銘酒「東光」を生み出す小嶋総本店
併設された酒販売処では東光などの試飲ができる。実際に味わってみると、すっきりとしたものから、癖の残るものまで、様々な種類の日本酒があった。限定の酒もあるので、楽しく飲み比べながらお気に入りの一杯を見つけてほしい。
「米糀のあまさけ」は栄養豊かな食事、単なる飲み物にあらず
創業当時から酒づくりに取り組んできた小嶋総本店。伝統を守りながら新しいことに挑戦しようと、2020年に代表の奥様である小嶋 千夏さんが立ち上げたのが「ノンアルコール事業」だった。事業立ち上げのきっかけは、妊娠中にお酒が飲めなかったことや、安全で健康な食品を食べたいと思った小嶋さんの実体験からきている。小嶋さんは酒造りと縁が深い発酵に目をつけた。
酒粕ではなく米糀を発酵させて造られる甘酒は、ブドウ糖やビタミンなどの栄養素が豊富で「飲む点滴」とも呼ばれている。砂糖を入れずとも甘さが感じられるため、体にもやさしい。そしてノンアルコールである。小嶋さんのご主人が小さい頃は、米糀の甘酒が離乳食として出されていたそうだ。
商品開発は小嶋さんの「美味しくて健康にも良い甘酒をもっと手軽に飲んでもらいたい」という思いから始まった。商品開発を担当する五十嵐さんは、大学在学中に小嶋さんと出会い、そこから甘酒の魅力と小嶋さんの思いを知り、新卒で小嶋総本店に入社した。
忙しい女性でも手軽に健康的な食事をとれるように、小嶋さん達の実体験に基づいた工夫が施されている。まず、パッケージにパウチを採用し、片手ですぐに飲むことができるようにした。そして、食物繊維やビタミンなどが豊富なスムージーと甘酒を混ぜ、一緒に取り入れられるようにした。
生のフルーツや野菜を原料に使っているが、防腐剤や着色料は使用していない。製造方法の確立に苦労したというが、試行錯誤の結果、体にやさしく見た目も美しい甘酒が完成した。
それぞれの商品名には「体調や気分に合わせて毎日をサポートし、寄り添いたい」という思いが込められている。
シンプルにあまさけを楽しめるプレーンの「pure はれやかな甘み」、朝目覚めた時にチャージしてほしい「wake up green すこやかに目覚める」、美容や疲れた時のビタミンチャージに「beauty up red たおやかに整える」、体を温めて体調を整えたい時の「warm up yellow ここちよく温める」。
普段の生活はもちろん、朝忙しい時や体調が優れない時などに飲むことで、気分が少し軽くなる。そっと背中を押してくれるような頼もしい相棒のようだ。
あまさけとスムージーを合わせた新しい味わいは、「Rola’s kitchen」にもフードディレクターとして携わった料理家の川上ミホさんを迎えて造り上げた。そして、パッケージデザインは、デザイナーの川上シュンさん率いるブランドコンサルタンシーartless Inc.が手掛けた。伝統的な酒蔵のイメージと鮮やかな色合いが調和した、かわいらしいデザインになっている。
シーンや気分に合わせて選べる4種の甘酒
ビタミンB群やすべての必須アミノ酸を含み、「飲む点滴」とも言われる甘酒を、400年かけて培ってきた発酵技術で丁寧に造っている。日々の暮らしの中で手軽においしく、栄養補給ができる。1食のカロリーはごはん半膳程度と低い。料理の際に、砂糖の代わりに調味料として使うと、旨味がアップするそうだ。
私は全種類を飲んだ後に、もう一度飲みたくなったのが、この商品だった。プレーンなおいしさに感動した。
カルシウムや鉄分を豊富に含む小松菜やケール、食物繊維のりんご、ビタミンC豊富なキウイとレモンをスムージーにして、甘酒とかけ合わせている。江戸時代から山形で栽培されている伝統野菜ウコギも使用。ウゴキはビタミン、カルシウムのほか。ポリフェノールなどの抗酸化物質も多く含まれている。
さっぱりとした味わいで、しゃきっと背筋を伸ばしたい時に飲むのがおすすめ。
ビタミン豊富で抗酸化力も高いベリー類、血の巡りを改善し「食べる輸血」とも呼ばれるスーパーフードのビーツをスムージーにして、甘酒と合わせている。
気力をチャージしたいお昼時に、フルーツの甘酸っぱさと食感がぴったり合う。お子様のおやつにもおすすめしたい。
ベータカロテンは体の錆びつきを予防し、粘膜を強くしてくれるほか、免疫向上や風邪対策としても有効だ。加熱した生姜は、味のアクセントになるだけでなく、体の冷えも予防してくれる。
温めて飲むのがおすすめで、実際に飲んでみると生姜が体をポカポカしてくれているように感じた。オーツミルクやシナモンを入れると、さらに贅沢な味わいになるのだとか。冬はもちろん、夏の冷房で体が冷え切ったときにも良さそうだ。
発酵商品を通じて、健康的な生活スタイルを提案
小嶋さんも五十嵐さんも酒や色についての知識が豊富で、ついつい話がはずんでしまった。特に印象に残ったのは「甘酒は日本の伝統食。身近な食材を活かしながら、子供たちに安全な食と健康を届けていきたい」という小嶋さんの言葉。聞くと、腸内環境は3歳までに整えられるそうで、それまでの食生活がとても重要なのだそう。
楽しい食と健康の話を聞いてみたい方は、甘酒を飲むだけでなく、プログラムにも参加してみてはいかがだろうか。私自身も、楽しくおいしく、甘酒とともに自分自身の体と向き合っていきたいと感じた1日だった。