器選びに失敗はつきもの。凝ったデザインで実用性に欠けるコレクションをそっと棚の奥にしまい、普段使うのは無地の白皿を使っている人がいるはず。しかも、その皿がなんとなく揃えた”間に合わせ”で日々モヤっとすることもあるかもしれない。私たちの日常生活の中で、食卓を囲む時間は最も大切なひとときの一つで、そこにはやはりこだわりのある食器があってほしい。今回は、プロユースの食器を製造してきたNIKKOが今の時代にもフィットし、長く愛用できる商品を復活させた「REMASTERED」という商品をご紹介する。
白い食器の使いやすさ
食器といえば、白。
白い食器は、食材の色を美しく際立たせ、料理そのものの魅力を最大限に引き出してくれる。テーブルコーディネートがしやすく、他のメーカーのものも合わせやすい。特にフランス料理のように繊細な色彩のバランスが求められる料理では、白い食器の存在が一層重要になる。
どんな料理でもその存在感を引き立て、食卓全体の雰囲気を一段と上品に演出してくれるのが白い食器の魅力である。
白い食器は日常使いにも最適だ。どんなシーンでも使える汎用性の高さは、忙しい現代人にとって大きな魅力だろう。例えば、急な来客に白い食器でコーディネートすれば、一瞬で洗練されたテーブルセッティングが完成する。クロスやカトラリーを工夫すれば、コーディネートのバリエーションは無限大だ。
老舗食器メーカー「NIKKO」について
NIKKOは、1908年(なんと明治時代!)から石川県の自社工場にて洋食器を造り続けてきた老舗食器メーカーだ。世界中のホテルやレストランで使用されている洋食器を製造し、その品質の高さとデザインの美しさで広く知られている。
石川県の工場では、伝統的な技法を守りつつも、現代のニーズに応えるための新しい試みを続けている。職人たちの手作業による精密な工程と最新の技術が融合することで、唯一無二の製品を生み出してきた。
NIKKOは、長く愛用でき、なおかつデザイン性に優れた日用品にフォーカスして、2021年11月には旗艦店となるジェネラルストア「LOST AND FOUND TOKYO STORE」を渋谷区・富ヶ谷にオープン。厳選した日用品約900点が揃うこの店舗は、NIKKOの哲学を体現する場所だ。NIKKOの製品にかかわらず、世界中から選び抜かれた暮らしの道具たちは、どれもが歴史と情熱が詰まった逸品ばかり。
店舗の近くには、感度の高い人が集まるカフェなどもあって、散策にも楽しい場所。ぜひ足を運んでみてほしい。
NIKKOの「REMASTERED」の特徴
「REMASTERED」は、NIKKO FINE BONE CHINAの新しいコレクションだ。レストランやホテルといった場所で使われるプロユースの食器は、日々繰り返し使われるための強度と、料理人の創造性を引き出すデザイン、そして使い勝手の良さが求められる。NIKKOのプロダクトの中でも、純白で美しく、丈夫な洋食器であるNIKKO FINE BONE CHINAは、妥協のない職人たちの技術によって、多くのトップシェフたちに愛されてきた人気のライン。
この中から現代の暮らしをより豊かに導いてくれるものを選び抜き、再編集(REMASTERED)したコレクションが「REMASTERED」。時代を超えた美しさと使いやすさを兼ね備えた新しい選択肢が誕生した。
「REMASTERED」は、NIKKOの伝統と革新が融合した象徴的なコレクションで、これまでの人気ラインから選び抜かれたアイテムが、現代のライフスタイルに合わせて再編集されたシリーズである。純白の美しさはそのままに、より使いやすく、現代のニーズに応える形で生まれ変わっている。
このコレクションの特徴は、何と言ってもその品質の高さとデザインの普遍的な美しさだ。純白のボーンチャイナは非常に丈夫で、日常使いに耐える強度を持っている。さらに、デザイン面でも細部にまでこだわりが感じられ、一つ一つのアイテムが洗練された美しさを持っている。
REMASTEREDのバックスタンプが表面に
食器好きは「裏」を見る。食器の裏には印刷や型押しをした刻印が記されていることがあるが、こうしたバックスタンプはその製品を知る貴重な情報源なのだ。その食器の背景を知るためのバックスタンプを表にデザインするという斬新な商品が今回のメインディッシュ。
「LOST AND FOUND」店舗オープン1周年を記念し、2022年に伝統的なバックスタンプ「ダブルフェニックス」をアートディレクター・平林奈緒美氏によって“表面”にデザインしたシリーズである。白い食器としての使いやすさはそのままに、ちょっとしたアクセントを上品に配置し、新しい魅力を引き出す一品だ。
「ダブルフェニックス」は、NIKKOの歴史と伝統を象徴するバックスタンプである。これまで裏側にひっそりと刻まれていたこのスタンプを思い切って表面にデザインした第二弾、第三弾のシリーズが「REMASTERED」に加わった。この斬新なデザインは、伝統を大切にしながらも新しい風を取り入れるNIKKOの姿勢を表している。
バックスタンプが表面に出ることで、食卓全体が一段と洗練された雰囲気になる。
真っ新の白い皿だとつまらない。かといって色柄ものは使いづらい。超高級レストランのようなハイブランドは普段使いできない。でも来客時のために枚数は確保したい。そんなわがままを一気に解消してくれるのがこのREMASTEREDのシリーズ。
実は筆者、長年の皿難民で、このREMASTEREDを知るまで納得したものが見つからず、日々モヤモヤしながら生活していた。このバックスタンプのシリーズを見て、一目惚れしたのだ。
シンプルさの中に光る個性。選びたいニュースタンダード
NIKKOの食器部門はSDGsなどの取り組みも盛んだ。スタンダードなものだからこそ、長く使い続けたいという思いがある。そういうものの選び方として、一つの答えが凝縮しているプロダクトだ。NIKKOのREMASTEREDシリーズは、その象徴。時代を超えて愛されるデザインと機能性を兼ね備えた新しいスタンダード。白い食器の魅力と、バックスタンプの斬新なデザイン。豊かで洗練された暮らしを求める方にぴったりの選択だ。
デザインに少しだけ個性を加えることで、食器のシンプルな魅力を一層引き立たせるNIKKOのREMASTEREDシリーズは、その絶妙なバランスを見事に実現している。シンプルでありながらも、細部にこだわりが感じられるデザインは、どんなシーンでも使いやすく、長く愛用できる。
また、NIKKOは製造工程において、可能な限り環境負荷を低減するための取り組みを行っている。持続可能な社会を目指す姿勢は、SDGsの達成にも寄与している。その姿勢が反映されたプロダクトの一つが「BONEARTH」。廃棄されるはずだった皿を粉砕し、肥料として活用するという画期的な製品だ。
SDGsの達成に向けた取り組みを積極的に行い、持続可能な社会を目指す姿勢は、現代の消費者にとって大きな魅力だろう。品質の高さと環境への配慮、そして美しいデザイン。これらの要素が見事に融合したNIKKOの製品は、現代のニュースタンダードとなり得る存在だ。
時代を超えて愛されるデザインと機能性、そして持続可能な未来を見据えた取り組み。これらすべてが揃ったREMASTEREDシリーズは、これから新生活を送る方にもふさわしい、新しい食器のスタンダードとなるだろう。
NIKKO
CURATION BY
料理とアートが好きなコラムニスト&写真家。
毎日、都内をぐるぐる歩き回っていますが、本当はインドア派。
映画を観ながら、作品に合わせた外国の料理を楽しむことにハマっています。