Vol.331

MONO

19 APR 2022

生活空間に、ささやかな魔法を。手のひらサイズの名作照明「パンテラポータブル」

この数年、自宅で過ごす時間が圧倒的に増えた。プライベートも仕事も、気がつけば今、ほとんどが「おうち時間」。そんな毎日の中で、気持ちのON/OFFを切り替えることが難しくなってしまった、という方も多いのではないだろうか。仕事とプライベートとの境界が曖昧になってきたからこそ、その線引きをはっきりとさせたいと、私たちは以前より強く願っている。そんな思いを叶えてくれるのが、充電式のコードレスランプ「パンテラ ポータブル(Panthella portable)」だ。独特の柔らかい光とフォルムで、日常のひとときに魔法をかけてくれる、小さな名作照明を紹介する。

約50年前に生まれた名作照明シリーズ

ルイスポールセン「パンテラ ポータブル」
2020年にリリースされた、ルイスポールセン(Louis Poulsen)の「パンテラ ポータブル」。デンマーク人デザイナー、 ヴァーナー・パントン(Verner Panton)による照明シリーズ〝パンテラシリーズ〟の最新作であり、最小モデルだ。

1971年設計の、歴史あるデザイン。〝パンテラシリーズ〟は、一目でそれと分かる特徴的な見た目と、確かな人気から、名作照明シリーズと言って差し支えないだろう。柔らかな曲線と、下方へ放たれる優しい光は、唯一無二。誕生から約50年経った今も、テーブルランプからフロアランプまで、世界中のファンに愛されている。

生き物のようにも見える特徴的なフォルム
半球型シェードから伸びる華奢な脚が、地面に向かって自然に広がっている様子は、まるで大地に根を張る木の幹のよう。また、半透明な乳白色に透ける光が、照明という本来無機的なプロダクトに、有機的な印象を与えているのが面白い。

大げさかもしれないが、まるで生き物の体温のようなあたたかささえ感じられないだろうか。キノコか、クラゲか、それとも木か。それはまるで意志をもつ何かのようで、ランプという用途を超えて、大切にしたい気持ちを湧き起こさせる。

「パンテラ ポータブル」は、そんな〝パンテラシリーズ〟の雰囲気を、そのままコンパクトにしたようなモデルである。

直径160mmと、手のひらに乗る小さなサイズ。しかしそれでも、歴史ある名作シリーズとしてのオーラを、十分に感じることができるだろう。

「パンテラ ポータブル」は手のひらに乗るサイズ感

部屋ではなく、人を灯す。ポータブルを超えて

「パンテラ ポータブル」は、その名のとおりポータブルランプである。最新のLED光源に10%・33%・100%・OFFの段階調光機能が組み込まれていて、シーンを選ばないのも嬉しいポイントだ。USB充電式で、フル充電時は100%点灯させても、約5時間光が持続する。

ほとんどのランプは常にインテリアの一部として存在しているが、「パンテラ ポータブル」は、そうではない。室内電源に依存せず、コンパクトなので持ち運びも簡単。ベッドサイドに、ダイニングテーブルに、時にはベランダなど屋外に、シチュエーションに応じて好きな場所で使用することができる。

時には屋外へ持ち出して
ただポータブルランプというものは、今時珍しいアイテムではない。「パンテラ ポータブル」よりも価格が低いモデルも、また連続点灯時間が長いモデルもあるだろう。

この照明の優れた点は、やはり、その佇まいにあるのではないだろうか。

独特の丸いフォルム、つるんとした質感、そして柔らかく滲む光は、おとぎ話の世界のようで、どこか非現実的。「パンテラ ポータブル」は、その非現実的な佇まいにより、“どこへでも連れて行ける”というより“どこまでも連れて行ってくれる”ようなランプだと、筆者は思うのだ。

特徴のある有機的なデザインがそうさせるのだろうか、「パンテラ ポータブル」は、記憶の中の心地よい光を想起させる。

つい喋りすぎてしまった月明かりの夜や、ひとつの傘の下で誰かと歩いた、雨の日の昼。やや不十分だが、柔らかく繊細な光は、そんな美しい記憶にもリンクするのだが、大げさだろうか。

だからこそ「パンテラ ポータブル」は、部屋ではなく、人を灯すようなランプである。その小さな光が照らすのは、家具や壁ではなくて、自分自身。現実の忙しさから抜け出し、少しだけ遠くに連れて行ってくれるような優しさが、「パンテラ ポータブル」にはある。

