Vol.462

FOOD

21 JUL 2023

冷たい麺で夏を乗り切る!オリジナルなレシピはアレンジを効かせて

ギラギラと容赦なく照り付ける日差し、身体にねっとりとまとわりつく湿気。夏が苦手な人にとっては「早く終わってくれないか」と、切に願わずにいられないのがこの季節だ。何かをする気力も起きず、食欲減退でパワー不足になりがちという悪循環に陥りやすいシーズンだからこそ、体調管理は自分自身でしっかりと行いたい。見た目も涼やか、喉越しも良い冷たい麺は真夏でも食欲をそそる強い味方。フレッシュな野菜、力を付けるタンパク質を加えたオリジナルなレシピで、暑い夏を乗り切っていこう。

料理をする気が起きない夏は、冷たい麺を取り入れて

暑さで体力は消耗し、湿気でだるさが増す高温多湿の日本の夏。外出すれば屋外と室内の気温差が身体に堪え、帰宅すれば疲れ果てて食事の時間になっても作る気力は全くなく、食欲だって湧いてこない。

体力、気力を奪っていく真夏の気候。だるさや疲労、食欲不振や睡眠不足など、様々な不調を感じることも多い
料理好きな人でさえ、キッチンに立つのが億劫になってしまう夏。料理をする気が起きないからと、出来るだけ簡単に食せるものに手が伸びる。そうなるとインスタントやファストフードなど、手間いらずなメニューばかりになってしまい、栄養価もパワーも低下。更に気力が失われていくという負のループに陥りがちだ。

暑い夏でも美味しく味わえ、かつたっぷりな野菜やエナジーチャージの源となる肉も加えてオリジナルなレシピを楽しめるのが、冷たい麺。パスタから韓国冷麺、そうめんや蕎麦など、好きな麺と栄養たっぷりの食材を組み合わせ、オリジナルなレシピを楽しんでみよう。

数多くある麺の種類から好みのものを選び、トッピングやソースでアレンジを効かせて自分だけのレシピを作ってみたい

韓国冷麺を筆頭に。冷たい麺が食欲をそそる

「冷たい麺」と聞いて、まず頭に思い浮かぶのは韓国冷麺なのではないだろうか。つるつる、もちもちとした食欲を増進させる食感と、酸味と辛味の効いた冷たいスープ、載せた具材のコンビネーションは想像しただけで思わずお腹が空いてくる。

朝鮮王朝時代(1392年~1897年)に生まれ、長い歴史を持つ韓国冷麺の発祥は現在の北朝鮮の首都である平壌と、東海岸に位置する北朝鮮第二の都市、咸鏡南道(ハムギョンナムド)にある咸興(ムハン)と言われている。

冷水で締めたコシのある平壌冷麺は、つるつると喉を滑り落ちていくような食感で、真夏にぴったりのメニュー
平壌の冷麺は原材料に蕎麦粉を使い、肉類でとった出汁に大根の水キムチのスープを加え、牛や豚、鶏肉などの肉類、茹で卵や錦糸卵、キムチなどをトッピングしたものだ。きりりと冷やしたスープの口当たりが良く、暑い気温でも爽やかに食べられる逸品だ。

もうひとつの咸興の冷麺は、じゃがいもやサツマイモなどのデンプンを使い、コシの強いもちもちとした食感が特徴。唐辛子やコチュジャンなどの辛味のあるタレと混ぜ合わせたインパクトのある味わいで、刺激的な辛さが食を進めるメニューとなっている。

弾力性のある咸興冷麺は一度食べるとやみつきになる食感。冷たいスープに合わせても美味しい
冷麺は朝鮮戦争後、北部から南へ逃れてきた人々によって広まったと言われ、今では世界中に多くのファンを持ち、スープやトッピングにも様々な変化が生まれている。

他にも冷たい麺のメニューと言えば日本で生まれた蕎麦やうどん、そうめんもアレンジ次第で様々な食べ方が出来る食材。パスタも冷やし、好みの具材とソースを組み合わせればレシピは無限に広がっていく。好きな麺に合う食材を探し、調味料を吟味して、真夏でも食欲の湧くオリジナルなレシピを作り出してみよう。

冷たいスープやソースで変化をつけて

温かい麺には豊富なスープのレシピがあるが、それに倣って麺に合わせた冷たいスープのレシピに挑戦してみたい。例えば韓国冷麺。平壌式の蕎麦粉を使った喉越しの良い食感の麺に、ガスパチョのような野菜をベースとしたスープを合わせてみてはどうだろうか。

飲むサラダと言われるガスパチョはスペイン、ポルトガル発祥の夏のスープ。野菜をふんだんに使って麺と合わせれば、栄養価の高い食事となる
家庭ごとに異なるレシピがあると言われるガスパチョだが、ここではシンプルなものをご紹介しよう。皮を剥いた完熟トマトを1個半(約180g)、赤パプリカ1/2個、緑パプリカ1/4個、キュウリ50gを細かくカットし、シェリービネガー小さじ2、オリーブオイル小さじ2を足してブレンダーで撹拌する。

