Vol.342

MONO

27 MAY 2022

800年の長い歴史と伝統の香りを楽しむ。紙のお香「アルメニアペーパー」

「香り」というのは不思議なもので、日々の生活をときめかせてくれたり、気持ちを落ち着かせてくれる。世の中にはキャンドルや香水、ディフューザーなどさまざまな香りの道具があるが、使い方や場所が限定されてしまうことも。それぞれの香りは好きなのに、自由に香りを楽しむことが難しいのが悩みでもある。いつでもどこでも日常をともにできる香りのアイテムがあればいいのに...そんなときに出会ったのが、「アルメニアペーパー」だ。指2本分のコンパクトなサイズ感で、お香のように火をつけても炎が出ず、そのままでも香る紙のお香である。その魅力を紹介したい。

1216年創業の世界最古の薬局「サンタ・マリア・ノヴェッラ」

アルメニアペーパーは、1216年創業の世界最古の薬局「サンタ・マリア・ノヴェッラ」のもの。イタリアの古都・フィレンツェにて、800年前より存在している。

イタリア語で書かれているアルメニアペーパー
中世のフィレンツェはメディチ家の隆盛により世界でも類を見ない豊かな都市であり、ルネッサンス期にはミケランジェロやダ・ヴィンチなど多くの芸術家を生み芸術と商業の都として栄えていた。中でも15世紀にフィレンツェを統治したメディチ家のロレンツォ・ディ・メディチは豊かな財政を背景に、フィレンツェ文化を切り拓き、サンタ・マリア・ノヴェッラもこの豊かなフィレンツェ文化の中で生まれ、歴史あるサンタ・マリア・ノヴェッラ教会を運営するカトリックでも最も古い修道会のひとつであるドミニコ修道会の教えを基に発展させていった。

今でも中世の風情を残す街並みのフィレンツェ
サンタ・マリア・ノヴェッラとメディチ家との関係は深く、16世紀にカテリーナ・ディ・メディチがフランスのアンリ2世へ嫁いだ際に、サンタ・マリア・ノヴェッラが特別に製作された香水「アックア・デッラ・レジーナ」(Acqua della regina)は、カテリーナ王妃によりフランスにもたらされ、その後ブルボン王朝の貴婦人たちの間でも大流行したという。

この香りは「王妃の水」と呼ばれ、現在まで生産されている「サンタ・マリア・ノヴェッラ」を象徴する香りであり、現在のオーデコロンの起源とも言われている。王妃の水をはじめ、サンタ・マリア・ノヴェッラの製品はフィレンツェの歴史に育まれながら、さらにヨーロッパ、世界へと広がっていった。

17世紀に入り、サンタ・マリア・ノヴェッラが正式に薬局としての活動をはじめると、その名声はフィレンツェ内にとどまらず世界へと知れ渡るようになる。アルメニアペーパーは19世紀後半、薬剤師が旅行先のアルメニアで、人々が安息香という樹脂を燃やして殺菌剤として使用していたことにインスパイアされて誕生した。

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会
ドミニコ修道士たちの教えの一環として始まったサンタ・マリア・ノヴェッラの歴史、その哲学は800年を経た今でも変わることはないという。すべてのプロダクトに流れる修道士たちの思想は、もの作りの端緒からパッケージにいたるまで一貫しており、天然栽培の草花や天然油脂を使い、クオリティを追求すること、人の手も時間も惜しみなくかけること、一切の動物実験を行わないことを徹底している。フィレンツェ郊外に広がる丘で今も当時と変わらず、自然なままに育てられるハーブ、草花はサンタ・マリア・ノヴェッラの貴重な財産のひとつであり、天然の薬草の効果・効能を最大限に引き出す研究は今も続けられているという。

フィレンツェという街が持つ芸術的な空気、歴史、文化、そのすべての思想を、サンタ・マリア・ノヴェッラのプロダクトに込めている。

香りとフォントだけのミニマルな紙

当時のペン書きの書体を取り入れたクラシックなゴシックフォントが印象的
厳かな雰囲気を持ちながらも、どこか素朴なイメージもある真っ赤な紙箱。レザーのような質感で開ける前から高揚感に包まれる。紙を破くと、天然成分である芳香樹脂やオリエンタルスパイスの浸剤を染み込ませたスティック状の紙が18枚入っている。

