Vol.679

MONO

19 AUG 2025

リネンのタオルで、お風呂上がりに新しい体験を

一日の疲れを癒してくれるお風呂。せっかくリラックスしたのだから、その後も良い気分で過ごして健やかな眠りにつきたいものである。そんな私のささやかな日々の願望に寄り添ってくれたのが、北欧のテキスタイルメーカー「LAPUAN KANKURIT(ラプアンカンクリ) 」のリネンのバスタオルだ。

北欧のテキスタイルメーカー「LAPUAN KANKURIT」

キッチンタオルからショールまで、さまざまなテキスタイルを作っている

LAPUAN KANKURITは、フィンランド西部ラプアの地で織物業を営む家族企業。1973年にユハ・ヒエルトとリーサ夫妻が独立して現社名「Lapuan Kankurit(ラプアの織り手たち)」を掲げたことで、リネンやウールのテキスタイルを専門とする工房として歩みを本格化させた。

「森の湖」をイメージした「minä perhonen (ミナ ペルホネン)」とのコラボ

LAPUAN KANKURITの製品群は、バスタオルやブランケット、サウナ用のテキスタイルからテーブルリネン、スカーフに至るまで多岐にわたり、北欧らしいシンプルなデザインと自然からインスピレーションを受けた柔らかな色調が特徴だ。

現在も工房はラプアの町に根を張りつつ、直営のオンラインショップや世界各地のセレクトショップを通じて製品を届けている。

サウナ発祥の地・フィンランドで生まれたバスグッズたち

サウナピローとサウナカバー
海外で暮らす人々に比べると、日本人はお風呂に入る回数が多いという話を聞く。現に私も以前ヨーロッパに居た際に「日本人は毎日お風呂に入るんでしょう?」と訊かれて軽いカルチャーショックを受けた。どうやら毎日という頻度は、世界的に見るとかなり多いらしいのである。この日本ならではのお風呂文化が風呂椅子や銭湯といった独自のカルチャーを作り出したように、北欧ではサウナ文化がさまざまな製品を生み出している。

自然の中で楽しむサウナはフィンランドならでは
実はフィンランドはサウナ発祥の地。フィンランドは高緯度にあり、夏がとても短い。1年の半分以上が冬なため、血行を良くしたり発汗作用を促すサウナは「健康法」としてとても愛されている。また高温のサウナと寒い外とを行き来してクールダウンを繰り返すことでも発汗がしやすくなるらしい。サウナはフィンランドの気候を上手に使った、理にかなった健康法なのだ。

シラカバの若枝を束ねた「ヴィヒタ」

熱い石に水をかけて蒸気を出し、体感温度を上げる「ロウリュ」も、フィンランドで生まれた。シラカバの若枝を束ねた「ヴィヒタ」で体をたたき、血行を良くしたりリラックス効果を得るのもまた、興味深い独自の文化である。ちなみにフィンランドのサウナ文化は、2020年にユネスコ無形文化遺産に登録されたそうだ。

白樺をイメージしたイラストの描かれたKOIVUのサウナグッズ

同じくフィンランドで産声を上げたLAPUAN KANKURITにも、サウナへの情熱を感じられる製品が揃っている。サウナピローやサウナキャップ、サウナの際に下に敷くサウナカバーなど、日本のメーカーではあまり見ないサウナ用品が取り揃えられているのだ。

さらに私が興味をそそられたのが、さまざまな素材で作られたタオルである。

テキスタイルメーカーだから生み出せる多種多様なタオル

タオル類はレジャーにもぴったり
さすがテキスタイルメーカーだけあって、タオルの種類は驚くほど多い。例えば素材はリネンにコットン、そしてテンセルの混合素材で作られているものもあれば、ウォッシュドリネンのみのものもある。さらにテキスタイルメーカーのLAPUAN KANKURITらしく、織り方に工夫があり、多種多様な表面のデザインや手触りを生み出しているのである。

立体的に織られたTERVAシリーズ
例えばTERVAシリーズはリネン、コットン、そしてテンセルで作られ、立体的な織りの構造とさらさらとした心地のいい肌触りが特徴。USVAシリーズはLAPUAN KANKURITのロングセラーで、ウォッシュドリネン100パーセントで作られたタオルだ。ウォッシュドリネンらしいくたっとやわらかな触り心地が特徴で、デザインもベージュの地にラインが施されたシンプルなもので、飽きが来にくい。

