アラームの鳴り響く朝、追われる仕事、時間が溶けていく夜。現代社会を生きる私たちは「時間」に追われ、毎日がとにかく忙しない。そんな毎日に必要なのは”癒しの時間”。イタリア生まれのティラミスは、イタリア語で「私を元気づけて」という意味。コーヒーブレイク、仕事終わりのご褒美、お酒を嗜むひと時…どんな”時”にも寄り添い、心と体をほぐしてくれる。ティラミスを日々の暮らしに馴染ませてみよう。
時間に追われる日々に、癒しを
アラームが鳴り響く。もぞもぞとスマホを探り当てて音を止める。まだ覚めぬ身体とは裏腹に凄まじいスピードで流れていく朝の時間。追われるように仕事へ出かけ、夕方に買い物を終え帰宅。家事諸々を片付けたと思ったらもう1日が終わる。
この”1日”が毎日のように続いていく、それが現代社会を生きる私たちの”日常”だ。時間に追われ、毎日がとにかく忙しない。「1日が24時間では足りない」と何度思ったことだろう。残酷にも時間というものは私たちを待ってはくれないのだ。
そんな毎日を送る私たちの絶対的必要物。それは、”癒し”である。只々時間に追われ、寝て起きてを繰り返すだけの生活では、身体的にはもちろん精神的にも限界が来てしまう。社会人であれ、子育て中の親であれ、第一線を退いた人であれ、どんな立場であっても日々の中に安らぎを得る時間が必要だ。”癒し”は、疲れた身体と心をほぐし、明日を生きる活力を与えてくれる。私たちの心に希望を灯してくれる存在だ。
音楽、エンタメ、趣味、ペット、…癒しのカテゴリは様々だが、食べること、とりわけ甘いスイーツは「癒される」と感じる人が多いのではないだろうか。甘いものは誰しもを幸福感で包んでくれる懐の深さがある。
「ティラミス」は、リッチで大人な印象がある女性に人気のスイーツ。その見た目の割に、実は自宅で簡単に作れる”お手軽スイーツ”でもあるのだ。1日のどんな場面でも癒しを与えてくれるティラミスを、あなたのリラックスタイムに添えてみてほしい。
”大人のスイーツ”ティラミス
ティラミスはイタリア発祥のスイーツ。1960年代の北イタリア・ヴェネツィアで誕生したと言われ、日本でも90年代に社会現象が起きるほどのブームが起きた。誕生から60年以上が経過した現在も、人気スイーツとしての地位を確立している。
そんなティラミスの語源について調べたところ、ちょっと面白い発見があった。ティラミスはイタリア語で直訳すると「私を引っ張り上げて」。意訳すると「私を元気づけて」という意味だ。というのも、イタリアでは夜遊びの際に食べるスイーツとして有名だそうだ。これには、ティラミスに使われている卵と砂糖は精力剤の役割が、コーヒーには眠気を覚ます効果があることが由来している。
夜遊び前に女性が男性にメッセージを込めてティラミスを振る舞ったそう。今でもイタリアでは「ティラミスは夜にしか出さない」という店もあるのだとか。ティラミスの少し大人なイメージはここから来ているかもしれない。
自宅で簡単に作るティラミスレシピ
先述したように、大人なスイーツ且つ高級感のあるティラミスは、ちょっとした特別感もあり、癒し時間のスイーツにはぴったりだ。
一般的にティラミスとは、マスカルポーネチーズに卵黄と砂糖、メレンゲを加えたクリームと、エスプレッソを染み込ませたフィンガービスケットを交互に重ね、仕上げにココアパウダーを振りかけたもの。日本ではこれをアレンジしたものも多く、材料を変えたり、フレーバー自体を変えたり、懐の大きさもまた、ティラミスの魅力の一つである。
自宅でティラミスを作るとなったら、工程が少なく使う材料も調達しやすいものがいい。手作りすることが大きな負担になってしまっては元も子もないからだ。気軽にサッと作れるお手軽レシピを紹介しよう。
材料は、マスカルポーネ100g、生クリーム100g、砂糖30g、クッキーやビスケット、濃いめに入れた珈琲に砂糖を入れたもの、ココアパウダー。
生クリームと砂糖を7分立て(ゆるめのクリーム)に泡立て、マスカルポーネを加えて混ぜる。深めのバッド等に、珈琲にくぐらせたクッキーと作ったクリームを交互に重ねる。冷蔵庫で2時間〜一晩ほど寝かせて、仕上げにココアパウダーをたっぷり振ったら完成だ。
クリームを混ぜてクッキーと重ねるだけの簡易的なティラミスではあるが、ざっくりと大きめのスプーンで皿に盛ったらお店のような見た目に。ふわふわでまろやかなクリームと、珈琲・ココアの苦味が絶妙にマッチする。あっさりとしたクリームは幾らでも食べられるように感じてしまう。
作り慣れたら自分好みにカスタマイズもできる。マスカルポーネの一部をクリームチーズに変えると濃厚な味わいになる。また、クッキー部分もココアスポンジのようなケーキ生地にしても美味しい。染み込ませる珈琲に洋酒を加えると深みのある味わいに。その時々の、家にある材料や気分に合わせて自由にアレンジしてみよう。
日々の暮らしに馴染ませて
日々の癒し時間にティラミスを添えてみよう。例えばいつものコーヒーブレイク。なんとなくルーティーンになっている何気ない時間も、ティラミスを添えればたちまち極上のスイーツタイムへと様変わりする。まるで自宅がカフェになったかのような気分に浸れる。
夜遅く、くたくたになって帰宅した仕事終わり。そんな時は甘いものでエネルギーチャージ。マスカルポーネだけで作るあっさりとした軽い口当たりのティラミスが合う。疲れた身体に甘さ控えめの優しい味わいが染み渡る。カフェインレスの珈琲と共に自分を労わろう。
ティラミスは友人とのお茶会や来客対応にもぴったりだ。クリームチーズを忍ばせたリッチな味わいのティラミスでもてなそう。一人分ずつ小さめのグラスに入れて作ったり、型に流し込んでケーキのように切り分けたり、見せ方もアレンジすると楽しい。
休日の夜、お酒を嗜むひと時に、ティラミスで乾杯しよう。クッキーにラム酒を染み込ませて大人な味わいに、クリームチーズを強くしてどっしり濃厚に、お酒と合わせるティラミスはとことん芳醇な味でいこう。ラム酒、ブランデー、ウイスキー、それに赤ワインも相性がいい。お酒とのペアリングも愉しみたい。
芳醇な癒し時間で心をほぐそう
時間に追われ、日々心身をすり減らしながら生きている私たち。それが普通のこと、当たり前になっていることにどこか違和感を感じながらも、目の前のタスクをこなすのが精一杯で、いつしかその考えは見えなくなってしまう。
そんな毎日に安らぎをくれる、”癒し”の時間。私たちの凝り固まった体と心をほぐしてくれると共に、「また明日も頑張ろう」と活力をくれる。そしてそこにティラミスがあったなら、芳醇な香りと深みのある味わいであなたを包んでくれるに違いない。
日々の暮らしに、芳醇な癒し時間をプラスしよう。時をほぐし、心をほぐし、明日を生きる希望を私たちに灯してくれるはずだ。
CURATION BY
北国で暮らすフリーのWebライター。お酒と猫に目がない。