Vol.63

KOTO

11 SEP 2019

部屋で過ごす時間に余白を作る。お香の定期便「OKOLIFE」

大人の雰囲気を纏う素敵な人に出会うたびに、自分を省みて相応かそれ以上の嗜みを身につけたくなる。そんな時こそ踏み入れたいのが「お香」の世界である。ただ香りを楽しむだけではなく、奥深い「和の香」の知識を得ながら上質な香りを体得する。なかなか高尚な趣味かもしれないが、それを自分のペースで、自分が落ち着ける場所で気軽に楽しめたら、日常の感じ方もほんのり変わるかもしれない。そこで紹介したいのが「OKOLIFE」というサービスだ。今、この時代に香の道を知る。その意味とは何だろうか?

自宅で手軽に。「OKOLIFE」で知るお香の文化

現代は香水やルームフレグランス、アロマ、スティックや円錐タイプのお香、香り袋、香木など、和洋問わずさまざま香りのアイテムがある。日本の香りの歴史も古く、1400年以上前に仏教とともに香木を焚く文化が中国から入ったと言われている。

香の文化が日本で独自に生まれたのは、約500年前の室町時代のこと。同時代に誕生した茶道や能などの芸道とともに、東山文化のひとつとして「香道」が誕生し、体系的に発展していった。まさに日本文化の奥深さを知るにふさわしい趣味であるが、香道は茶道や華道などのポピュラーな芸道に比べると、教えてもらえる場所はそこまで多くない。ビギナーにとってはいささかハードルが高い習い事だ。

香道では「組香」という古典文学を盛り込みながら聞き分ける遊びを行う。10人ほどが集まりゆったり時間を過ごしながら、季節を感じ教養を身につける。
だからといって、諦めるには勿体無いほどの魅力がお香にはある。香道では香木という芳香を放つ木を焚き、匂いを「かぐ」のではなく「聞く」。この「香りを聞く」という特有の表現は、作法の上達や道具の審美眼を身につけること以前に、さまざまな香りを味わい聞き分けて楽しむという香道の精神の本質を表している。

つまりこの本質さえ押さえていれば、自宅でお香の趣味を始めるのも“アリ”なのである。
忙しくても和の文化や精神を知り、自分自身を高めたい。そんな現代に生きる我々のライフスタイルに寄り添い、手軽に上質な和の香りに出会えるサービスが誕生した。それが「OKOLIFE(オコウライフ)」である。

上質なお香とデザイン性の高いパッケージが生み出す、和の香りの新たな価値

日常がパッと華やぐ。OKOLIFEのパッケージデザイン。
2019年7月から本サービスを開始した「OKOLIFE」は、毎月10本のお香とともに、お香についての知識を深めることができるリーフレットを届けてくれる、お香の定期便サービスだ。いわゆるサブスクリプション方式を取り、お香というモノだけでなく、お香を焚くこと・知識を得ることといった文化体験も提供している。
香木、植物、動物、漢薬、合成香料といった様々な香原料から作られるお香は、白檀(びゃくだん)や沈香(じんこう)などの香木を用いることが多く、それが “お香らしい香り” にさせている。

お香と聞くと、つい「お寺っぽい」「古くさい」香りのイメージを連想してしまう。しかし「上質なお香を知れば、それだけでは無いことがわかるはずです」と語るのは、「OKOLIFE」を監修している香木専門店「麻布 香雅堂」代表の山田悠介さんだ。


「お香は食品や化粧品と違って、原材料を明記する必要がないものです。安い合成香料を使えば、1箱100円程度でも提供できてしまう。でも、僕らが提供するのは“本気のお香”。質の良さに自信があるからこそ、原材料や割合も明記しています」と、200年の伝統の系譜を受け継いでいるからこその自信を漲らせる。
実際にパッケージ裏の成分表を見れば一目瞭然。天然素材の使用率が100%のものを中心に、毎月違う香りを提供している。月々¥2,475(消費税、送料込)で10本入りと考えると、最高級品の部類に入ることがわかる。

