住まいの中で香りのコントロールがしにくく感じるのが、玄関や車の中、ワークスペースといった小さな空間。そんなパーソナルなエリアには柔らかな香りで包んでくれる瓦ソイルディフューザーを使ってみたい。長年屋根の上で暮らしを守り続けてきた瓦が、いまは手のひらサイズとなって室内で穏やかな香りを放つ。瓦が持つ物語とともに、プライベートなスペースを好きな香りで満たしてみよう。
パーソナルな場所の香りは、優しく穏やかなものを
ルームフレグランスやディフューザーなど、香りのプロダクトは住まいに欠かせないアイテムのひとつ。リビングや寝室などを好きな香りで満たし、心地良い芳香に包まれて過ごすことは、住まいを快適にする上でとても重要だと言える。
しかしお気に入りのディフューザーのはずが、場所によっては強すぎると感じることはないだろうか。リビングや寝室に比べ狭い場所、例えば玄関やトイレ、車の中といった限られた空間では、香りがきついとそれ自体がストレスに感じてしまうことも。
暮らしの中で小さなスペースは通り過ぎるだけの場所である場合が多く、つい後回しにしてしまいがち。しかしパーソナルなエリアであるがゆえ、やはり自身を心地良くしてくれる香りを漂わせたい。
わずかな空間をほのかな、柔らかな香りで満たしたいという希望を叶えてくれるのが、icci(イチ)瓦ソイルディフューザー。美しい銀色に光る瓦を使い、住まいに置くだけで静かな空気を醸し出してくれる。オイルを含ませた直後の鮮やかな香りと、瓦に浸み込んだ後の微かな残り香までも楽しめるプロダクトだ。
人々の暮らしを守り続けてきた瓦が、新たなかたちで生まれ変わる
今回ご紹介する瓦ソイルディフューザーを生み出したのは、山梨県笛吹市で1916年に創業し、100年以上も日本の屋根作りを支えてきた「一ノ瀬瓦工業」が展開するプロダクトブランド「icci KAWARA PRODUCTS」だ。
日本の伝統的な屋根材である「瓦」を屋根の上から現代のライフスタイルに似合う素材「KAWARA」として活用し、新たな価値観を提案している。瓦独自の性質を活かしてインテリア雑貨やテーブルウェアなどを展開しており、スタイリッシュなデザインとクラフトマンシップを掛け合わせつつ、経年変化を味わえる瓦文化の魅力を国内外に発信し続けている。
瓦は粘土を型に入れ焼き固めた建築用材であり、最初に日本で使用されたのは588年に創建された飛鳥寺というほど、長い歴史を持っている。耐久性は50年以上、最高品質のものは半永久的とも言われ、防火・耐風・断熱性が高く、長く日本家屋を守ってきた存在だった。身近な存在である瓦だが、実際に手に取り、触れたことのある人は少ないのではないだろうか。
icci KAWARA PRODUCTSが作り出した瓦ソイルディフューザーは、役目を終え廃瓦となったものを細かく砕いた「瓦ソイル」を活用したものだ。多孔質で7〜10%程の吸水性がある瓦の性質を活かし、ディフューザーとして新たに生まれ変わった「KAWARA」を、住まいのパーソナルなスペースに迎え入れてみよう。
パーソナルな空間だからこそ、お気に入りの香りの中で
この瓦ソイルディフューザーを迎え入れて、使う場所として真っ先に思い浮かんだのが玄関だ。室内から屋外へと通り過ぎるだけということもあり、つい見落としてしまいがちなエリア。だが靴を脱ぎ着し、ドアの開閉は限られた時だけになるため、空気はこもりがちになり、香りが気になる場所でもある。
ここに置いた瓦ソイルディフューザーにエッセンシャルオイルをほんの数滴。朝出かける前や、帰宅した際にふわっと広がる柔らかな残り香が玄関に静かに漂う。強過ぎず、弱過ぎることもない、ちょうど良い香りが心地良い。
また、ワークスペースに置くのもおすすめの使い方のひとつだ。砕いた瓦のシルバーグレーの色合いはPC機器の傍においてもオブジェのように馴染み、小さなサイズで場所を取らないのも嬉しい。仕事を始める前に頭がスッキリとするオイルを垂らし、瓦に染み込んでいく様を眺めるのは、集中力を高める儀式のようにも感じられる。
自分の身の周りを柔らかな芳香で包む瓦ソイルディフューザーは、視覚的には落ち着きと静寂を、そして香りで気持ちの切り替えを誘ってくれる。プライベートな時間を過ごすエリアをより一層大切な場所へと変える、香りの効能を味わえるはずだ。
暮らしの隙間も心地良く。瓦ソイルディフューザーをポータブルで楽しむ
普段気に留めることは少ないが、ときどき隙間のようなスポットの香りが気になることがある。例えば車の中。独特な匂いが漂う車中に向けて、多くの市販の芳香剤が展開しているが、どうもデザインが好みではなかったり、香りが好きではない場合が多かった。
そこで専用の香り袋であるサシェを作り、事前にオイルを含ませた瓦ソイルを幾つか入れて、車の中に置いてみた。閉ざされた空間で使うものだから、ほんのりと微かに漂う香りが心地良い。これから気温が上昇し、車内の空気が気になる季節にも活躍してくれそうな予感だ。
またバッグの中もスマートフォンや財布、メイク用品や仕事に必要なものなど、色々なものが集まるもので、バッグを開けた瞬間にその匂いが気になる時がある。ここにもオイルを浸透させた瓦ソイルをサシェに詰めて忍ばせておく。ふわっと漂う香りが広がり、これまで気になっていたバッグの匂いを払拭してくれた。
あるいはワードローブや衣類の引き出しにも活用できる。瓦ソイルを入れたサシェを引き出しに入れたり、衣類とともにハンガーにかけてみよう。洗濯用洗剤や柔軟剤にお気に入りの香りが見つけられなかった人も、好みのエッセンシャルオイルを使用して、いつでも好きな香りで包まれて過ごすことができるに違いない。
瓦ソイルディフューザーが教えてくれる物語
これまで迎え入れてきた香りのプロダクトをはじめ、家のあちこちにあるものたちの背景について、あまり深く考えたことはなかった。だが瓦ソイルディフューザーを手にしてみると、これは今までどこかの家を守り続けてきたものなのだという、感慨深い気持ちを抱く。
長く屋根の上で人々の暮らしを守り続けてきた瓦がその役割を終え、今では姿を変えて自分の住まいの片隅で静かに香りを漂わせている。それは消費されるだけの道具ではなく、物語を持つ存在へと新たに生まれ変わっている。
瓦ソイルディフューザーとの出会いは、身の回りのプロダクトの背景にも目を向けさせ、もっと奥深くに触れてみたいという探求心を呼び覚ましてくれた。これからはものを購入する度に、それらが持つ物語を知りたくなるに違いない。作り手の想いと、素材のバックグラウンドを知ることが、好きなものを長く大切に扱う第一歩となってくれるはずなのだから。
瓦ソイルディフューザー
CURATION BY
31年間暮らした英国から日本へ。海と山と川に囲まれた、小さな村での暮らしが始まりました。