Vol.476

MONO

08 SEP 2023

切り立てを食べられる、まな板になるお皿「CHOPLATE」

フルーツやパンやおつまみなどを、ちょっと切りたい。テーブルの上の料理を、食べやすいサイズに切り分けたい。そんなシチュエーションに最適な、まな板になるお皿「CHOPLATE(チョップレート)」。食材を切ってそのまま食卓へ出せる、CHOP(切る)とPLATE(皿)を組み合わせた革新的なお皿を紹介したい。

CHOPLATEの開発秘話

まな板としても、お皿としても。日常生活で気兼ねなく使える
先行予約の受付初日に1000以上の予約が殺到し、予約受付を休止するほどの事態になったCHOPLATE。このCHOPLATEをどう作り上げたのか。開発エピソードや素材について、企画とデザインを担当したTENTに伺った。

CHOPLATEはBtoB(メーカーなどの注文を受けて、部品を製造し納品する形)で樹脂の成型工場をやってきた河辺商会が「自社商品を作りたい」という思いからクリエイティブユニットTENTに相談するところから始まった。

薄い紙製のパッケージにすっぽり収まる高さ7mmのCHOPLATE
TENTはプロダクトデザイナー治田将之氏と青木亮作氏によって結成されたクリエイティブユニットであり、製品だけでなく世の中へのコミュニケーションの取り方まで、一貫して行っている。TENTについて青木氏は「デザイナー自身が家に帰って自分の暮らしを楽しんでいることが、発想の原点であると考えています。また、試作ができるたびにデザイナー自身が家で何度も使い、本当に自分の暮らしがよくなるかを厳しく見定めていることが大切だと考えています」と話しているが、その発想力と審美眼、クリエイティビティがCHOPLATEにも生かされている。そして、創業66年目を迎え、大手メーカーの自動車や家電などの精密部品を数多く製造してきた大阪のプラスチック成型加工メーカー河辺商会に蓄積されたノウハウが組み合わさり、両社の真摯なものづくりに対する姿勢が、商品の人気に辿り着いた。

左から直径174mm、220mm、260mm

特殊なSPS材を使用

まずはCHOPLATEの原型となる案を決めてから、8ヶ月ほど素材の検討をし、金型を製造してからも素材での試行錯誤を繰り返したという。「CHOPLATEで使用されているSPS材はガラス繊維が混ざった特殊な樹脂素材です。一般的な日用雑貨で多く用いられる樹脂素材と比較して、非常に硬度が高く、耐熱性にも優れています。これらの特性を生かして、包丁を使っても「傷がつきづらい」というまな板としての価値や「電子レンジで使用できる」というお皿としての価値を実現しています」と話す。

吸い込まれそうな不思議なテクスチャー
材料の検討には、かなり多くの時間が使われたと言い、河辺商会が樹脂の成型メーカーであることから、リサイクル材料や、生分解性の材料を使うなど工夫できないかと検討していた。金型の製造ができてから実際の金型を使って、様々な材料を試しました。リサイクル材、生分解性材、アクリル、ABS、ポリカなどさまざまな素材を試したという。ナイフ傷が簡単にはつかない材料ということで、当初からSPS材は第一候補に上がっていたが、作ってみると樹脂と配合しているガラス繊維の流れが、奇妙な模様のようになって表面に現れてしまったそう。初期の試作では完全にマットでシンプルなお皿をイメージしていたため、奇妙な模様が想像とかけ離れていた。

傷も目立ちにくい味わいのある質感
しかし、できたものをとりあえず家で使ってみることにしたところ、実際に食べ物を置いてみたら、あんなに嫌だった模様が、むしろ食べ物を美味しく感じられるような、味のあるテクスチャーに見えてきたそう。「食べ物を置いてみるとよく見える」というのは、眼から鱗、驚きであったと話す。

どんな料理・食材も美しく見せてくれる
SPS材のガラス繊維を配合したときに生じるこの模様は、普通はマイナスに捉え、大手メーカーさんの部品では、この模様をなくすために、わざわざ表面に塗装していたりするそうだ。CHOPLATEはこの模様を生かす形で整えるために、金型に追加工したり温度管理を徹底したり、整形後の歪みを治すために治具(ジグ)の工夫をしたり、さまざまな製造工程を増やすことで完成した。

「『樹脂で何かできないか』という漠然とした相談から数多くのアイデアを提案し対話しながら粘り強く企画を絞り込んだこと。当初の案に固執することなく、製造都合に合わせて臨機応変に形状や素材を変更し続けたこと。そしてこれまで世の中になかった新しい機能を持った製品を発表する際には、一言で伝わる名前と一瞬で伝わる写真など、製品だけでなく世の中へのコミュニケーションの取り方まで、一貫して行えたことが完成まで辿り着いた強みであると思います」と話す青木氏。シンプルなCHOPLATEには奥深い誕生秘話が隠されていた。

積み重ねて収納も可能

まな板になるお皿とは

一人用の小皿として使いやすい174mmは重宝するサイズ感
素材がSPS材であることを活かし、包丁を使っても「傷がつきづらい」という「まな板」としての価値や、「電子レンジで使用できる」という「お皿」としての価値を両方実現している。

