Vol.95

FOOD

14 JAN 2020

PostCoffeeが教えてくれた、自分にあったコーヒーの嗜み

朝の一服に、出勤後のスイッチオンに、午後の休憩に、寝る前のリラックスタイムに。日頃の生活の中で、私は何かとコーヒーを手にしている気がする。日常的にコーヒーを飲む人の中でも、味や香りを意識して飲んでいる人と、特別な理由なく習慣として飲んでいる人がいると思うが、私はどちらかというと後者の方だった。もっとも身近なコーヒーはコンビニの100円コーヒーで、たまにペーパードリップに挑戦する程度。到底、「コーヒー好き」とはいえないかもしれない。
そんな私でも、話題のコーヒーショップに立ち寄って、自分が日頃飲んでいるものと比べ物にならないくらい風味豊かで美味しいコーヒーを手にすることがある。

そして心の奥底では、特別な日以外でも、美味しいコーヒーを飲み続けたいと思っている。自力でお気に入りの豆を選べたなら、その日の気分や体調に合わせて品種を変えることができるだろう。欲を言えば、朝飲むコーヒーと仕事中に飲むコーヒーは別のものを選びたい。合わせる食べ物との相性も考慮できたらこれ以上求めるものはない。

リラックスタイムのおともに、お気に入りのコーヒーを飲みたい
しかし、たまたま美味しいコーヒーに出会うことはあっても、自分の力で美味しいコーヒーを選べたことは、これまでになかった。どのように選べばいいのか、誰に聞けばいいのかもわからないまま、手の届きやすいところにあるコーヒーを飲み続けてきてしまったのだ。

けれど知識がゼロに近い状態からコーヒーのことを勉強するには、時間もお金もたくさんかかりそう。コーヒーに詳しい友人が、私のために毎月オススメの豆を届けてくれたらいいのにと思う。

コーヒーは玄関先のポストに投函される
「PostCoffee(ポストコーヒー)」は、そんな希望を叶えてくれるサブスクリプションサービス。ウェブサイトやアプリから、スペシャルティコーヒーの注文ができ、玄関先まで豆を届けてくれる。しかもLINE@を通じて豆のレコメンドを受けられるサービスもある。

取り扱う豆は、すべてスペシャルティコーヒー。スペシャルティコーヒー豆とは、高い品質で栽培・管理・輸送された豆のこと。生産国や栽培方法などが正確に把握できているコーヒーであることが認定を受けるための条件だ。

パーソナライズされたコーヒーのある日常

実際にPostCoffeeのバリスタによってレコメンドされたコーヒーを日常に取り入れてみた。今回は、朝・仕事中・夜の3つのシチュエーションで楽しめるように3種類のコーヒー豆を選んでもらった。

ゆとりを持って起きれた朝は、ベーグルと一緒にお気に入りのコーヒーを飲む
1日のはじめに朝ごはんを欠かさないことを伝えると、パンによく合う味わい深い豆をセレクトしてくれた。Brazil Cachoeira da Grama(ブラジル カショエラ・ダ・グラマ)は、ローストアーモンドのような香りがする香ばしいコーヒーだ。

目覚めのコーヒーに求めるのは眠気を引き剥がしてくれる強い香り。どんなコーヒーでもその役割を担えるが、今回は、ミルクを入れて飲む可能性を考慮して、香りが一層強いものを選んでくれた。

オフィスに、ハンドドリップグッズ一式を常備しておく
ウィークデーの午後に向けてセレクトされたのは、Ethiopia Chelbassa(エチオピア チェルバッサ)。初回購入時にプレゼントされる折りたたみ式のドリッパーに、オフィスの電気ケトルで沸かしたお湯を注いだ。

華やかな香りが特徴で、余分な酸味や苦味はなく、頭が冴えていくような感覚になる。コンビニで手に入る深煎りコーヒーとは違い、グイグイのめるコーヒー。ランチで脂っこいものをたべたあとの体をリフレッシュさせてくれそうだ。

コーヒーがきっかけで、心から休まる時間を意識的に取り入れていく習慣が生まれた
夜は大きめのマグカップに豆乳ラテを注いで、ソファに腰掛けて読書をしながらゆっくりしたい。
そんなときのために、バリスタがリコメンドしてくれたのは、重めに落とした少量のIndonesia Mandheling(インドネシア マンデリン)にたっぷりの豆乳を淹れるという飲み方だ。

豆乳は酸味のあるコーヒーとの相性が悪く分離してしまうことから、深煎りをセレクトした。私には豆乳との相性を考慮した豆選びという発想そのものがなかったが、味がとてもよくまとまっていることに驚いた。

スペシャルティコーヒーの魅力

PostCoffeeの開発を手がけるCEOの下村領さんは、もともとコーヒーショップを経営するバリスタだった。その経験から、豆選びには人一倍こだわりを持っている。現在、旬に合わせたシングルオリジンとオリジナルブレンドを合計約30種類ラインナップ。すべて、スペシャルティコーヒーだ。

