Vol.139

MONO

16 JUN 2020

部屋に新しい風景を。北欧ブランド「MOEBE」のフレーム

家具は充実しているのに、部屋がどこかものさびしく感じるとしたら、それは壁が殺風景だからかもしれない。なにか絵を飾ろうか…と考えて探してみるが、これといって飾りたい絵が見つからない場合もある。なによりも、その時々で自由に変化する自分の美意識を大切にしたい。そこで見つけたのが、絵画を飾るだけでなく、草花など様々な物を飾ることができる、「MOEBE(ムーベ)」の「FRAME(フレーム)」。一人暮らしの部屋の風景を充実させるとともに、部屋の新しい魅力に気付くことができるアイテムだ。

デンマークのデザインスタジオMOEBEの考え抜かれたフレーム

MOEBE FRAME A3
MOEBEは、デンマークのコペンハーゲンを拠点に活動を行う気鋭のデザインスタジオだ。建築家であるマーティン・ドゥ・ネアガード・クリステンセンとニコラス・オールドロイド、家具職人のアンダース・タムスの3人が2014年にブランドを立ち上げ、自社で設計しながらプロダクトや家具、インテリアの制作を行っている。

そのデザインはミニマリズムを徹底的に追求し、シンプルで美しい。構造も緻密に計算され、余分な要素を削ぎ落としながらも、新たな機能性が備わったプロダクトを提案している。これにより「MOEBE」のアイテムは部屋になじみながらも、空間を引き立てる存在になり得ているのだ。

フレームはかなりシンプルな構造だ
MOEBEを代表するアイテムFRAMEは、従来の額縁とは異なり台紙がなく、背景が透明なキャンバスになるインテリアプロダクトだ。

枠の一片を持ち上げるとラバーバンドが伸び、枠の形状を保ちながら簡単に2枚のアクリル板をはずすことができる
FRAMEの構造は至ってシンプルで、2枚のアクリル板を4つの枠材で挟み、それらをラバーバンドで固定するだけで組み立てることができる。

ラバーバンドを外すと、枠もバラバラに
枠材を解体してみると、接着剤や金具を一切使用していないことに驚く。修繕やリサイクルも簡単にできるアイテムなのだ。シンプルなパーツで飾りたいものを挟むだけなので、面倒な台紙の用意も必要なく、簡単に額装が完了する。

何気ないものを、フレームに入れてみる

FRAMEが画期的である理由は、実際に飾ってみることで発見できるだろう。まずは飾るものを用意しよう。

回は普段は枠に入れることのない葉をチョイス。あらかじめ乾燥させ、水分は取り除いておく
2枚のアクリル板で挟むことができる薄いものであれば、収めるものはポスターや絵以外のものでも、なんでもいい。植物の場合は、もらった花や育てている草花を乾燥させたり、押し花にしたり。どんな仕上がりにするか想像しながら準備する時間も楽しめるだろう。

今回は大きな葉を1枚
飾りたいものをアクリル板の上に置き、ポジションを調整する。四角いものではないので、ラフに配置してもいい具合にポジションがきまる。

ポジションが決まったら、もう1枚のアクリル板を上に乗せる
上下のアクリル板がきっちり揃うように挟んだら、枠の溝に差し込んで固定完了。あらかじめ枠をゴムバンドで固定した上で、1片ずつずらしながら差し込めば、誰かの手を借りなくても簡単にアクリル板を枠に入れることができる。

壁にかけてみる
さらに、固定用のゴムバンドの上辺を伸ばせば、フレームを壁にかけるための紐になる。ここまでシンプルなのに、欲しい機能面はしっかりフォローしてくれている。

殺風景な壁にかけてみると、壁の雰囲気がガラリと変わる
この部屋の場合一面がカラー壁紙となっているが、そこにFRAMEを飾ることで、透けて見える壁の色がたちまちキャンパスになる。飾った葉が宙に浮いているように見えるのが不思議で、さわやかな美しさがある。いままでの額縁では感じたことのなかった感覚だ。

飾ることで見えてくるもの

せっかくなので、このFRAMEに他のものも入れてみよう。

別の葉をフレームに入れた
先ほどとは違う植物の葉。こちらを壁にかけて楽しむのもいいが、すこし置き場所を変えてみよう。

窓際に横位置で置いてみる
日に透けた葉は、そのシルエットの美しさはもちろん、鮮やかな緑色とともに細かな葉脈まで見せてくれる。手のひらを太陽に透かして見た時に生命体であることを感じるように、植物もまた尊い生命なのだと感じさせてくれる。このように、場所や飾り方を工夫するだけで、同じものでも全く別の表情を楽しむことができるのだ。

旅先の古本屋で手に入れたゲームマップ
続いて両面印刷されているマップを入れてみよう。背面も透明であることで、表面だけでなく裏面からも楽しめるようになる。裏側からも見ることができるとなると、飾り方の幅も広がるだろう。

部屋にある置物に立てかけても良いかもしれない
壁にかけたり立てかけたりする以外にも、立体物に立てかけたり、吊るしてみたりすることで、角度を変えて見れば両面を楽しむことができる。このように飾るものや飾り方を工夫することで、自分の中にあるクリエイティビティを発揮しながら、新鮮な視点を発見できるはずだ。

部屋の風景を楽しめば、もっと部屋が好きになる

A3サイズのほか、A2、A4、A5サイズがあり、カラー展開も幅広い。今後も集めていきたいフレームだ
MOEBEには、「良いデザインとは、それ自体がサステナブル(持続可能なもの)である」という信条があるという。実際にFRAMEを使ってみると、プロダクトの各パーツから、使い勝手の良さ、何を入れても美しく見せられるデザイン性の高さといったすべての点において、サステナブルの要素が感じられた。

自分が好きだと思うもの、形や色に魅力を感じるものを探して、フレームにレイアウトする面白さはもちろん、コーディネーター気分でその見せ方を考えるという面白さもある。空間の魅力を探しながら飾るものを考える行為は、自身の感性を磨くことにつながるだろう。その時の季節や気分に合わせて、部屋の新しい風景を創作していこう。

MOEBE FRAME A3

色 / オーク
サイズ / W31.7×H44×D1.2cm
素材 / オーク材・アクリル板・ゴム
原産国 / デンマーク

¥8,000(税別)

https://nomadinc.jp/brand/moebe