お店を訪れるのは、休日をゆったり過ごしたいカップルや、落ち着いた雰囲気を好む女性客が多いという。店内はベビーカーを折り畳まずに入店できるほど広々としていることから、最近では家族連れやお年寄りのお客さんも増えているそうだ。

家族連れでも来店しやすい店内の様子。
調理スペースに隣接したカウンターほか、テーブル席やテラス席も設けられ、おひとりさまでも、家族連れでも来店しやすい印象を受ける。取材時には、お店のスタッフと何気ない世間話を楽しむ常連客もいれば、友達同士もしくは、おひとりで窓際の席に腰かけてゆっくりと食事を楽しむ方々の姿もあった。

自家製「インド風スパイシーポークカレー」に注目

幅広い層の方々からモモガルテンが愛されているのは、“建物が味わい深いから”という理由だけではない。嘉山さんの奥さんが考案した、カレーやパスタ、サンドイッチ、スイーツといった豊富なフードメニューも人気を集めている。

オススメの自家製の「インド風スパイシーポークカレー」
中でもオススメは、自家製の「インド風スパイシーポークカレー(税込:800円)」。タマネギ、ニンニクのほか、クミン、ターメリック、カイエンペッパーといったスパイス類が加えられており、仕込みに半日もかけるという逸品だ。営業中も翌日以降のカレーを仕込んでいるため、店内はニンニクやスパイスの良い香りに包まれている。食欲をそそられること間違いなし。
いただいてみると、スパイスが効いたカレーとサフランライスの相性が抜群。ほどよい辛さで、食べ進めるごとにじんわりと体が温まってくる。嘉山さんにその秘密を尋ねると、カレーにショウガをたっぷり入れているのだとか。添えられたタマネギのピクルスも自家製で、酸味が口の中をサッパリとさせてくれる。
食べ終える頃に教えてくれたのが、「この間、インドカレー屋さんのご主人がお店に来てくれて、うちのカレーをおいしいと褒めてくれました」というエピソード。カレーの本場・インド出身の方からお墨付きを得た味を、ぜひ堪能してみてもらいたい。

スイーツやドリンクメニューも充実

全てが手作りだという自慢のスイーツメニューも見逃せない。モモガルテンの裏庭には柿やびわの木が植えられており、収穫シーズンにはそれらを使ったスイーツを提供することもあるそうだ。

スイーツも逸品が揃う。
スイーツメニューで最も人気なのは、クリームチーズや生クリームを使用した「チーズケーキ(税込:400円)」。タルト生地はサクサクとしているが、中の生地はとてもなめらかで、ミルキーな味わいがたまらない。ハンドドリップで抽出されたコーヒー「モモガルテンブレンド(税込:500円)」とセットで注文することをオススメしたい。ドリンクメニューもバラエティ豊かで、アイスコーヒーやカフェオレのほか、紅茶やハーブティーにチャイ、果汁100%のオレンジ、もも、りんごなどのジュースなどがそろっている。

普通のカフェはやりたくない

嘉山さんとの会話の中で、特に印象に残ったのが「普通のカフェはやりたくない」というお話だった。
その言葉通り、嘉山さんはケアマネージャー(介護支援専門員)の資格を取得し、2019年1月には認知症の方やそのご家族が日頃の相談や情報交換をしたり、地域住民の方々と気軽に交流を深めたりする「オレンジカフェ(認知症カフェ)」を開催。また、落語や沖縄の三線、舞踊といった伝統芸能のイベントも定期的に行っている。そうした取り組みの数々は、さまざまな人が寄り合う“居場所” を作ろうとする意志の表れではないだろうか。

最後に、モモガルテンの展望について話を伺った。「お客さんに何か困りごとがあったときの相談役になれたら。相談というと敷居が高いですけど、世間話の延長のような形で話を聞ければ嬉しいですね。」
築70年を超える建物のレトロな空気感をゆったりと味わうも良し。時には、勇気を出して嘉山さんやお店のスタッフに話しかけてみるのも良いだろう。ぜひ、それぞれの過ごし方で、モモガルテンでのひと時を楽しんでみてほしい。

モモガルテン

住所:東京都中野区中央2-57-7
電話:03-5386-6838
営業時間::11:00-18:00
定休日:月・火・水