持ち運び、光を灯せばどこでも、そこはあなたの居場所になる。ただのポータブルランプを超えた魅力が、「パンテラ ポータブル」には詰まっているようだ。

USBで充電すれば、電源のない場所でも使用可能

照明のONは、気持ちのOFF

ここ数年、住まいの役割は、曖昧になってきた。テレワークが増え、これまで「リラックスできる空間」だった居住スペースが、「仕事をする空間」になってしまった方も少なくないと思う。

「パンテラ ポータブル」は、多くの役割をもつ部屋の表情を、シーンごとに簡単に切り替えるツールとしてもおすすめだ。

その日の仕事を終えたら、部屋のシーリングライトを消して、代わりに「パンテラ ポータブル」を灯してみよう。
先ほどまで細部が見えていたはずの部屋は、たちまちその表情を変えるだろう。パソコンや書類など、日中目にしていた要素はひっそりと静まり、自分の側だけを柔らかな光が照らす。「仕事をする空間」は、これで「リラックスできる空間」としての役割を取り戻すはずだ。

個人的な話になってしまうが、私はフリーランスで、主にパソコン仕事なので、基本的には一日中自宅の一室で過ごしている。そうなると困るのが、生活のメリハリだ。夜、仕事を終えても、なんとなく仕事モードを引きずってしまって、あまりリラックスできない。

そんな時に出会ったのが、この「パンテラ ポータブル」だった。

どんなインテリアにも溶け込むデザイン
もともと照明が好きな私。同じくルイスポールセンの「PH5 mini」やフロスの「GLO-BALL BASIC 2」、「BRERA」など、部屋ごとにお気に入りの名作照明はあったものの、ポータブルタイプは初めて。

電源に依存しないので、自分が普段仕事をしているデスクでも邪魔にならず、ポンと置いておくことができるのが魅力的。最初に点灯した時、そのあまりの癒しの効果に、驚いたことを覚えている。計算されつくした光は、じんわりと温かく、自分の中へと広がっていく。そしてそれと同時に、自分の中の仕事モードが消えていくのを、感じることができた。

「パンテラ ポータブル」は、照明のONが、気持ちのOFFになるような、不思議なランプだ。

それはまるで、ささやかな魔法のようでもある。

仕事に疲れて部屋やデスクを片付ける気力がなくとも、このランプはボタンを押すだけで、現実とあなたを程よい距離に置いて、優しく癒してくれるだろう。

ボタンを押せば柔らかな光が広がる

多くを語らない光で静寂を楽しむ

仕事を終え、照明を灯す。照明のON、気持ちのOFF。その後このポータブルランプをどこに持ち運び、「リラックスできる空間」でのどのようなシーンで使おうか、具体的に考えてみたい。

たとえば、食事や晩酌にも、相性がいいだろう。

「パンテラ ポータブル」をテーブルの上に置いて、パートナーや友人と、プライベートな時間を楽しむ。その光は私たちの顔を必要以上には照らさないので、 会話をするとき、相手の顔色を窺わなくてもいいし、話題に詰まって無言になることを恐れなくてもいい。心地よい静寂を楽しめるような絶妙な距離感を、このランプは演出してくれそうだ。

大切なプライベートの時間のお供に
あるいは読書の時間。

「パンテラ ポータブル」は部屋の生活要素を視界から隠し、本と自分だけを繋いでくれる。直径160mmの小さな傘の下、そこだけに集中する光は、文字の間の世界へとあなたを引き込んでくれるだろう。

眠る前の自分だけのひとときに灯しても素敵。必要最低限の光に心落ち着く、贅沢な時間だ。

テーブルランプとして読書にも最適

静かな時間をこの光と過ごしたい
やや不十分な照度は、しかし暗すぎることはなく絶妙な塩梅で、その光が届く狭い範囲に柔らかな世界を広げるだろう。

その小さな光は、多くを語らないが、心地よい静寂を演出する。ほっとする空間へとあなたを連れ出し、気持ちを優しく満たしてくれるはずだ。

日常にささやかな魔法をかけて

「パンテラ ポータブル」で日常にささやかな魔法を
今の生活にメリハリをつけたい方や、自分のために、より心地よい時間を作りたい方は、是非「パンテラ ポータブル」を試してみてほしい。

手のひらサイズの名作照明で、生活空間にささやかな魔法をかけてみよう。今まで気が付かなかった自分の居場所が、きっとそこに、柔らかく広がっているだろう。

パンテラポータブル

https://www.louispoulsen.com/
34,100円(税込)