Vol.51

KOTO

19 JUL 2019

パリ本店を訪問。現代に復活した伝説の美容薬局「BULY」

“自分らしさ”とは、どこからにじみ出てくるのか。ファッション、インテリア、仕事のスキル、立ち居振る舞い…どれも大切だが、美容へのこだわりにも力を入れたいところだ。美を磨き、身だしなみを整えることは、気分や雰囲気をつくり出してくれる。そんな人とは違う個性を引き立たせる、伝説の総合美容薬局がフランス・パリにあった。

歴史あるコスメブランドの再生がもたらした、美への新しい感覚

ヨーロッパには数多くの歴史ある薬局が存在する。エストニアのタリンには600年以上の歴史を持つ市議会薬局(Raeapteek)、イタリアのフィレンツェには400年前に薬局として開業した教会、サンタ・マリア・ノヴェッラなどが最古の薬局として名を連ねている。

パリ6区・ボナパルト通りにある「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」本店の外観。
もちろんフランスも然り。パリ1区には、300年近くの歴史を持つパリ最古の薬局ベルナール・デローヌもある。そんな中で今回注目したのが、200年以上前のパリで「香水と香り酢の魔術師」として名声を上げていたジャン=ヴァンサン・ビュリーの薬局だ。
実はビュリーの薬局は長い眠りについていたブランド。そしてアーティスティック・ディレクターのラムダン・トゥアミとビューティー雑誌『Corpus』 の編集長であるヴィクトワール・ドゥ・タイヤック夫妻によってリブランディングされ、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)として蘇ったのだ。

自分自身の雰囲気を作る、フランスの香水文化

香水の本場フランス。そこでは高い技術を持つ調香師たちによって、無数の香水が生み出されてきた。そのため、赤ちゃんの頃から香水をつけたり、思春期に親から似合う香水を見立ててもらいプレゼントしてもらったりといった文化もあるという。それも男女問わずである。

現にフランス人の友人(男性)も、母親からプレゼントされた香水を15年近く使い続けているという。特に高級な香水ではないが、確かに彼らしい雰囲気の香り。それだけ香水が、個人的かつ個性を表現する重要なアイテムだということがわかる。

水性香水「オー・トリプル ヘリオトロープ・デュ・ペルー」
一方で人の個性や魅力を演出する香水も、キツく香ってしまうと、場所によっては疎まれ、人を近寄りがたくさせることだってある。しかし、ビュリーの香水は状況や人を問わず楽しめるほどに柔らかく香る。自分と、自分のパーソナルスペースに入った人だけに香る香水。それが、アルコールを使わない、ビュリーが独自開発した世界初の「水性香水」なのだ。

肌に直接吹きかけると、純度の高い乳液状で化粧水のようにしっとりと馴染む。豊潤な香りは、時間が経っても酸化した様な香りに変化せず、1日中楽しめるのもいい。覆い隠すのではなく、人の本質にしっくり馴染む上質な香水。そのものづくりの姿勢に、初代から受け継がれてきた香りへのこだわりとプライドが伺える。

香りの儀式で気分をリセット

ブティックの壁には天井まで届く重厚なウォールナッツの什器が。棚の中にもずらりと商品が並ぶ。
現在のビュリーは老舗の総合美容専門店として自然由来の原料の使用にこだわり、昔ながらの製法を守りながらも、革新的な美容技術を取り入れた商品開発をしているという。香水の他にも、ボディオイルや石けんなどのビューティーケアアイテム、部屋の雰囲気を演出するホームフレグランスアイテムなど、香りにこだわった個性的なアイテムを展開している。

フレグランスマッチ 「アリュメット・パルフュメルトゥール・デジプト」
その中でも特にユニークなのが、こちらのフレグランスマッチ。消臭効果に優れた、新しいタイプのエチケットアイテムだ。

木の部分にジャスミン、アンバー、ムスクなどの複雑に絡み合う花々と珪化木の神秘的な香りが染み込んでいる。
部屋の不快な臭いが気になったらマッチに火をつけ、部屋に広がるように煙をひく。すると、燃えた木のにおいとともに、香りがほんのり部屋に広がるのだ。実際にやってみると、どこか儀式めいていて、魔術を使っているような気分にさせてくれる。

家に帰り、仕事モードからリラックスモードに切り替えたいときなど、部屋の香りと気分をリセットするのにぴったりのアイテムである。

ブランドを特別なものにしてくれる、One to Oneのサービス

美容薬局の伝統を受け継ぐビュリーでは、まさに調剤薬局のように、症状に合わせてその人に合うオイルを選んでくれるOne to Oneのサービスも行なっている。

柔らかな光が差し込む店内でスタッフが文机に向かい、丁寧に施されるカリグラフィー。
さらに、ラベルに名前や商品名をその場で記入してくれるカリグラフィーサービスがあるのも嬉しいポイントだ。専用ペンとインクを使ったクラシカルなスタイルで、人の手によって書かれる美しい文字。数分の緊張感のある時間はどこか心地よく、見ているこちらも一緒になって集中してしまう。

カリグラフィーを施したラベル、は商品を入れる箱に貼られる。香りのいいボディオイルもおすすめ。
こうしてスタッフから個人に向けて行われるOne to Oneのサービスは、どこか特別に扱われている気分にさせてくれる。自分へのプレゼントにはもちろんのこと、大切な人へのプレゼントにも喜ばれることだろう。

ビュリーで見つける、自分の美意識と個性

人とは違う個性は、周りを意識して鎧のようにまとうものではない。男女問わず使えるビュリーのアイテムは、その人が持つ美意識を引き出し、個性として表現させてくれる。それが自信につながり、やがて他者との関係性にも目を向ける余裕を持たせてくれる。

毎日使う身だしなみを整えるアイテムこそ、そのあり方を一度見直してみてはいかがだろうか。

OFFICINE UNIVERSELLE BULY PARIS ボナパルト店

住所:6, rue Bonaparte 75006 Paris France
営業時間:10:30~19:00
定休日:日曜日

OFFICINE UNIVERSELLE BULY TOKYO 代官山店

住所:東京都渋谷区恵比寿西1-25-9 B1F
営業時間:11:00〜20:00

公式サイト:https://www.buly1803.com/jp/