また、「OKOLIFEは、もともと“お香という文化を持続させる”ことを起点に誕生したサービスです。若い人達にも、気軽にお香の文化に触れて楽しんでほしい」と考え、リーフレット・テキスタイル・封筒・専用マットのビジュアルを、気鋭の女性クリエイティブユニットhesoに依頼。

香りとともに毎月違うアートワークが届き、リーフレットは読み物としてだけでなく、オリジナル線香スタンドの専用マットとして見て楽しむことができる。その色使いや形の躍動感は、お香でありながらフレッシュさやシズル感すら醸し出してくれるから不思議だ。

お香を楽しみながら自然と身に付く、日本文化の知識

お香の文化を知りたくなったら、定期便の具体的な商品内容が気になるところだ。

香りの原料となる現物ピースも届けられる。
まず初回のみ届くのが、アクリルと真鍮でできた線香スタンド、保管ケース、お香がおさまるオリジナルケース、ライターの4アイテムだ。お香のある暮らしをすぐにでも始められる内容となっている。

リーフレットは片面が読み物、もう片面がお香スタンドの模様替えに使えるアートワークがプリントされている。
そして暦のイメージにぴったりな香りのお線香(10本)と香りそのものの知識や日本文化、香りの楽しみ方などの情報が載ったリーフレット、そしてマメ知識とともに香りの原料となる現物ピースの3アイテムが毎月届けられる。

最高級のお香を聞くことができる上に、知識がつき、見た目にも美しい。楽しみながら利用しているのに、利用して1年経つ頃には「気づけば自然と教養が身についていた」というメリットもあるかもしれない。

お香を日常に、自分らしく取り入れる

いざお香を始めるとなったら、日常でどのように使えば良いのだろうか?

「アロマは効能が明らかにされていて、香りの意味づけや使い方がはっきりしています。一方でお香は明らかにしていないからこそ、香りの感じ方や使い方はその人次第。本を読むときに楽しんだり、お風呂に入る時に使ったり。自分のライフスタイルに合わせて自由に楽しんでみてほしいです」と山田さん。

一方で原さんは「日本文学に登場する香りと照らし合わせてみて、物語が描かれた当時の人が感じていた香りを想像する、なんていうロマンチックな楽しみ方もいいですよね。マインドフルネスに興味がある方は、瞑想に利用してみるのもいいかもしれません」と提案する。

なるほど、いろいろな使い道がありそうだ。

もともと様々な香りのアイテムを所有し、気分転換やリラックスしたい時などに使い分けている筆者。お香の「焚く時間」に注目し、デジタルデバイス・デトックスに使えるのではないかと考えた。
さっそく実践。9月の香りは「待宵(まつよい)」といい、永い時の流れ・積み重ねを感じさせる荘厳な香りだという。成分は沈香と白檀で、天然の香木100%。いわゆる香道的な香りだ。焚き始めると想像以上に柔らかな香りが空間に広がって驚いた。これが本物のお香か。

線香1本の燃焼時間は約25分。その間はデジタルデバイスを閉じて、浮かんできたアイデアをノートに書き留める時間に充ててみる。

お香を焚くことで空間の雰囲気がガラリと変わり、長い時間ではないのに深い集中ができた。これは良いかもしれない。

余白と気分をデザインする。お香のある暮らし

付属ライターで火を点けるのも良いが、マッチで点けるのもいい。
自宅で上質なお香を嗜むことは、日本文化とともに自分らしさを再発見することにつながる。

さまざまな情報が溢れ、ビジネスでもプライベートでもインプットしてばかりの日々で、新しいアイデアを生み出すためには、余白の時間を作ることが重要だ。お香はそれを可能にしてくれる上に、空間を上質な香りで満たし、部屋の中にいる人の気分を模様替えしてくれる。

みなさんも、お香のある暮らしを始めてみてはいかがだろうか。

OKOLIFE

公式サイト/オンライン販売:https://oko-crossing.net/okolife/

麻布 香雅堂

OKOLIFE ショールーム
住所:東京都港区麻布十番3-3-5 香雅堂ビル
TEL:03-3452-0351
営業時間:10:00~18:00
定休日:日曜・祝日(その他 臨時、夏季、年末年始休業あり)

取材協力
「麻布 香雅堂」代表 山田悠介