和ハーブの香りに満ちて。岩手・金ケ崎から届く、新しいお酒の形
開設したばかりの清廉な空気漂う新工場にて、代表取締役の老川和磨(おいかわ かずま)さんに話を伺った。彼が手がける和花には、現代に息づく新しいお酒の在り方が込められている。
「海外のバーやレストランの棚に並ぶ日本製品は、ウイスキーが主流です。日本酒や焼酎は『和酒』としての地位を確立しているものの、バックバーを彩る『リキュール』に日本のお酒が選ばれることはほぼありません」
欧州などでは、ハーブや生薬を用いたリキュールを「アペリティフ(食前酒)」として嗜む文化がある。翻って日本を見れば、古くから薬用酒の歴史はあれど、それを洗練された「嗜好品」として愉しむ土壌は、未だ十分に育っているとは言いがたい。
「日本を代表するような、ハーブリキュールを作りたい」
その静かなる情熱が、株式会社K.S.Pの設立、そして「和花」の誕生へとつながった。
自社ブランドで年間約30種類、OEM(受託製造)を含めれば約50種類におよぶ商品開発をこなす。この圧倒的なスピード感は、まさに素材から一気通貫で手がける体制があってこそ、実現し得るものなのだ。
四季を醸し、心身を整える。「和花」という新しい養生習慣
ハーブを用いたリキュールの歴史は、欧州では極めて長く、古くから「薬用酒」として人々の健やかな暮らしに寄り添ってきた。そのため老川さんはこのリキュールを現代の「季節の養生酒」として楽しんでほしいと願っている。
例えば、夏をイメージした「汐(しおり)」は、涼やかな香りで火照った体を整えてくれる。一方、冬を象徴する「元(はじめ)」は、山椒や唐辛子をブレンドすることで、冬の寒さに滞りがちな血流や代謝を促してくれる。
「度数を10%前後に抑えた和花は、お酒に不慣れな方でも日常に取り入れやすいと思います。無理に飲む必要のない時代だからこそ、おいしいお酒を口にした時の幸福感や、お酒を囲んで誰もが楽しくなれる瞬間を届けていきたいです。和花を通じて、人生をほんの少し彩るお手伝いができればと思っています」
砂糖を抑え、素材の甘みを引き出す。金ケ崎の蒸溜所で丁寧に重層化された、香るリキュール
かつて子供たちが駆け回っていた体育館には、今、酒造りのための巨大なタンクが整然と並ぶ。学び舎としての記憶を刻んだ空間に、新たな香りを醸す蒸溜器が鎮座する。その光景は地域の歴史を大切に受け継ぎながら、未来へとつないでいく同社の姿勢を象徴しているかのようだ。
一般的な製法に比べて、漬け込み期間は1ヶ月から2ヶ月と長めに設定。さらに、素材をいくつかのパーツに分けて段階的に漬け込みを繰り返すことで、香りが何層にも重なり合う奥深い仕上がりを追求している。
また、通常のリキュールは糖分を多く加えるのが一般的だが、ここでは加糖を最小限に留めている。素材そのものが持つ自然な甘みを引き出し、味のボリューム感を表現することに心血を注いでいるのだ。
現在、常時20種類ほどのアイテムを展開。一年を通じて絶え間なく、何かしらの素材を漬け込みながら、その個性を最大限に活かすモノづくりを実直に続けている。
五感で味わう、四季の彩り。「和花」の愉しみ方
実際に飲んでみた感想と、老川さんに伺った各銘柄のおすすめの飲み方を併せて紹介したい。
おすすめの飲み方: トニックウォーターで割るのが一番のおすすめだが、ジャスミンティーで割ることで、より清涼感のあるさっぱりとした味わいを楽しめる。
おすすめの飲み方:ソーダ割りでさっぱりと楽しむのはもちろん、夏場のクーラーで冷えた体を温める「お湯割り」もおすすめ。
おすすめの飲み方:紅茶割りが非常に相性良く、贅沢なティータイムのような一杯に。また、ウイスキーに一滴加えることで、カクテルのような深みを愉しむこともできる。
おすすめの飲み方:お湯割りでシンプルに楽しんでも良いが、焼酎のお湯割りに加えることで香りが一層引き立つ。冷たくして飲む場合は、パイナップルジュースなどの南国系ジュースで割ると、おもしろい組み合わせを楽しめる。
金ケ崎の風土に溶け込む、香りの旅へ。収穫や温泉とともに楽しむ、新しいお酒の体験
また、今後は直売所を併設した施設運営も開始する予定とのこと。製造の現場を間近に見ながら、その場で試飲や購入を楽しめる、地域と地酒が交差する新たな拠点への進化を目指している。
「酔う」ためではなく、流れる時間とハーブの余韻をじっくりと味わう。そんな穏やかなひとときを、「和花」で楽しんでいきたい。
国産ハーブリキュール|和花(わか)
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