Vol.8

MONO

28 FEB 2019

実用性と温もりに満ちたデザインが両立する「POSTALCO ポスタルコ」

2000年にニューヨークのブルックリンで誕生し、その翌年に軸足を日本へ。ステーショナリーや革小物に興味がある人なら、必ず一度は「POSTALCO(ポスタルコ)」の名を耳にしたことがあるはずだ。

初耳な方に説明すると、こちらはプロダクトデザイナーのマイク・エーブルソンさんと、その妻でありグラフィックデザイナーのエーブルソン友理さんが手掛けるプロダクトブランド。財布やペン、レインウェアに至るまで、多岐にわたるアイテムを展開している。

国内の伝統技術を日々の暮らしに活かす途を見出すことを、テーマの1つに掲げている「POSTALCO」。熟練の技術を持つ職人との連携から生み出される品々は、“実用性”に優れているだけでなく、人の手によって作られた味わいと“ぬくもり”に満ちている。使い続けるにつれて愛着が深まり、生活を豊かに彩るプロダクトの虜になる人は数多い。そんな「POSTALCO」の直営店には、いくつものファンクショナルな仕掛けが施されていると聞きつけて、京橋へ向かった。

2016年、京橋エドグランに直営店をオープン。細部まで考えられたファンクショナルな店舗づくり

現在は、京橋に位置する商業施設「京橋エドグラン」内に直営店を構える「POSTALCO」。お店の方に話をうかがったところ、ブランド名は郵便を指す“postal”と、会社を意味する“CO”を組み合わせた造語なのだとか。その証に、ブランドロゴにはかわいらしい伝書鳩が用いられている。
柔らかな光に満ちた店内に配置されている什器は、全てデザイナーのマイクさんが手掛けたもの。モダンな雰囲気と温かみを兼ね備えたデザインは、いかにも「POSTALCO」らしい雰囲気を放つ。貝殻やひょっとこの面、観葉植物などといったコレクションやさまざまな創作物にも、彼のユニークな趣味・趣向が反映されているようだ。
自然光を再現するという意図で製作された照明が、商品の色味をナチュラルに見せてくれる点も嬉しい。スペースに余裕を持たせた陳列方法でありながら、ラインナップも充実。創業から現在にかけて着実に増えてきたさまざまなプロダクトを、手に取ってじっくり吟味できる。加えて、店内各所に設けられた「TRY THIS」という体験コーナーでは、プロダクトの特性やプロダクトの使い心地を確認でき、好奇心を満たしてくれる。なんだか、フレンドリーで居心地の良い博物館へ遊びに来たような感覚を覚えた。

日々の暮らしの視点を変えるプロダクトたち

ひとしきり店内を見渡した後、“日々の暮らしの視点を変える”という観点から、オススメの商品をお店の方にピックアップしていただくことに。はじめにご紹介いただいたのは、ブランドを代表するプロダクトの1つ「リーガルエンベロープ」(税込:28,620円)だ。

こちらは、A4サイズの書類を折り曲げずに収納できる書類ケース。ブランド設立以前からグラフィックデザインの仕事をされていた友理さんのために、持ち合わせの布と革でマイクさんが製作したものが原型となった。最近では書類に限らず、ノートパソコンを収納する人も多いそうだ。約5cmのマチがあるため、収納力は見た目以上。書類が折れないようにガードする芯材が、背部に設けられているのも嬉しいポイントだ。
続いて、バリエーション豊かなサイズ&カラー展開が魅力的な「スナップパッド」(税込み:1,944円~)をご紹介いただいた。

こちらは、A4~A6までの用紙をひとまとめにできるクリップボード。2穴パンチで穴を空けた紙を、約100枚留めておける。ToDoリスト作成にアイディアメモ、落書きなどなど、用途は十人十色。コピー用紙の裏紙なども、これがあればバッチリ有効活用できるという。

その名の通り、留め具として“スナップボタン”が設けられているところも特長の1つ。“パチン”とはめ込むときの音や感触が絶妙で、用がなくても開け閉めを楽しんでしまう(笑)。この心地良さ、ぜひとも店頭で体験していただきたい。
最後にセレクトしていただいた「ミネラルキーホルダー」(税込:14,040円~)は、その名の通りバラエティ豊かな“鉱物”が用いられた品。

深い緑色が美しい苔瑪瑙(こけめのう)や紫みを帯びた鮮やかな青さの瑠璃(るり)、落ち着いたピンク色の薔薇輝石(ばらきせき)など、同じものはひとつとして存在しない鉱物の色や柄に魅了される。さらに、職人が手作業で削り出しているため、少しずつ形が異なっているところも味わい深く愛嬌たっぷりだ。
使い方は、真鍮製の棒で鍵を束ねるだけでOK。よく使うものを端に付けておけば、カバンやポケットに入れた状態からでもサッと取り出せる。鉱物の部分はある程度の重さがあるため、「落とした!」と思ってもポケットの端などに引っかかって、踏みとどまることがあるそうだ。製品をデザインされたマイクさんも想定しなかった、副産物的な機能だという。

企業間コラボレーションに注力

デザインスタジオとしての機能を備え、さまざまな企業とのデザインコラボレーションを行っている「POSTALCO」。店内にディスプレイされていた「モーグルスキーチェア」は、1940年創業の老舗家具メーカー「カリモク」との協業から生まれた製品だ。脚の部分にスキー板のようなパーツがあるため、移動時に滑らせても不愉快な音がしないという特長がある。
「POSTALCO」としては、家具の製造・販売を行うチャレンジの一環として。一方、「カリモク」の職人たちにとっては技術開拓の機会となった。それぞれが持つデザイン力と技術力が相互に良い影響を与え合い、実用的で美しい日用品を生み出す可能性が広がることから、今後も積極的にさまざまな企業とのコラボレーションを実施していくそうだ。

日用品だからこそ手に取って

ご紹介いただいた以外にも、店内には魅力的な商品がズラリと並ぶ。無垢の金属から削り出されたボールペン「チャンネルポイントペン」(税込:37,800円)や、和紙の風合いを残した独自開発素材“ファーマーズ・フェルト”製の「ダブルケース」(税込8,856円)などは、手に取って機能や感触を確かめたくなること請け合いだ。
使用頻度の高い日用品は、生活を共にするパートナー。店舗に足を運んだら、納得いくまで吟味した上で、お気に入りのファンクショナルなアイテムを見つけてもらいたい。日々の暮らしにきっと豊かさを添えてくれるだろう。

POSTALCO 京橋店

住所:東京都中央区京橋2-2-1 京橋エドグラン1階
電話:03-6262-6338
公式サイト:https://postalco.net/index.html