Vol.263

KOTO

24 AUG 2021

グランピングとは何か。おしゃれに嗜むアウトドアのすすめ

2020年に三省堂の新語大賞に選出された「グランピング」は今もなお多くの人の関心を集めている。グランピング施設は今や全国に広まりつつあるが、新しいアウトドアの形であるグランピングをまだ経験したことがない人や、よく知らないという人も多い。今回はグランピングの基本や魅力についてお届けしたい。まずはグランピングがなぜ人気なのか、また従来のキャンプとは何が違うのかについてご紹介しよう。

「グランピング」とは快適で贅沢なキャンプ体験

グランピング施設には必要なものが用意されている

アウトドアを優雅に楽しむ「グラマラス・キャンプ」

グランピングは英語の「glamorous」と「camping」を組み合わせた造語であり、直訳すると「華やかなキャンプ」となる。グランピングの発祥には主に2つの説があり、1つはモンゴルの遊牧民が暮らす住宅である「パオ」がルーツだという説。もう1つは1900年代のヨーロッパが起源だという説だ。ヨーロッパ起源説では、貴族が植民地を旅するときに、テントに豪華な家具や調度品を置いて快適な空間をつくったことが始まりだとされている。

現在、グランピングは主に「テント設営を行わず、快適な施設に宿泊して優雅に料理を楽しむ」といった手間をかけないキャンプのことを指しており、日本では2015年ごろから注目されるようになった。世界に比べると、日本ではまだ新しいスタイルのアウトドアといえる。

質の高いサービスと快適なキャンプ体験を一度に

グランピングにはあらかじめテントやコテージが準備されているため、自分でキャンプ用品を持ち込むことなく身軽に宿泊ができる。快適な部屋の温度管理や、温泉・食事が用意されているなど、ホテル並のサービスを提供している施設も多い。ラグジュアリーな気分を味わえるだけではなく、自然を感じながらバーベキューやたき火を手軽に楽しめるのもうれしい。こうした手軽さと満足度の高さから、ここ最近はグランピングのニーズが高まり、グランピング施設が全国に増えているのだ。

グランピングと本格的なキャンプの違いとは

グランピングとキャンプの大きな違いは、道具や知識、経験が必要かどうかだ。キャンプはすべての準備を自分で行わなければならないが、グランピングにはその必要がない。ここでは、グランピングとキャンプの違いを詳しく説明する。

テント設営に火おこし。すべてを自分で行うのが「キャンプ」

安全な火おこしには知識と経験が必要。それに意外と時間がかかる
キャンプで必要となる準備には、どんなものがあるだろうか。まず、キャンプをするためには必要な道具をそろえ、それらを車で運ばなければならない。キャンプ場に到着したら、速やかにテントの設営を開始することになるだろう。食事の準備をするためには、火おこしから行う必要がある。想像するとすぐにできそうに感じるかもしれないが、慣れない初心者にとってはどれも時間がかかり、休暇の過ごし方としては少々ハードに感じるかもしれない。

キャンプとグランピングでは、設備の充実度や快適さにも大きな差がある。キャンプにはお風呂がないのはもちろん、テント内に大きな虫が入ってしまうことも。テントの寝心地次第ではぐっすり眠れない可能性もある。キャンプの終盤には、もれなく片付けが待っていることも忘れてはならない。

キャンプならではの楽しさをグランピングで手軽に味わう

もちろんキャンプならではの楽しみもある。キャンプの一番の魅力は、ゆったりと流れる時間の中で大自然を満喫できること。時間に追われる日常から離れて、自分に時間をたっぷりと使うことで、心と体にゆとりを持つことができるだろう。また、明かりのないキャンプ場で灯すたき火の明るさと音、ぬくもりは、なんともいえない癒やしとなる。

さらに、キャンプで外せないのが、一般的にいわれる「キャンプ飯」やバーベキューだ。凝った料理は必要ないため、普段料理をしない人でもキャンプ飯づくりを楽しめる。火をおこして食材を焼き、外で食べるという工程が加わるだけで、料理がいつもよりずっとおいしく感じられ、キャンプを満喫できるに違いない。

これらのキャンプの楽しさをもっと手軽に味わえるようにしたものが、グランピングなのだ。

グランピングでの宿泊は、タイプが選べるのも魅力

グランピングでの宿泊は主にテント型、トレーラーハウス型、コテージ型に分けられる。ここではそれら3つの宿泊スタイルをご紹介しよう。

キャンプらしさと快適さを両立する「テント型」

室内から外の景色が見えるドーム型テント
グランピングはキャンプと同じようにテントを使用することもあるが、その場合、キャンプとはまったく違うタイプのテントを使う。グランピングでは、鈴の形のようなベル型テントや、ドーム型テントなどの人気が高い傾向にある。スタイリッシュなテントの見た目や充実した内装は、アウトドアとは思えないほど快適な空間を実現してくれることだろう。テント内にはソファやベッドが完備され、テレビまで用意している施設もある。

