Vol.449

FOOD

06 JUN 2023

食材の色をファッションのように楽しむ野菜レシピ集 紫<PURPLE>

料理の見映えを良くするためには、配色に気を配ることが重要。しかし、差し色に使うのは、ミニトマトやレタス、パセリといった定番の食材になりがちだ。トラディショナルな食材も悪くはないが、他の彩り野菜を取り入れて、料理の色彩を楽しんでみるのはいかがだろうか。毎日の食卓をもっとカラフルに、もっと自由に。 料理をファッション感覚で楽しむレシピを紹介したい。今回は紫色の食材を取り上げる。調理方法も簡単なので、ぜひおためしあれ。

紫色の野菜を料理のアクセントカラーに

蒸し鶏に鮮やかな紫色の野菜を組み合わせて
紫色と聞いて、抵抗感のある方が少なからずいるはずだ。それは紫色が食欲減退食のひとつと言われているためだろう。

一般的に「青」や「青緑」「紫」といった青系統の色は自律神経に働きかけ体温を下げることから、消化を抑える=つまり食欲を減退させる効果があると言われ、「カラーダイエット」と称したダイエット方法も生まれるほどである。

はてさて、紫色は美味しそうに見えるのか。皆さんは、上の料理写真を見て食欲の減退を感じるだろうか。蒸し鶏に組み合わせたのはトレビス、レッドパールオニオン、紫キャベツのスプラウト。さらにワイン塩という紫色の塩を添えてみた。野菜が赤っぽく見えて、紫色の効果がわからない?

では、こちらはどうだろうか。

タマゴサンドに紫キャベツのラペを合わせて
こちらはタマゴと紫キャベツのラペを挟んだサンドイッチ。

タマゴの黄色と紫キャベツの紫色は補色(色相環図で反対にあたる色)の組み合わせだ。今どきのカフェでいただくドレッシーなサンドイッチのように、色鮮やかで美味しそうに見えるのでは?

料理の差し色にはミニトマトが最適である。そんなルールは過去のものと考えて、野菜売り場に並んでいる紫色の野菜を料理のアクセントカラーに活用してみよう。

今シーズンの新作。美しい紫色野菜たち

スーパーでもさまざまな紫野菜を見かけるようになった
食べること、料理することをこよなく愛する筆者にとって、スーパーマーケットの野菜売り場はトレンドアイテムを取り揃えるアパレルショップのような存在である。野菜に然り、肉や魚に然り、新作には目が無い。

海外旅行先で真っ先にチェックするのもスーパーマーケットだ。調理環境がないときは、その土地の食文化を堪能し、旅の最終日に現地のスーパーマーケットで買い物カゴをいっぱいにして帰る。

紫色の野菜と言えば、定番の茄子に加え、紫大根、紫キャベツなどがスーパーマーケットにも並ぶようになった。プロユースがメインだった食材も昨今は簡単に手に入るうえに、調理方法はインターネットで調べられる。料理好きにとって幸せな時代になったものだ。

見たことも食べたことのない鮮やかな野菜との出逢いに臆することなく、好奇心の赴くままに、食材が持つ色彩を活かした料理レパートリーを増やしていこう。

紫色の野菜は、加熱によって紫色が褪せてしまうものや、可食部分が紫ではないものもある。食材そのものが持つ色彩の活かし方を学んでいくのも料理の楽しさだ。色や模様、形、カットした断面など、素材の特徴を観察しながらコーディネートしてみてほしい。

紫色の野菜レシピ①紫キャベツのラペ

複雑な調理工程や計量の必要がない、手軽な紫野菜のレシピを3つご紹介しよう。

紫キャベツのラペ
紫キャベツは少し固めの食感だ。そのままだと普通のキャベツよりも食べづらさを感じるかもしれないが、加熱や塩もみをすることで柔らかくなる。ただし、ボイルなどの加熱調理は紫色が脱色してしまうため、塩もみやマリネがおすすめだ。

<recipe> 紫キャベツのラペ

①紫キャベツを千切りにする。
②塩もみし、15分おく。
③出てきた水分を搾る。
④ビネガーやオイル、スパイス、ハーブなどを好みの味で組み合わせて和える。
レシピと言っても、たったこれだけ。分量はすべて適当で構わない。