中心から広がった独特の模様とザラついた表面仕上げを施し、この素材にしか出せない質感と固さで、ナイフ傷も目立ちにくくなっている。一般的なまな板と同じように、ある程度のナイフ傷はつくが、使用感も味わいとして楽しめるテクスチャーだ。また、SPS材は軽量で高硬度であり、叩けばカンカン音がするほどの十分な固さを持ちながら、落としても割れない柔軟さも合わせ持つ。家庭での日常使いはもちろん、屋外でのキャンプでも使え、食器洗い機での洗浄はもちろん、電子レンジにも対応している。

買ってきた揚げ物もカットしてそのまま電子レンジで温め可能

電子レンジで温めたらそのまま食卓へ
用途に合わせて選べる3つのサイズも特徴だ。一人用の小皿として使いやすい174mmと、切り分け用の中皿として使いやすい220mm、そして大皿として使える260mmの3つのサイズがあり、料理やシチュエーションに合わせて使用できる。複数枚を使えば、お肉と魚、チーズとパンなど、使い分けてカットすること可能。調理中にまな板を何度も洗い流す必要がなく、お皿として重ねることもできるので、食器棚にも綺麗に収納できる。

耐熱温度200℃で食洗機の乾燥機能も問題なし

お皿としての美しさ

青木氏は「CHOPLATEは『まな板になるお皿」という点が目立つ特徴ではあるのですが、それらの機能性と『お皿としての美しさ』が両立できているという点が1番の特徴だと考えております。SPS材特有の模様や硬さ、表面仕上げ(シボ)の質感などによって、焼き物のお皿のような印象も感じられる仕上がりになっています。プラスチック製の食器にチープな印象を持たれている方にこそ、一度手にとっていただきたいなと思っております」と話す。

お酒をいただくときの、おつまみ用のプレートとしても
先述の通り、SPS材の独特なテクスチャーが、食材をおいしそうに引き立ててくれるため、和食も洋食も中華までも、そしてフルーツやお菓子、パンなども食材を選ばず料理を美しく見せてくれる。ブラックとストーングレーの2種類があり「ブラックは食材の鮮やかさを最も引き出すことができる色として最初に発売されました。ストーングレーは『明るい色も欲しい』という要望に応えて多くの色を試作検討した結果辿り着いた色で、明るいグレーでありながら、SPS材特有の繊維状の模様を活かすことができています。どちらも、その色と質感から『樹脂と言うよりは石のように見えるので料理によく似合う』と多くの方から評価をいただいています」と青木氏は教えてくれた。

また、細部にもこだわっており、CHOPLATEの縁は切りやすく食べやすい絶妙なカーブになっており、お皿として扱いやすく、まな板としても成立するようなデザインだ。僅かな曲面をお皿の周辺に施すことで、液体が滴れることなく、食材をカットするときにも邪魔にならない最小限の高さに設計しているという。

手間も洗い物も少なくなる

日常のワンシーンを新しく

260mmのCHOPLATEは24cmのホールピザも入る大きさ
お肉やお魚、野菜など食材ごとに何度もまな板を洗うという、毎日の些細なストレスから解放され、まな板からお皿への盛り付けをシームレスにし、今までの日常のワンシーンが新しい瞬間になるCHOPLATE。

切ってそのまま盛るだけで完成切ってそのまま盛るだけで完成
料理と食事をシームレスにすることで、ステーキやハンバーグを鉄板の上で食べるようなライブ感が生まれ、テーブルの上で直接サーブできるので、フレッシュな味わいを楽しめるかつ、いつもの料理も特別感、高揚感も生まれる。揚げ物や刺身など、洗い物が少なくなるだけでなく、揚げたて、切り立てをサーブできることで日常を豊かな時間にしてくれるのではないだろうか。形の崩れやすい素材もそのまま出せるから、切ったままの綺麗な形がキープできる。日々忙しい我々にとって、一人で食べるためのパンやフルーツやチーズなど、わざわざまな板をだしてお皿に盛る必要がないものをCHOPLATEなら楽しむことができ、料理と食事の時間を彩ってくれる。

毎日手にしたい機能性とビジュアル。一枚使えば虜に

朝から夜まで、食卓のシーンが豊かに
楽だけどきちんと料理が映える新発想のお皿CHOPLATE。CHOPLATEがあれば、一枚で「切る」「盛る」が完結するだけでなく、電子レンジで温めて、カットして、そのまま食べた後は食洗機へ。全てを一貫させてくれる唯一無二のお皿である。ブランチに作ったピザをそのままカットしよう、夜はお酒を飲みながらチーズやサラミをほしい分だけカットしよう、など使い方やシチュエーションを考えるのも楽しい。是非一枚手に取ってみてはいかがだろうか。

CHOPLATE

CHOPLATE 税込1,870円
CHOPLATE 220mm 税込2,970円
CHOPLATE 260mm税込3,850円

https://tent1000.com/choplate