Vol.9

KOTO

28 FEB 2019

新生活に向けたシンプル&ミニマルな暮らしを整理収納のプロに聞く

まもなく春ですね。新しい部屋で新生活を迎える方は、どんな部屋にしよう、どんな暮らしにしようかとワクワクしているのではないでしょうか? そんな新しい部屋づくりに、片付けと収納は必要不可欠。そこで今回は、シンプルライフスタイリスト・整理収納コンサルタント「SIMPLUS」の森山尚美(もりやま・なおみ)さんに、ミニマルの視点から、気持ちのいい暮らしを長続きさせるコツを伺いました。

大切なのは、モノよりも空間・余白

お話をお伺いしたのは整理収納のプロ・森山尚美さん

気持ちのいいミニマルな暮らしを叶えるためには、ただモノを減らせばいいというわけではありません。多くの選択肢があり豊かな時代である一方で、選択肢が多すぎて何を選べばいいのかわからなくなってしまうことも。大切なのは、自分が気に入ったものに囲まれた豊かな暮らし。そのために、不必要なモノを減らすという手段を取る必要があるのです。
まず森山さんは、モノや情報が溢れた現代の生活において、自分の意思でしっかりと選択することで生まれる空間と余白の大切さを訴えかけます。
また不必要なモノを減らすことで、掃除がラクになり、きれいなお部屋を保つことができるだけでなく、それらを管理する手間を省けることにつながります。今まで管理に費やしていた時間も自由時間として使うことができます。
視界に余計な情報が入らなくなり、自由な時間が生まれると、心が解放されるはずです。モノにも情報にも縛られないゆとりのあるマインドは、やりたいことに向かって行動したり、知的好奇心を満たしたり、身近な人と笑って過ごす豊かな時間へと繋がっていきます。

片付けはどこからスタートするかがポイント

なかなか手放せないモノってありますよね? 例えば服、本・書類、手紙や写真などの思い出の品です。いかがですか? 思い当たる方も多いのではないでしょうか。
ただ、いざモノを減らそうと思っても、どこから手をつけていいかわからない、と思っている方もいることでしょう。やみくもに服や本から片付けを始めると、思い入れのあるモノも多く、挫折しかねません。

まずはクローゼットや押入れの奥に眠っていた、長い間放置して使っていなかったモノから片付けましょう。こうすることで、手放すことに慣れるのです。少しずつでも片付けていくことで、だんだんスッキリとして気持ちよくなってきます。それができれば、いよいよ思いの詰まった洋服や本にトライしてみましょう。意外なほど「もう必要じゃない!」と思えて手放せるはずですよ。

なにが部屋に似合うのか?大切なモノだけをピックアップ

皆さんは、上質でスタイリッシュなホテルに泊まるために旅行の準備をするとしたら、どんなモノを持っていきますか? 服はお気に入りの着心地のよい美しいモノ、本はめくるたびに心が踊るワクワクするモノ、コスメは上等ないい香りのとっておきのモノ。ペンやノートは、使い慣れた、上質なモノを少しだけ……こんな感じになるのではないでしょうか。
部屋でも同じことが言えるでしょう。荷物の整理をすることは、今よりももっと素敵なライフスタイルを過ごす、新たなステージへ導きます。たくさんのモノの中から「使っていない、いらないモノを探して手放す」のではなく、「本当に好きなモノ、新しい部屋でぜひ使いたいモノを選ぶ」、そんな気持ちで取り組みましょう。
洋服なら、ステキな新しい部屋でそれを着ている自分が想像できるか。本なら、新しい部屋でも必要な知識や教養を与えてくれるか。小さなモノ一つでも、それが新しい部屋に似合わなければ、持ち続ける必要はありません。
「また使うかも」と考えると不安になる方もいらっしゃるとおもいますが、大丈夫です。本当に必要になったら、新しい部屋に似合うモノをまた買えばよいのです。モノは、あなたの暮らしを彩って、助けてくれるサポーターです。しっかりと、役に立ってくれる有能なサポーターだけを連れて行きましょう。

ミニマルに使いやすく、美しく。モノをスタンバイさせるのが、整理収納

シンプルでスタイリッシュなお部屋では、モノを出しっ放しにするより、なるべく見せない、扉に隠す収納を心掛けましょう。でも、扉を開けたら中がゴチャゴチャ、それではシンプルライフとは言えません。モノはあなたのサポーターですから、使いたいときにサッと使えなくては、意味がありません。
いつでも使えるように、いかに取り出しやすく、そして戻しやすく収納するかがポイントです。戻しやすいということは、片づいた状態をキープしやすいということ。美しい状態を、キープしやすくなるはずです。

収納こそ、シンプル・イズ・ベスト

巷には、さまざまな種類の収納グッズが溢れていますが、変わった使い方のモノや専用のモノなどは必要ありません。シンプルで余計な装飾のない、ただの「箱」が有効です。しまいたいモノや、収納スペースに合ったサイズの箱をそろえて、見た目も美しくスッキリと配置してみましょう。
収納を作るときにも、「余白」が大切です。余白、つまりゆとりがあると、モノを出したりしまったりがしやすいので、片づいた状態をキープしやすくなります。

そして、ごみ箱や時計、ティッシュボックスなど、出しておきたいモノは、お気に入りの美しいモノを選びましょう。美しい日用品は、それ自体がオブジェになってくれます。あなたのセンスで選んだ、あなたらしい日用品を飾るようにしておくと、スタイリッシュなホテルのようなお部屋が出来上がります。

さいごに

ミニマルの考え方を取り入れたシンプルなライフスタイルは、見た目の美しさだけでなく、時間のゆとりを生んだり、マインドを明るく変化させたりと、メリットがたくさんあります。ぜひお部屋の片づけをきっかけに、気持ちのいい新生活を迎えましょう。
森山さんは、片付かない原因や問題点を見つけ、モノとのかかわり方から見直す整理収納アドバイザーの1級資格を持つ整理収納のプロです。11年間の専業主婦の経験を活かし、「もっと素敵に、私らしく暮らしたい」方へのお片づけレッスンや各種セミナーの講師として活動。「整理収納からはじめるシンプルライフ」を様々な方へ伝えています。
「SIMPLUS」整理収納コンサルタント森山尚美さんブログ
https://ameblo.jp/moriyamanaomi/ 

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