塩はキャベツ全体に行き渡るくらい。オイルはエクストラヴァージンオリーブオイルや菜種油、米油でも良い。ビネガーは米酢やホワイトバルサミコ酢、アップルビネガーなど、クセのないものを選ぶこと。ビネガーがなければレモン果汁でも良い。

ハーブやスパイスは、その日のメニューに合わせてアレンジしてみて。インドや中東の料理と合わせるなら、クミンがおすすめ。清涼感を出したければ、ミルで挽いたコリアンダーシードや柑橘フルーツを加えても美味しい。

紫キャベツのラペは、先ほどご紹介したようにサンドイッチの具材にしたり、肉料理に添えたり、デリ風プレートの一品にと、さまざまなメニューで活躍する手軽なレシピのひとつだ。

紫色の野菜レシピ②紫大根のナムル

紫大根のナムル
こちらも火を使わない手軽なレシピ。韓国料理の惣菜であるナムルも紫大根を使えば洒落た一品に。

<recipe> 紫大根のナムル

①紫大根をスライサーやピーラー、包丁などで極薄切りにする。
②塩もみし、15分おく。
③出てきた水分を搾る。
④ダシダ(韓国の粉末調味料)、ごま油、醤油、白ごまなどを加えて和える。
こちらも分量は適当で構わない。塩もみする段階で下味が付くので、和える調味料は好みで調整すること。定番のナムルとしてはもちろん、サラダとして葉野菜と合わせたりしても美味しくいただける。

ちなみに、料理を盛り付けるときに、私がよく使うのは黒の器だ。レシピのスタイリングにも使用しているが、黒の器を使うと全体のコントラストが高くなり、料理の色を鮮やかに見せることができる。おもてなしにも使いやすい黒の器を、ぜひ使ってみてほしい。

紫色の野菜レシピ③アーリーレッド(赤たまねぎ)のフラワーロースト

アーリーレッドのフラワーロースト
アーリーレッド(赤たまねぎ)の鱗葉(りんよう・層になっている部分)に切りこみを入れ、睡蓮に見立てた一品をご紹介したい。こちらはオーブン加熱が必要だが、たまねぎそのものの味わいを楽しめる手軽なレシピだ。

<recipe> アーリーレッドのフラワーロースト

①表皮を剥いたアーリーレッドの下部を少し切り落とし、放射線状に8〜12等分の切り込みを入れる。下まで切り離さず、4分の3くらいまでにとどめておくこと。
②アルミホイルの上に置き、オリーブオイルを回しかける。
③アルミホイルでぎゅっと包み、190℃に余熱したオーブンでローストする。大きさにもよるが大体30〜40分程度。中まで火が通っていなければ再度ローストする。
④外側の鱗葉から、程よく花の形になるように少しずつ切り込みを調整する。
⑤塩やバルサミコ酢など、好みの調味料を振りかけて完成。
これは来客時にお出しすると、抜群にウケが良い。彩りとして添えるどころか、主役級の存在感がある一品だ。

ローストする時間は大きさや鮮度によって調整する。火を入れすぎると紫色が褪せてしまうので注意が必要だが、出来上がったものを見れば、そんな手間も惜しくないと思えるに違いない。花弁のように切り込みを入れるのが面倒であれば、丸ごと調理しても良い。

紫色の野菜で華やかな食卓に

紫色野菜をワンプレートディッシュに
紫色の野菜に含まれるアントシアニンという色素は、酸に反応して赤みを増す性質がある。料理は科学と言われるように、色彩の調整を意識していくと料理はさらに面白くなる。

主菜との組み合わせによって味や風味を調整できるのも野菜料理の面白さ。シンプルな味付けの状態で作り置きしたものに「インド料理だからこのスパイスをプラスしよう」「こってりした肉料理の付け合わせにするから、酸味をプラスしてあっさり仕上げよう」

そんな具合にアレンジして、ご自身の料理レパートリーとのコーディネートを楽しんでいただきたい。