Vol.775

MONO

21 JUL 2026

“自分のため”の香りを楽しむ。韓国フレグランスブランド pesade|ぺサドゥ

香水というと、長らく“どう見られるか”を演出するためのもの、というイメージが強かった。しかし近年、韓国発のフレグランスブランドには、それとは少し異なる価値観が感じられる。私がpesade(ぺサドゥ)の香りに惹かれたのは、ファッションのためではなく、“自分の感覚を整える”ような静けさがあったからだ。華やかさや強さ、個性を前面に押し出すのではなく、どこか内省的で、余白のある香り。その感覚には、アジアらしい繊細な美意識が宿っているように思う。

pesadeとは? “静けさ”をまとう韓国発フレグランスブランド

パッケージも主張が強すぎない
韓国発のフレグランスブランド「pesade(ぺサドゥ)」は、「Perfect Balance」をテーマに掲げるニッチフレグランスブランド。ブランド名は、馬場馬術の動きのひとつである「Pesade」に由来し、力強さと均衡が共存するその姿勢に、ブランドの哲学が重ねられている。

大切にしているのは、香りを通して自分自身のバランスを見つけるという考え方だ。最高品質の香料と丁寧な調香によって、流行に左右されないタイムレスな香りを生み出し、日常の中に静かで特別な時間をもたらすことを目指している。

香りは「Chapter」と呼ばれるシリーズごとに展開され、ひとつのChapterにつき3種類の香りが登場する。それぞれの香りは異なる個性を持ちながらも、ブランド全体として調和のある世界観を形づくっている。

シンプルだが、どこか新しさも感じさせるデザイン
デザイン面でも、一貫した美意識を感じさせる。余計な装飾を抑えたボトルや、静謐で洗練されたビジュアルは、香りそのものの印象と響き合うように設計されており、グラフィックアーティストでもある創業者の感性が、ブランドの造形や色彩のバランスにも遺憾なく発揮されている。

実際にブランドに触れて感じたのは、香りだけでなく、世界観まで含めて楽しむブランドであるということだ。ミニマルで洗練されたデザインや、ストーリー性のある香りの展開も相まって、韓国で多くの人を惹きつけている理由がよくわかる。

世界から注目される韓国フレグランス

思わず揃えてディスプレイしたくなる
近年、韓国発のブランドといえばスキンケアやメイクアップを思い浮かべる人も多いだろう。しかし今、世界中で注目を集めているのはコスメだけではない。韓国ならではの繊細な感性を反映したフレグランスブランドが次々と誕生し、新たなカルチャーとして存在感を高めている。

その代表格が、韓国発のフレグランスブランド「pesade」をはじめ、「Tamburins(タンバリンズ)」や「Nonfiction(ノンフィクション)」だ。Tamburinsはアート性の高い世界観や独創的な香りで知られ、店舗そのものがギャラリーのような空間として人気を集めている。一方のNonfictionは、「ありのままの自分」をテーマに、日常に寄り添うナチュラルで洗練された香りを提案。香水だけでなく、ハンドクリームやボディケアアイテムも人気を博している。

実際、私の周りでも、以前は海外のラグジュアリーブランドが定番だったが、最近では「韓国のフレグランスブランドを使っている」という声を耳にする機会がぐっと増えた。どうしてここまで共感を得るのか。その背景には、華美すぎず、余白を感じさせるデザインや香りが、日本の美意識と親和性を持っていることが挙げられるかもしれない。

気持ちが安らぐ香りの数々

30mlと100mlから選べる
今回、私が実際に試したのは、pesadeの「ミッド マウンテン オードパルファン」「ウード ナイツ パルファン」「ブラック タタミ ルームスプレー」、そして「ドゥ ヌード ハンドクリーム」の4アイテム。

