フランス生まれの発酵バター「エシレ」とは?
エシレ バターは、フランスの原産地呼称保護制度であるA.O.P.(Appellation d’Origine Protégée)認証を受けた「ポワトゥー・シャラント産バター」のひとつ。厳しい基準のもとで生産されており、その品質はフランス国内外で高く評価されている。
発酵によって生まれる豊かな香りと深いコク、そして濃厚でありながら驚くほどなめらかな口当たりのバターだ。フランスでは上質なバターの代名詞として親しまれている上、世界的なシェフやパティシエからの支持も厚く、多くの名店で使用されている。日本でもその人気は高く、エシレ専門店が誕生するほどだ。
フランスで愛され続ける“バター文化”
朝は焼きたてのバゲットやバターたっぷりのクロワッサンにさらにバターを添え、昼にはサンドイッチやキッシュに使われる。夕食では魚や肉料理のソースにも欠かせない存在だ。フランスのレシピを見ていると、スープやソースの仕上げに「クルミひとつ分のバターを加える(une noix de beurre)」という表現が当たり前のように登場する。バターは単なる調味料ではなく、料理のおいしさを支える大切な食材として親しまれているのだ。そのため、スーパーの棚にはたくさんの種類のバターが並び、人々は好みに合わせて選んでいる。
特にフランス西部のブルターニュ地方やノルマンディー地方は酪農が盛んで、地域ごとに異なるバター文化が根付いていることで有名だ。
私自身、フランスへ行くまではバターの違いを意識したことがほとんどなかった。しかし現地でバターを口にしたとき、その香りの豊かさや深みのあるクリーミーな味わいに驚いた。たったひとかけのバターが料理のおいしさを何倍にも引き立ててくれる。その体験は今でも強く印象に残っている。
エシレが多くの人に愛される理由も、単に高級だからではないのだと思う。毎日の食卓を少しだけ豊かにしてくれる存在だからこそ、100年以上にわたって支持され続けているのだろう。
丸の内で出会うエシレの世界
シンプルだからこそバターのおいしさが際立つ「ガトー・エシレ ナチュール」
一見すると、どこか素朴で愛らしい佇まいのバターケーキ。しかし、その中にはエシレ バターへの並々ならぬこだわりが詰まっている。最大の特徴は、クリームの約半分にA.O.P.認定のエシレ バターを使用していること。まさに“エシレ バターを味わうためのケーキ”といえる存在だ。
かわいらしい四角いフォルムは、かつてエシレ バターの製造に使われていた木型をイメージしているのだそう。シンプルな見た目の中にも、ブランドの歴史や伝統への敬意が感じられる。
ひとくち食べると、エシレ バターならではの濃厚なコクと豊かな香りが口いっぱいに広がる。特に角の部分はクリームがたっぷりと感じられ、なめらかなバタークリームがすっと溶けていく瞬間はまさに至福のひとときだ。
日常に、バターの贅沢を取り入れる
けれど、ガトー・エシレ ナチュールが教えてくれるのは、贅沢とは必ずしも華やかさだけではないということだ。
主役は、あくまでもバター。パンや焼き菓子など、私たちの食卓にも身近な存在である素材が、最高品質の発酵バターになることで、ここまで豊かな味わいを生み出せる。その事実に、改めて驚かされる。
忙しい日の終わりにコーヒーを淹れてひと切れ味わう。休日の午後に紅茶とともにゆっくり楽しむ。そんな何気ない時間が、少しだけ特別なものに変わる。自分へのご褒美に。あるいは、大切な人と過ごす穏やかな時間のお供に。
ガトー・エシレ ナチュールは、バターが持つ本来のおいしさと、日常を豊かにする小さな贅沢を教えてくれるお菓子なのである。
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