現在、日本におけるスペシャルティコーヒーの流通量は、日本のコーヒー流通量のわずか8%程度に止まっている。それほど希少な豆にこだわる理由を教えてくれた。

「豆の品質が高いほど、味に違いが生まれてくる、その面白さをたくさんの人に感じてほしいです。浅煎り、深煎り、という言葉がありますが、浅煎りに向いている豆は、スペシャルティコーヒーなど品質の高いものに限られています。流通量の多い一般的なコーヒーの焙煎に深煎りが選ばれているのは、どんな品種・品質の豆でも焙煎によって味をごまかせるからなんですよね。焙煎を深くせざるをえないんです」

トレーサビリティが明確で生産者情報がわかる豆を丁寧に選ぶ
豆の品質をより確実なものにするために、豆の仕入先選びにも細心の注意を払っている。なるべく、生産者とのダイレクトトレードを心がけ、どの農場で栽培されたものであるかや、収穫時期、豆の管理などについての情報を厳密に把握している。

「スペシャルティコーヒーの中でも、単一の農場で収穫されたコーヒー豆だけで淹れられたシングルオリジンコーヒーは、その個性がより際立ちます。透明性を担保することで、美味しいシングルオリジンコーヒーが手に入りやすくなるんです」

これほど強いこだわりを語った直後に、「でも、スペシャルティコーヒー屋って、うんちくを語りすぎですよね。そういうのあんまり好きじゃなくて」と下村さん。

「ただ美味しいコーヒーを飲むだけでいいのに、学ばなきゃいけないような空気感がある。コーヒーに対する難しいイメージを拭い去って、もっとファッション感覚で楽しんでもらえたらいいなと思うんです。肩肘張らずにコーヒーを楽しんでもらえるように、僕らがPostCoffeeの商品サイトで使う言葉も慎重に選んでいます」

コーヒー選びからユーザーに寄り添うPostCoffee

PostCoffeeは、「コーヒーを選びたくても上手に選べない」という悩みをもつ人々のニーズに真正面から応える。

「好みにあったコーヒーを選ぶことって、そもそもとても難しいことなんです」と語る下村さん。「コーヒーにはたくさんのフレーバーがありますが、そのフレーバーの特徴を理解するには時間がかかります。例えば、オレンジのような風味という但し書きがあったとしても、なかなかイメージしづらいものですよね」

言われてみれば、産地の記載を見ても、フレーバーの特徴を読んでも、自力で美味しいコーヒーにたどり着けはしなかった。それは、コーヒー豆を提供する側の言葉を私たちが理解できなかったということなのだろうか。

豆の状態か、挽いた状態かを選べる。
PostCoffeeのサブスクリプション会員になると、月々 ¥1,280(※)からコーヒーのお届けサービスが受けられる。豆は1種類からの注文が可能だ。

PostCoffeeはユーザビリティをさらに向上させるため、2020年2月6日からサービスリニューアルを予定している。テクノロジーの力を使ってユーザー好みのコーヒーを導き出す。ウェブ上で繰り出される10個の質問に回答するだけで、コーヒーの淹れ方からコーヒー豆の種類、量、価格といった様々な要素がパーソナライズされていくというのだ。3種類のコーヒー各約3杯分ずつ (合計約140g)から届けてもらえる。希望に応じて、量を増やすことも可能だ。実際に試したコーヒーのフィードバックを繰り返していけば、自宅に届くコーヒーが、より最適化されていく仕組みとなる。

「AIが繰り出す質問項目は、その人自身のライフスタイルや趣味に関するテーマが中心になります。コーヒーの好みにまつわる質問だと、ユーザー自身も正確に回答できないケースがありますからね。過去の顧客データから、コーヒーを飲む時間帯やパーソナリティーで好みが分かれたりすることがわかっています」

※2020年2月6日のサービスリニューアルに伴い1,480円(税抜)に改訂予定

ウェブサイトか、専用アプリを使って、「コーヒー診断」や豆の注文ができる

コーヒーは、ライフスタイルを見直すきっかけになる

時間帯や期待する効果に合わせて選んだコーヒーを生活に取り入れることで、習慣として飲んでいたものが、「飲みたいから飲む」ものへと変わっていった。かつて常飲していたコーヒーよりも、味や香りの違いを感じることが楽しいと思うようになったのだ。

これまでコンビニコーヒーで済ませていたものを、わざわざ自分の手でドリップしようと思うようになったのは、スペシャルティコーヒーの美味しさが理由だろう。
新たなルーティンが、これからのライフスタイルにどのような影響を与えてくれるのか楽しみだ。

photo:Yuki Morita

PostCoffee

公式サイト:https://postcoffee.co/
価格:¥1,480(税抜・送料無料) / 1ヶ月