それぞれ香りの方向性は異なるものの、共通して感じたのは、心を落ち着かせ、自分自身と向き合う時間を与えてくれるような心地よさだった。Chapterごとに異なる物語を持ちながらも、どの香りも性別を限定しないニュートラルな印象で、オン・オフを問わず自然に取り入れられる。シンプルな装いの日はもちろん、ジャケットスタイルやカジュアルな装いにもなじみ、仕事の日から休日まで、その日の気分に合わせて楽しめるのも魅力だ。

「ミッド マウンテン」は、レモンやローズ、オーキッドの軽やかさから始まり、パチョリやシダーウッド、ムスクへと穏やかに移り変わるアロマティックウッディの香り。爽やかさの中に温かみがあり、朝の身支度や仕事前など、気持ちを整えたいときに手に取りたくなる。派手に香るというよりも、シルクをまとったときのようにやさしく寄り添ってくれる印象だった。

出掛けない日も使いたくなる心をほぐす香り
一方、「ウード ナイツ」は、グレープフルーツやアルテミシアの爽やかなトップノートから、クミンやナツメグのスパイス、そしてウードやレザーへと深みを増していく一本。重厚感のある香りながら決して重すぎず、静かな夜や、自分だけの時間をゆっくり過ごしたい日にまといたくなる。異国情緒を感じさせながらも上品にまとまっており、大人の落ち着きを演出してくれる。

香水だけではない。暮らしに寄り添うpesadeのアイテム

香水と同じ香りを、さまざまなケア用品で楽しめる
香水だけでなく、日常のさまざまなシーンで香りを楽しめるアイテムがそろっているのも、pesadeの魅力だ。ハンドクリームやハンドウォッシュ、ボディケアアイテムをはじめ、部屋で使えるルームスプレーや、クローゼットや車内で香りを楽しめるフレグランスタグ、引き出しなどに忍ばせられるフレグランスタブレットまで幅広く展開している。

畳の間をイメージした香り
端正な瓶が魅力を放っている「ブラック タタミ ルームスプレー」は、松やシダーウッド、パチョリを中心としたウッディな香りが特徴。ジュニパーやティーツリーの清々しさも重なり、まるで静かな森や畳の間にいるような落ち着いた空気を演出してくれる。部屋にひと吹きするだけで空気がすっと切り替わり、忙しい日常の中にも穏やかな時間が流れ始めるように感じられた。

空気を切り替えたいときに、カーテンやクッションにひと吹き
「ドゥ ヌード ハンドクリーム」は、アイリスやサンダルウッド、レザーを基調とした香り。さらりとした軽いテクスチャーで手肌になじみ、ふと手を動かした瞬間にやさしく香りが立ち上る。

ユニセックスなパッケージは、男女問わず贈り物にも
実際に使ってみて感じたのは、pesadeはハンドクリームなどのケアアイテムとして香ると、より魅力が引き立つということだ。香水のように自己演出を目的とするのではなく、乾燥が気になったときや気分を切り替えたいときに手元で塗り直す。そのたびに、自分だけがふわりと香りを感じられる。pesadeらしい落ち着きやリラックス感、どこか内省的な空気をまとった匂いは、そんなセルフケアをする時間と自然に重なり、まるで心を整えるためのお守りのような存在に感じられるのである。

日々に寄り添う、pesadeの香り

お気に入りの香りを持ち運べるのがうれしい
香りは、ときに誰かへ印象を与えるためのものとして選ばれることがある。しかし、pesadeが教えてくれたのは、もっと自分自身のために楽しんでいいということだ。

朝、気持ちを整えたいとき。仕事の合間にひと息つきたいとき。家に帰って静かな時間を過ごしたいとき。そんな何気ない日常のひとコマに、pesadeは自然と溶け込む。華やかに主張するのではなく、自分の心に静かに働きかけるような香りだからこそ、毎日手に取りたくなるのだろう。

デスクに常備しておきたい
「どう見られるか」ではなく、「どうありたいか」。そんな視点で香りを選んでみると、いつもの日常が少しだけ穏やかに感じられるかもしれない。自分の感覚を大切にしたい人にこそ、一度手に取ってみてほしいブランドだ。

pesade