バッグの中が散らかるというのは、とにかくストレスである。現代を生きる私たちは持ち歩かなければいけない小物が多すぎる。かといって、統一感のないポーチや、かさばるだけの専用ケースに入れるのもストレスだ。そこでご紹介したいのが_go(アンドゴー)のパッキングアイテム。出かけるたびに抱えていたストレスがむしろ喜びに変わるような感動を、ユニークなパッキングニットを通じて味わってみよう。
バッグの中身を美しくしたいという私たちの想い
先日打ち合わせに向かいながら ふとバッグの中を見た時に、その洗練されていない様子に愕然としてしまった。大きめのトートバッグでパソコンを持ち歩いていたのだが、ケースに入ったパソコンはまだ良しとして、剥き出しに放り込まれたパソコン用充電器やモバイルバッテリー、イヤホンなど……。
ライフスタイルについて執筆するライターとして この現状をどうにかしなければならないと、私は思った。いや、私に限らず、バッグの中身を美しくしたいと願っている方は多いのではないだろうか。バッグの中身が整えば、きっと気持ちも整う。より洗練された毎日のために、日々持ち歩くものこそ洗練されているべきなのだ。
そんな時に見つけたのが、_go(アンドゴー)というブランドが提案するパッキングニットだ。繊維産業で有名な新潟県栃尾で作られているニットで、あらゆるもののパッキングに特化しているのが特徴。丸や四角のサイズ違いで、カラフルなアイテムが揃う。
私は早速ここのパッキングニットで、日々持ち歩くものたちをパッキングすることにした。そして、その ちょっとの手間でもたらされる物理的、精神的快適さに、とても感動したのだ。
「包む」の想像力が広がる楽しさ
私が愛用しているのは、各モデルひとつずつ。全て異なるカラーでカラフルに揃えているが、質感が同じということもあり、バッグの中身に統一感が生まれたのが嬉しい。バッグの中を見るたびにハッピーになれるような、鮮やかなカラーリングだ。
_goが展開するパッキングニットは、現在全部で4型だ。「_go circle 円形タイプ」、「_go square 長方形タイプ」、「_go oval 長円形タイプ」、そして「_go square W 厚地長方形タイプ」。一応それぞれにパッキングを想定している物があり、例えば「_go oval 長円形タイプ」ならACアダプタとケーブル、「_go square W 厚地長方形タイプ」なら一眼レフカメラと、それらのガジェットがピッタリおさまるよう設計されている。
私もやはりそのように使おうと考えて購入し、実際それらの用途として とても便利なのだが、愛用し始めて感じたのは、使うほどにさらに別の包みたいものを思い付くという面白さだ。
例えば「_go oval 長円形タイプ」。今までちょうどいいサイズの入れ物がなくストレスを感じていたパソコン用充電器を、クルッと包む。フィット感が抜群で心地よいが、伸ばした状態でも何かを包めそう……。そこで水筒を入れてみたところ、こちらも気持ちよくフィットする。よくあるペットボトルカバーよりも厚手で伸縮性があるため、持ち心地も良い。面白い発見だった。
また「_go square W 厚地長方形タイプ」は、厚地を生かして少々角張ったものを持ち運ぶのにも良さそう。例えばお弁当箱を包むのはどうだろう。いつものバンダナや巾着袋の代わりに このパッキングニットで包めば、結び目の凸凹も気にならず、すっきりと持ち運ぶことができそうだ。
一つと言わず、複数のものを同時に包んでもいいかもしれない。洗面まわりのアイテムをパッキングすれば、お泊まりセットにも。フェイスクリームやシートマスク、化粧ブラシなど、バラつきがちな小物をコンパクトにまとめておけるのが嬉しい。
包むという行為について想像力がどこまでも広がる楽しさは、とても新鮮だった。
このように いくらでも包みたいものを思い付いてしまうので、どうしても使用頻度が高くなり、汚れが気になることもあるが、_goのパッキングニットは洗濯機で洗濯可能。さまざまな用途に気持ちよく使いまわすことができるのも魅力的だ。ぜひ安心してガシガシ使い倒していただきたい。
繊維の次の形を目指して。栃尾産地の技術を現代に
