周りの世界から一歩距離をおき、その世界に迷い込み、没頭できる読書。ストレスの解消にもなり、さまざまな知識が増え、想像力が高まるなどさまざまなメリットがあるとも言われているが、積み重なった読みかけの本を横目に、やらなければいけないことに追われ、読みかけの本がそのままになってしまう毎日。そんな状況のなかで、出会ったのがAIMA(アイマ)のブックエンドだ。読書をより価値のあるものに、読書時間を増やしてくれるブックエンドの魅力を紹介したい。
長年読書に携わる会社だからこそ制作できたブックエンド
「AIMA」は、大手総合印刷会社・大日本印刷株式会社が展開するブランドで、「生活の合間(あいま)時間を良質な読書時間に」することをコンセプトに、ブックエンドやマグカップなど、読書がより楽しくなる商品を制作している。
AIMAのコンセプトは下記の通りだ。
読書、してますか?
「大人になるにつれ、より深く、より濃密に、「読むこと」が楽しめるようになったものの、読書時間は非常に貴重なものになったのではないでしょうか。日々の生活のアイマに生み出す読書時間は大変価値のあるものです。今一度「本を読む」ことに対して真剣に考え、より一層貴重な合間時間(読書時間)を楽しんでもらえるような読書時間演出ブランド「AIMA」は誕生しました。
あなたの日々の貴重な合間(AIMA)時間を全国各地の光り輝く技術、人、アイデアによって、楽しく、知的で、そして自由な読書時間に演出します。良質な読書時間をあなたに」
1ヶ月に1冊も本を読まない人は6割だという。そのうちの半数以上は「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」という理由だと聞く。読書時間を日常に楽しく取り入れるためにはどうしたら良いのだろうか。そのヒントを、AIMAブランドマネージャーである猪俣穣威氏に、ブックエンドの開発の背景とともに伺った。
「大日本印刷としては長年にわたり本を作ることで読書には携わってきましたが、別の切り口として、プロダクトから読書時間をより良いものにしていただきたいという想いから、AIMAを立ち上げました。読書をテーマにプロダクトを開発していく中で、より本に近いところにあるブックエンドはブランドのイメージを作っていくためにも必ず作りたい商品でした。ブックエンドは脇役的な存在になってしまいがちですが、読書する空間にブックエンドがあることで、読書時間をより楽しんでもらえるような存在感のあるブックエンドを目指したいと思い、このブックエンドを完成させました」と話す。
一枚板の真鍮から作られるブックエンド
一見、シンプルでミニマルなブックエンドだが、これにはさまざまな秘密が隠されている。
このブックエンドは、まず一枚板の真鍮から作られたということに注目したい。別々の板を一枚にくっつける溶接ではなく、つなぎ目がなく一枚板で繋がっており、一枚の板をそのまま折り曲げる「深曲げ」だからこそ出せる滑らかなカーブが特徴。猪俣氏はブックエンドの素材と色に対して下記のように述べている。
「従来のブックエンドは本の重みで倒れてしまい、煩わしさを感じることが多かったのですが、厚みのある真鍮を使用することで安定感を出せると思い、真鍮を選定しました。黒色と金色を使った仕上げ加工を施し、黒はパティーナと呼ばれる硫化燻し技法により表面を黒くし、重厚感のある仕上げにしています。金はサティーナと呼ばれ、細いラインを入れて上質なサテン生地のような印象の仕上げにしています」
重厚感のあるその佇まいは、遠くから見ても近くから見ても、どの角度から見ても美しい。バランスの取れた端正な表情はまさに芸術品のよう。控えめに輝く上品な金色のため、金色でもどんなインテリアでも馴染みやすく、また黒色はセミマットな質感で、こちらも生活空間に溶け込んでくれ、加工の一つ一つにこだわったAIMAのブックエンドは、読書時間をワンランクの上のステータスに昇華してくれる。
「ちょっとした合間に読める本」に合わせて作られたというサイズは2種類あり、Sサイズ(幅100×奥行45×高さ100mm)は単行本等、Mサイズ(幅120×奥行55×高さ120mm)は雑誌等というように、好きなサイズを選んだり、ブックエンド組み合わせたりも可能だ。両方ともスペースをとらない小ぶりな大きさのため、日常空間にお気に入りの本を置き、ふとできた合間時間に読書を楽しめるサイズ感になっている。
ブックエンドの製作、パッケージ制作まで担う葛飾区の町工場
真鍮の加工は東京葛飾区にある創業から52年の町工場・富士産業が行なっており、金属加工の中でも特に真鍮素材で様々な挑戦を行なっている工場である。一つひとつ職人が手作りしており、AIMAが目指すものづくりへの想いや考えが重なり、一緒にブックエンドを作っていくこととなったと猪俣氏は話している。
歴史ある町工場には珍しく若い社員が多く、彼らの多くは、「ワクワクするような物づくりがしたい」という夢を持って入社しているそう。子どものころから手を動かすのが大好きで、好奇心旺盛な職人が集まっているのが特徴だという。そんな職人の技が光るブックエンドからは、手作業のこだわりが見受けられる。
また、工場の空気を感じるパッケージもポイントの一つ。ブックエンドを包む包装材は、もともと素材である真鍮の一枚板を包んでいた未晒クラフト紙をカットして再利用したものであるという。粉砕されたスポンジを圧縮した「チップスポンジ」を梱包のクッションに用い、ねじ箱をモチーフにしたケースに納めている。製造過程で出る無駄をなくしたSDGsを意識したパッケージと、ラグジュアリーなブックエンドとのギャップさえも美しく、こだわりがつまった逸品と言える。
本が生活空間にあるということ
読みかけの本が積んである状態の筆者は、AIMAブックエンドがあることで読書、本への意識が変化した。まずは重厚感、存在感のあるブックエンドにさまざまな本を置きたいという気持ちで本を読むスピードも早くなり、読書時間を意識的に増やすことに成功。読みかけの本を積み上げていくことを回避し、読みかけの本やこれから読む本を空間に美しく置くことができ、本をブックエンドに置いて本という物質を今までより知覚することで、日常に読書時間を浸透させることもできた。
AIMAのブックエンドによって、WEB記事や電子書籍が主流となっている今、本という紙だからこそ味わえる読書時間を日常生活で楽しめるようになったのだ。
また、タイトルに惹かれて買った新しい本、何年も何度も読み返しているお気に入りの本、しばらく読みかけだった本、全ての本一つひとつに対してていねいに向き合うことができ、日常空間にお気に入りの本が見える位置にあることは、忙しく目まぐるしく回る生活の中で、心の健康にも繋がっていくことがわかった。
美しいブックエンドで読書時間を作る
本以外にも、たまにはアクセサリーやお気に入りのオブジェなどを置いてみたりと、異なる使い方を楽しめるのもAIMAのブックエンドの魅力であると猪俣氏は話している。忙しい日々のなかで、コンパクトなブックエンドがある生活は、物質的にも心理的的にも一度忙しい日常の中で立ち止まることを教えてくれ、読書という何にも変え難い至福の時間を作ってくれる。2023年が始まってまだ3ヶ月、今年のちょっとした合間時間は、AIMAブックエンドとともに読書を楽しんでみてはいかがだろうか。
AIMA ブックエンド
CURATION BY
東京生まれ。フリーライター・ディレクター。美しいと思ったものを創り、写真に撮り、文章にする。