紫色の野菜を料理のアクセントカラーに
一般的に「青」や「青緑」「紫」といった青系統の色は自律神経に働きかけ体温を下げることから、消化を抑える=つまり食欲を減退させる効果があると言われ、「カラーダイエット」と称したダイエット方法も生まれるほどである。
はてさて、紫色は美味しそうに見えるのか。皆さんは、上の料理写真を見て食欲の減退を感じるだろうか。蒸し鶏に組み合わせたのはトレビス、レッドパールオニオン、紫キャベツのスプラウト。さらにワイン塩という紫色の塩を添えてみた。野菜が赤っぽく見えて、紫色の効果がわからない?
では、こちらはどうだろうか。
タマゴの黄色と紫キャベツの紫色は補色(色相環図で反対にあたる色)の組み合わせだ。今どきのカフェでいただくドレッシーなサンドイッチのように、色鮮やかで美味しそうに見えるのでは?
料理の差し色にはミニトマトが最適である。そんなルールは過去のものと考えて、野菜売り場に並んでいる紫色の野菜を料理のアクセントカラーに活用してみよう。
今シーズンの新作。美しい紫色野菜たち
海外旅行先で真っ先にチェックするのもスーパーマーケットだ。調理環境がないときは、その土地の食文化を堪能し、旅の最終日に現地のスーパーマーケットで買い物カゴをいっぱいにして帰る。
紫色の野菜と言えば、定番の茄子に加え、紫大根、紫キャベツなどがスーパーマーケットにも並ぶようになった。プロユースがメインだった食材も昨今は簡単に手に入るうえに、調理方法はインターネットで調べられる。料理好きにとって幸せな時代になったものだ。
見たことも食べたことのない鮮やかな野菜との出逢いに臆することなく、好奇心の赴くままに、食材が持つ色彩を活かした料理レパートリーを増やしていこう。
紫色の野菜は、加熱によって紫色が褪せてしまうものや、可食部分が紫ではないものもある。食材そのものが持つ色彩の活かし方を学んでいくのも料理の楽しさだ。色や模様、形、カットした断面など、素材の特徴を観察しながらコーディネートしてみてほしい。
紫色の野菜レシピ①紫キャベツのラペ
<recipe> 紫キャベツのラペ
②塩もみし、15分おく。
③出てきた水分を搾る。
④ビネガーやオイル、スパイス、ハーブなどを好みの味で組み合わせて和える。
塩はキャベツ全体に行き渡るくらい。オイルはエクストラヴァージンオリーブオイルや菜種油、米油でも良い。ビネガーは米酢やホワイトバルサミコ酢、アップルビネガーなど、クセのないものを選ぶこと。ビネガーがなければレモン果汁でも良い。
ハーブやスパイスは、その日のメニューに合わせてアレンジしてみて。インドや中東の料理と合わせるなら、クミンがおすすめ。清涼感を出したければ、ミルで挽いたコリアンダーシードや柑橘フルーツを加えても美味しい。
紫キャベツのラペは、先ほどご紹介したようにサンドイッチの具材にしたり、肉料理に添えたり、デリ風プレートの一品にと、さまざまなメニューで活躍する手軽なレシピのひとつだ。
紫色の野菜レシピ②紫大根のナムル
<recipe> 紫大根のナムル
②塩もみし、15分おく。
③出てきた水分を搾る。
④ダシダ(韓国の粉末調味料)、ごま油、醤油、白ごまなどを加えて和える。
ちなみに、料理を盛り付けるときに、私がよく使うのは黒の器だ。レシピのスタイリングにも使用しているが、黒の器を使うと全体のコントラストが高くなり、料理の色を鮮やかに見せることができる。おもてなしにも使いやすい黒の器を、ぜひ使ってみてほしい。
いつもの料理が格段に映える「黒の器」|ZOOM LIFE
紫色の野菜レシピ③アーリーレッド(赤たまねぎ)のフラワーロースト
<recipe> アーリーレッドのフラワーロースト
②アルミホイルの上に置き、オリーブオイルを回しかける。
③アルミホイルでぎゅっと包み、190℃に余熱したオーブンでローストする。大きさにもよるが大体30〜40分程度。中まで火が通っていなければ再度ローストする。
④外側の鱗葉から、程よく花の形になるように少しずつ切り込みを調整する。
⑤塩やバルサミコ酢など、好みの調味料を振りかけて完成。
ローストする時間は大きさや鮮度によって調整する。火を入れすぎると紫色が褪せてしまうので注意が必要だが、出来上がったものを見れば、そんな手間も惜しくないと思えるに違いない。花弁のように切り込みを入れるのが面倒であれば、丸ごと調理しても良い。
紫色の野菜で華やかな食卓に
主菜との組み合わせによって味や風味を調整できるのも野菜料理の面白さ。シンプルな味付けの状態で作り置きしたものに「インド料理だからこのスパイスをプラスしよう」「こってりした肉料理の付け合わせにするから、酸味をプラスしてあっさり仕上げよう」
そんな具合にアレンジして、ご自身の料理レパートリーとのコーディネートを楽しんでいただきたい。