キャンプのテントとは違う豪華さを持ちながらも、鳥のさえずりや虫の声が聞こえることもあり、キャンプと同じように自然を満喫できるのもうれしい。

居住感がありおしゃれな「トレーラー型」

トレーラーの中は見た目より広々としている
トレーラーハウスを利用したトレーラー型の人気も高い。トレーラーハウスはけん引されて動くもので、運転席が存在しないのが、自走できるキャンピングカーとは異なるポイント。運転席がない分広さを確保でき、定住することが目的であるためほとんどの場合シャワーやトイレ、キッチンが完備されている。テントよりも隔離された空間になるため部屋にいるような感覚に近く、プライベート感を強く味わえる。外観も内観もアメリカンな雰囲気を漂わせているものが多く、海外のようなグランピングの雰囲気を味わいたい人にもおすすめだ。

初心者にもおすすめの「コテージ型(ヴィラ型)」

まるで別荘のよう。コテージで優雅な時間を過ごしたい
コテージは一戸建てを貸し切る別荘感覚の施設であり、ヴィラと呼ばれることもある。シャワーやベッド、空調など、ホテルのような基本設備が整っており、部屋が複数あることも。屋外で宿泊するのが苦手な人やキャンプ初心者の人でも、快適な空間に宿泊し、バーベキューや自然を満喫できるのがメリットだ。バンガローやロッジと似た言葉だが、バンガローにはシャワーやトイレ、ベッドなどの設備がない。ロッジはコテージとバンガローの中間的な位置づけで、コテージとは設備が異なる場合があるので注意しよう。

グランピングに必要な持ち物や服装とは

グランピングは最低限の荷物で気軽に出発できる

グランピングは持ち物がシンプル

グランピングでは、キャンプで必要な用品や道具を施設が用意しているため、通常の旅行に持っていくものだけを用意すればよい。また、キャンプでは日焼け対策や虫よけ対策が重要だが、施設が整ったグランピングでは最低限の用意で済む。

また、キャンプといえば動きやすく汚れてもよい服装が定番だ。しかも、汚れや気温に合わせて頻繁に着替えなければならないこともあり、多くの着替えを持っていくことになる。しかし、グランピングでは清潔な施設に快適な空調が用意されていることが多いため、自分が好きな服を最低限持っていけばよい。カジュアルな服装はもちろん、施設や過ごし方に合わせてリゾート感のある服装も楽しめる。

グランピングなら季節問わず。冬でも楽しめる

冬の星空は格別、満天の星に癒やされて
冬に行うキャンプでは寒さ対策の荷物を多く用意しなければならず、さらには冬のキャンプのための知識も必要になる。しかしグランピングなら、寒さや設備面での心配をしなくてもよい。グランピングの場合は安全に宿泊するための場所と、暖房器具がすでに整っているからだ。自分たちで用意しなければならないものは移動時の防寒具くらいで、あとは他の季節と変わらないだろう。

冬のグランピングには他の季節とは違う魅力がたくさんある。たとえば、たき火やまきストーブで暖をとったり、冷えた体を温泉であたためたり、透明度の高い星空を楽しんだり。あたたかい部屋で、冬ならではのアウトドアを楽しむことができる。キャンプにつきものの虫がいないのもうれしい。

冬のグランピングにおすすめの服装

グランピングは暖房設備が整っているため冬でも気軽にアウトドアを楽しめるが、移動時や屋外での活動を考えて、防寒に最適な服装を持っていきたい。アウターは防寒性の高いもの、また重ね着できるトップスも用意したい。あたたかいインナーやレギンス、靴下、ニット帽も必需品だ。また念のため、使い捨てカイロを持っていくと安心だ。

大自然に囲まれてくつろぐ贅沢体験をグランピングで

大自然に触れることは最大の癒やしになる
グランピングの一番の魅力は「大自然を手軽に、快適に満喫できる」こと。キャンプに比べて、ほぼ手ぶらに近い状態で行けるのもうれしいポイントだ。グランピングの施設にはそれぞれ違いがあり、自分の好みにぴったりなものを選ぶことができる。キャンプに興味があり、アウトドアを気軽に楽しみたいというのなら、グランピングは誰でも簡単に非日常を満喫できる魅力的なアクティビティだ。日常の騒がしさから離れ、心ゆくまでグランピングを楽しんでみてはいかがだろうか。

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