さらさらとやわらかなウォッシュドリネンが使われたUSVAシリーズ
自分好みの使い心地のものを選ぶことができる上、デザインも色も豊富に取り揃えられているから、自宅のインテリアに合ったものを手に取ることができる。

生まれて初めて使ったリネンタオル

淡い色合いが印象的なSAARI
LAPUAN KANKURITと出会う前、バスタオルは体を優しく包み込んでくれるイメージが強い、ふわふわのコットンのものをよく選んでいた。けれども知人に「リネンのバスタオルは一度使ったら手放せないよ」と教えてもらい、試してみることにしたのだ。

リネンのタオルと聞いて私が最初に持った印象は、固くて使い心地があまり良くなさそうという感想である。よく洋服などで用いられている、リネンならではのハリとコシのある質感を想像したのだ。さらにふわふわと厚いコットンに比べると、リネン生地は光に透かしてみれば向こうの景色の輪郭が朧げに見えるほど薄くて心もとなく感じられた。

けれどもその印象は、あまりの使い心地の良さに、あっという間に覆ってしまった。

ヘルシンキの小さい島からインスピレーションを得たSAARI

水色とピンクが作るグラデーションが美しいrose-blueというカラー

私が購入してみたのは、SAARIというリネンタオルだ。フィンランド語で「小さな島」を意味するそうで、水彩画のような繊細なグラデーションが美しく、デザイナーの吉澤葵さんが、アトリエがあるヘルシンキにほど近い小さな島「ハラッカ島」で過ごした日々からインスピレーションを得てデザインしたものらしい。南にまっすぐ伸びる水平線を見て出来上がったというデザインからは、光や海など、自然の瑞々しさを感じることができる。

ウォッシュドリネンのため使い始めからやわらかい
素材はウォッシュドリネン100パーセント。そのためリネンならではのコシはあるが、使いはじめから手に馴染むやわらかさを持っている。

さらにリネンは高い吸収力を持つ素材らしく、お風呂上がりにこすらずとも肌に当てるだけですっと水分を吸収してくれる。それがとても気持ちが良い。以前からかさばらないハンドサイズのタオルを使用していたため、今回も48x70cmを使ってみたが、薄くてコンパクトにも関わらず体の水分をしっかり拭き取ってくれた。

暮らしに寄り添う優れた素材リネン

どんなインテリアにも馴染むUSVAシリーズ
100パーセントリネンが使われたSAARI。リネンは吸収性に優れている上に、水分を蓄える力にも優れた素材らしい。そのため肌に濡れた感覚が残りにくいそうだ。たまに吸収性があまりないバスタオルを使うと、肌の上でずっと水を伸ばしているような感覚になる。それがないだけで、こんなにも清々しく気持ちが良いとは驚きである。

さらに、湿気が多い日本でリネンはとても頼もしい素材と言える。速乾性にも優れた素材なのだ。その上抗菌効果もあり、リネンに含まれたペクチンと呼ばれる成分は汚れにくく、汚れても落ちやすいという特徴がある。

リネン特有の軽さもまた、使い勝手の良さに繋がっていると思う。自宅で使うのはもちろん、プールや海水浴でも重宝しそうなタオルだ。こうした使い手の利便性に寄り添ってか、LAPUAN KANKURITのタオルやブランケットたちは、さまざまな使い方が提案されている。

日差しよけからテーブルクロスまで、いろいろな使い方ができる
バスタオルとして使ったりテーブルクロスとして使ったり、またカーテンのように使うこともできるし、ピクニックのときに芝生の上に敷くこともできる。使う人の想像力次第で使い方が広がる製品たちからは、長く暮らしの中で役に立って欲しいという、LAPUAN KANKURITのものづくりへの精神が伝わってくるように思う。

使い込むほどに馴染むリネン。丈夫だから中でも外でも使える優秀な素材
北欧ならではのシンプルで洗練されたデザイン性はさることながら、リネンを上手に使ったタオルで入浴後をさらに気持ちの良いものにしてくれるLAPUAN KANKURITのタオルたち。

みなさんもサウナの国フィンランドが生んだリネンのタオルを使って、新しい入浴体験を手に入れてみてはいかがだろうか

LAPUAN KANKURIT|ラプアンカンクリ

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