実は今回、_goの代表でありプロダクトエンジニアの白倉重樹さんに取材をさせていただいたのだが、白倉さんが自身のプロジェクトを「用途開発」と表現したのが印象的だった。
「自分たちの商品は主役じゃなくて、脇役なんです。主役は包まれているもの。だからパッキングニットは、それ自体に魅力があるわけではないんですよ。だけど用途のアイデア次第で、いくらでもその可能性を広げることができる。だから私たちは、商品ではなく用途を開発するような気持ちで、パッキングニットを作っているんです」
パッキングニットが発表されたのは2019年11月。最初は、クラウドファンディングだった。だから_goは、お客さんの声を何より大切にしているブランドなのだという。目指すのは、ジップロックやサランラップのように当たり前にある 便利な存在。いわば現代の風呂敷のように、生活に寄り添った商品を作りたいという_goのコンセプトは、当時も今も変わらない。
また そんなパッキングニットのコンセプトを支えているのは、新潟県栃尾産地の繊維技術だ。天然繭を用いた栃尾紬が歴史的にも有名な産地であるが、現在は複合織物を得意とする産地として、天然繊維から化合繊まで、その技術を生かした幅広い織物産業を行っている。
白倉さんは この地域のニット工場に生まれ、栃尾産地の技術に親しみながら育った。そして だからこそ、衰退しつつある国内繊維産業の厳しい現状を どうにかしなければと考えていた。
「_goは、繊維の次の形を目指しています。歴史的な裏付けのある確かな技術を、最新の技術と掛け合わせて、今だからこそ輝く繊維製品を作っていきたいのです」
伝統と最新……_goのパッキングニットは、まさにそんなアイテムだ。_goの魅力は、360°どの方向にも伸びる高い伸縮性と鮮やかな発色だが、これを実現するには、伝統的技術と最新技術のどちらも必要不可欠だった。
素材となっている ポリエステルとポリウレタンの長繊維による新開発素材(糸)は、150年の歴史をもつ「マフ染色」という方法で染められており、この染色方法だからこそ、伸縮性を殺さないまま鮮やかなカラーが実現している。またその染色糸を、WHOLE GARMENT(ホールガーメント)と呼ばれる完全無縫製の最新技術で編むことで、360°どの方向にも伸びるプロダクトが完成したのだ。
余談だが、糸井重里氏が運営するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」が展開している「ほぼ日ハラマキ」も、実は_goのチームによるもの。ハラマキもパッキングニットも、私たちの生活は、新しいニットの可能性で満ちているのかもしれない。
「面倒」を「喜び」に変える
お出かけのたびに荷物を揃えたり確認したりする作業を面倒に思う方は、私を含め きっと沢山いるはずだ。しかしこのパッキングニットは、そんな「面倒」を「喜び」に変えてくれるようなアイテムである。あれ入れたかな、これも入れておこう、そんな日常のささやかな作業が喜びに変わったら、どんなに嬉しいだろう。
もうあなたのバッグの中は、散らかることはない。どこに何があったっけ...と迷う必要もない。荷造りは瞬間パッキングで格段に楽になり、バッグの中に手を入れれば肌触りでそれと分かり、また視界は鮮やかな色合いで満たされていく。
この先も買い足していこうと思うが、用途ごとに色を揃えて集めるのも良いかもしれない。パッキングニットの可能性は、自分のアイデア次第で、その伸縮力さながらぐんぐん広がっていくだろう。
直近の目標としては、スーツケースの中をこのパッキングニットで整頓してみたい。今年はそんな美しいパッキングをお供に、久しぶりの旅行に出かけられたらと思っている。
オレンジとブルーと、イエローと、グレーと……あれもこれも入れて、準備OK?毎日のパッキングを喜びに変えて、いつもより少しだけワクワクした気持ちで、家から一歩外に踏み出してみよう。_goのパッキングニットで、あなたの今日はきっと、より鮮やかに彩られるはずだ。
_go パッキングニット
CURATION BY
取材が好きなフリーランスライター。毎日をちょっと豊かにしてくれるものや考え方をいつも探している。画家の夫と一匹の猫と暮らす。