「CARTA D'ARMENIA(アルメニアの憲章)PER PROFUMARE GLI AMBIENTI(周りを香らせるために)Brucia senza fiamma (炎なしで燃える)」と記載してある

裏面にはロゴも
封をあけると今まで出会ったことのない香りに驚く。スパイシーでビター、神秘的な印象もあり、まろやかで穏やかな甘さも兼ね備える。その場の空気を浄化させるような爽やかで清々しい印象もあり、一瞬でその複雑で優美な香りの虜になってしまう。

切れ目にそって力を加えて開封
アルメニアペーパーに火を付ける時には、アコーディオンのように折って端の方に火を灯す。お香のように炎を出さずに燃えていき、燃やし初めは紙が燃えている香りがするが、火を消してしばらくすると香りが立ち上り、アルメニアペーパー本来の香りがふわりと空間に溶け込み出す。消臭効果もあるため空間の匂いが気になるときにも。焼き魚や揚げ物などのにおいが残っているときや、来客の予定があるときの消臭アイテムとしても役立つ。

マッチで点火。紙なので簡単に着火する

紙なので力を入れずとも折り曲げることができる
キャンドルやマッチでていねいに火を灯して、癒しの香りがする空間に身を置く。たったそれだけであるが、肩の力が抜け、贅沢な気持ちにさせてくれる。

至極シンプルなフォントのみのデザインも、見ているだけで楽しい

火をつけない楽しみ方も

コンパクトで持ち運びのできるアルメニアペーパーは、火を付けなくとも幅広く香りを楽しむことができる。

ふとした瞬間に香るのが好きな方は、デスクの引き出しの中に置けば、仕事をしているときもほのかに香り、名刺入れにしのばせて使えば、名刺交換の際にふわっと微かに香りが漂う。ポーチやバッグに忍ばせたり、枕カバーの中やクローゼットなどにおいたりといった使い方も。

しおりとして本に挟んでも。美しい香りにつつまれて、読書の時間がより楽しく

お気に入りのジャケットのポケットにアルメニアペーパーをしのばせる方法も
常に香らせたいなら、普段生活するリビングや自室のみならず、玄関やトイレに置いたり、車のなかやキャンプやアウトドアを楽しむときに持っていったりという使い方も。場所を限定せずに香りをいつでも楽しめる。

また、火をつけずにアルメニアペーパーの香りを存分に楽しんだあと、香りが弱くなったと感じたときに火を付けて香りを復活させる使い方もあるため、気分で使い方を分けてみるのもよいだろう。

あらゆる生活のシーンで

香りの具合を自分好みに調節

香りの強弱を自分好みに調整できるのも、紙であるからこそできるアルメニアペーパーの醍醐味だ。

ささやかな香りを楽しみたいときには、アルメニアペーパーを半分や1/4など、好きなようにカットしても使える。香りが気になる玄関やシュークローゼットにしばらく置いて香りを落ち着かせてから、バッグや洋服にしのばせるという使い方も。

香りに飽きたときや特別感を出したいときには、季節の草花やお気に入りのキャンドル、アロマイオイルなどとアルメニアペーパー組み合わせて、香りをブレンドするのもよいだろう。香りがさらに奥深くなり、自分だけのスペシャルな香りと時間が楽しめる。

ウッディな香りのポプリと一緒に。両方とも火を使わないため、寝室でくつろぐときにも良い
着火の有無、香りの移らせ方、香りの強弱、その他の香りとの組み合わせ方。ベストな香り方を見つけるのも楽しい。

お気に入りの香りをいつもそばに

インテリアの邪魔をせず、好きなところに置けるのもうれしい
コンパクトなサイズ感が愛おしく、持ち運びの必要がない香水とはまた違って不思議な愛着が湧いてくる。お気に入りの香りをいつもそばに置いておけることは、想像以上に日常を豊かにし、幸せな気分にさせてくれる。

自分だけのお守りとして、いつもそばに
世界の人々から愛され、香りの芸術と謳われたサンタ・マリア・ノヴェッラのアルメニアペーパー。小さな紙片の大きな魅力をぜひ日常に取り入れてみてはいかがだろうか。

サンタ・マリア・ノヴェッラ | アルメニアペーパー

https://jp.smnovella.com/products/7011701

アルメニアペーパー 18枚入り
4,180円(税込)