フレッシュな唐辛子を種を除いてカットして加え、滑らかになったらウスターソース(あればリーペリンを)1〜2滴、塩を小さじ1、にんにくチューブを1cmほど足して味を整え、冷蔵庫で冷やしておく。平壌冷麺を70g茹でて冷水で締め、ガスパチョと良く混ぜて完成だ。

トッピングとしてカットしたキュウリや玉ねぎ、フレッシュなバジルやオレガノを足して。クミンやパプリカなどのスパイスを加えても美味しい
続いて韓国冷麺の酸味と辛味のあるスープを真似て、オリジナルなレシピにチャレンジしてみたい。2人分のスープの作り方として、まずアンチョビを半切れ、潰して大さじ1杯のサラダ油で炒め、粗熱を取っておく。水120mlに、キュウリ100g(真ん中の種の部分を取り除いておく)、ベビースピナッチ(サラダ用ほうれん草)30g、先に炒めたアンチョビと油を加えブレンダーで撹拌する。

唐辛子は辛めのタイプがおすすめ。舌を刺す刺激で食欲が湧いてくるはず
にんにくチューブ2㎝ほど、塩小さじ2、ライム1/2個分を絞ったもの、フレッシュな唐辛子1本(種を取り除いてカットする)を加え、良く混ぜて冷蔵庫で冷やしておく。冷麺を2人分140g茹でて冷水で締め、冷やしたスープとよく混ぜ、食べる直前にライムを1/2個分絞ってかけて完成だ。

フレッシュなコリアンダーをアクセントとして加えると、エスニックなテイストに。ライムの酸っぱさと唐辛子の辛味が冷麺と良く合う

組み合わせは自由自在。アイデアを活かしてオリジナリティを楽しんで

冷たい麺はスープやソースに絡めて食べればそれだけで美味しいのだが、体力が落ちやすい夏だからこそ、野菜も肉も欠かしたくないもの。麺と肉と野菜、どれにも合うのがタヒニを使ったソースだ。

中東発祥の広く知られた料理、ひよこ豆を潰し、オリーブオイルやレモンを加えてディップのように食すフムスや、ソラマメやひよこ豆を潰して揚げたファラフェルの材料として知られるタヒニ。フレッシュな白ゴマから作られた中東の調味料であるタヒニは栄養価が高く、食材の味を引き立ててくれる。これを使って蕎麦と鶏むね肉に合わせてみよう。

作り方はごくシンプルで、材料を混ぜ合わせるだけでOK。タヒニ大さじ1、砂糖小さじ1、酢小さじ2、サラダ油小さじ1、ごま油小さじ1、醬油小さじ1、水大さじ1を良く混ぜ、最後に塩で味を整える。これに蕎麦一束を茹でて冷水で締めたものに混ぜれば完成だ。

コクのあるタヒニソースを加えると、蕎麦もまた違った印象となる。野菜をたっぷり載せてサラダ感覚で食べてみよう
この和風テイストのタヒニのソースには、茹でた鶏むね肉が抜群の相性となる。真夏には調理する気が起きない、という人におすすめなのが低温調理器。材料を用意して温度と時間を設定すればあとはお任せという手軽さで、夏の料理の心強い味方となってくれるだろう。
冷たい麺で人気があるのは、やっぱりパスタ。定番である冷やしたトマトソースと和えても美味しいが、たまには趣向を変えてフルーツと合わせてみてはどうだろう。瑞々しい果物と相性の良い生ハムを添えれば、暑い昼下がりも美味しく食べられるメニューになるはずだ。

冷製パスタは冷水で締めた際、水分が残っていると味がぼやけてしまう。ペーパータオルなどでしっかり水気を切っておこう
オリーブオイル大さじ2、バルサミコ酢大さじ1を混ぜ合わせ、冷やしたパスタと和え、塩・胡椒で味を整える。冷やしておいたメロンと桃を好きなようにカットして載せ、生ハムを加えて完成。サラダ感覚で味わえる、真夏のランチにぴったりな一品だ。

冷製パスタは調味料の味がダイレクトに伝わるので、オリーブオイルやバルサミコ酢は上質なものを使用するのがおすすめ

暑い季節だからこそ美味しい。冷たい麺で疲れ知らずの身体を作る

毎日続く暑さの中で食欲・気力が減退すると、起きてしまうのが「食欲がない、調理する気が起きないーお腹に入れば何でもいい」という悪循環。ならばまず、そのヴィジュアルを頭に思い浮かべただけで「食べてみたい!」という食欲が湧くレシピからスタートしてみよう。

きりりと冷えて引き締まった麺、心地良く喉を通り過ぎて行く冷たいスープ、舌を刺す刺激的な辛味、食欲をそそる肉や野菜。完成図を想像すれば、キッチンで調理する気が湧いてくる。

食欲を刺激するレシピを生み出せば、暑い夏も体力万全で乗り越えて行けるはず
従来のベーシックなメニューの次にトライしたいのは、想像力をフルに働かせて創り上げた、自分だけのオリジナルのレシピ。世界には冷やして美味しい麺が数多くあり、それに合う具材や調味料もまた多彩だ。これからもまだまだ続く暑い夏。食欲をそそる冷たい麺と栄養たっぷりな具材を合わせて、この季節を乗り切ってみたい。