家具や家電などをお気に入りのもので揃え、食事や睡眠にもこだわり、毎日を気分よく過ごしている方は多いだろう。しかしライフスタイルにこだわっている方でもスキンケアは適当という人の話をよく耳にする。朝に5分、夜に10分と1日15分を費やすスキンケア。たった15分、されど15分。1年で90時間以上をかけるスキンケアは女性だけのものではない。成分や香りにとことんこだわり、ボトルも外箱も美しいボーダーレスをテーマにしたスキンケアアイテムD.W.M.(ディーダブリューエム)を紹介したい。
水のようにニュートラルな使い心地の5つのアイテム
D.W.M.はクレンジング、洗顔料、乳液、化粧水、美容液とシンプルな5つのアイテムを展開し、「一人ひとりが秘めた未知なる力を静かに目覚めさせ、内から美しくなること」をブランドコンセプトとして掲げている。
D.W.M.の特徴の一つであるのが、水の優れた性質を追求するサイエンス(微弱荷電製法*)に基づき、水のようにニュートラルな使い心地ながらも、使い続けることによって肌の健やかさを保つこと。どのようにして誕生したのかD.W.M.を手がけるDwM Ltd.のブランドマネージャー伊藤氏にお話を伺った。
「誕生のきっかけは、大阪府にあるサロン『iki』を経営するヘアスタイリスト中昌幸氏が、微弱荷電製法が使われている化粧品に出会い、その品質に感動して開発者のもとを訪ねていったことからスタートしました。品質やデザイン、そして香りの体験など、全てが納得のいくもの且つ続けやすい価格で生み出したいとの思いから、D.W.M.の開発が始まりました」と伊藤氏は話している。
微弱荷電製法を用いた独自の技術と100%天然香料を用いた香り成分で、5つのアイテムの基となる「D.W.M.ベース」を開発。構想から商品化までには3年近くの期間を費やして完成した。
*微弱荷電製法:微弱荷電とは、人間・動物・植物など生きているもの全てに流れている微弱な電流(生体電流)の源をなすもの。D.W.M.のプロダクトでは微弱荷電製法を用い、製品に微弱荷電処理を施すことにより、化粧品における、界面活性剤や防腐剤の低減・成分の安定した均一分散・ 有用成分の角質層までの浸透を実現。
コンテンポラリーな重厚感のあるデザイン
パッケージやボトルのデザインも魅力の一つ。「プロダクト自体の使用感や品質、パッケージにおける視覚的な情報や、ボトルを持ったときの触覚などの要素も重要だと考えています。かねてから中と親交の深かった柳原照弘さんのTERUHIRO YANAGIHARA STUDIOにパッケージやボトルデザインを手掛けていただきました。日本だけでなく海外の様々な方たちもプロジェクトに関わっていただきながら、ブランドが完成いたしました」と話す伊藤氏。
国やジャンルの境界を超えたプロジェクトを手がける柳原照弘氏のデザインは、「デザインする状況をデザインする」という考えから作られている。外箱は目を奪われる印象的なイエロー一色で、恵みあふれる太陽の光や土を想起させるような温かみのあるオレンジの混ざったようなカラー。天然香料などを使ったプロダクトの場合、他社の場合だとパッケージはアーシーなカラーを使うことが最近の流行としてあるなかで、あえてイエローを選択したというのは興味深い。
5つのアイテムのパッケージは、それぞれD.W.M.のロゴタイプが異なり、幾何学性が美しくD.W.M.のプロダクトがサイエンスに基づくことを体現しているよう。パッケージの側面には日本語と英語で使用方法や成分が記載されており、研究器具や実験用品などを想起させるサイエンティフィックなデザインだ。
持ったときの質感や置いたときの佇まいにこだわっているという本体には、すべてガラスを使用。クリアなガラスを使用しているプロダクトもあれば、マット加工のガラスを使用しているプロダクトもある。それぞれのボトルのデザインと中身の色の組み合わせがプロダクトごとに異なり、ひと目見ただけでどの商品なのか直感的にわかるように設計された。
重厚感ある質感はラグジュアリーな佇まいとエレガントな気品を持ち、洗面台のみならずリビングや書斎などにもインテリアとして飾っておきたくなるほど。無駄のない洗練されたデザインは、さまざまなシチュエーションになじんでくれる。
また、D.W.M.はブランドの世界観と共鳴するアーティストとのコラボレーションを行なっている。
第一回目は国境を越えて主にファッション写真を通じて美しさを表現するフォトグラファー Casper Sejersenとコラボレーションし、第二回目はインドやベトナム、韓国を旅し、クラフトの担い手たちを訪ね、その暮らしぶりや所作を撮影するフォトドキュメンタリー作家のIsabelle Dupuy Chavanatとコラボレーションしている。ウェブサイトやアートブックなどのブランド全体のイメージディレクションを通して、D.W.M.の世界観を発信している。
植物の進化をモチーフにした香り
5つのアイテムは、海藻からコケ類、シダ類、針葉樹・広葉樹、そして多種多様な草類へ進化していくことを独自にイメージし、すべてのプロダクトに異なる香りを天然香料のみで設計。「香りは人間の本能や記憶を司るとも言われているほどです。香りによって引き起こされる体験は非常に重要なものだと考えており、それはスキンケアにも当てはまると考えています。品質の追求と香りの体験を両立できないかとの想いから、香りにもこだわりを持って独自の調合をしています」と伊藤氏は話す。
100%天然香料を使用した香りと成分を使用することに、とことんこだわったアイテムを一つずつ紹介していく。
クレンジング/クレンジングリキッド ウィズ モディフィケーション
美容成分が豊富に入った、ノンオイル処方のクレンジングリキッド。良質な水を用いた基材によって、肌の汚れを浮かせて、こすらず速やかに汚れを洗い落とす。
収れん作用があるといわれる配合成分であるレモン果実エキス(整肌成分)やローズマリー葉エキス(整肌成分)などを配合し、皮膚に潤いを与えながら肌をひきしめ、皮膚を保護。バジル、ジュニパーベリー、パチュリを使用した「藻」をイメージした香り。。
洗顔料/フェイスウォッシュ ウィズ モディフィケーション
摩擦など肌への負担を極力抑えつつ、汚れをしっかりキャッチする洗顔料。軽く泡立てて、肌にのせてなじませるだけで、毛穴の汚れや古い角栓など浮き上がらせ、しっかりと洗い落とす。
コラーゲンやヒアルロン酸(保湿成分)などの美容成分を配合し、洗い上がりはさっぱりとしつつも肌はうるおったまま。オークモス、アンジェリカルート、ベチバーを使用した「苔・シダ」をイメージした香り。
乳液/エマルジョン ウィズ モディフィケーション
化粧水の前にブースターとして、スキンケアの最後に水分の蒸発を抑える保湿ケアとして、二通りの使い方をすることが可能。全身の保湿ケアとしても使える。
コラーゲンやヒアルロン酸(保湿成分)、ヒト幹細胞順化培養液(整肌成分)、ヒト幹細胞順化培養液の角質層への浸透をサポートする規定化細胞培地9(保湿成分)を配合。ローズゼラニウム、ネロリ(オレンジフラワー)、マジョラムを使用した「花」をイメージした香り。
化粧水/トナー ウィズ モディフィケーション
豊富な成分と良質な水を用いた基材により、表皮に水分を導くための化粧水。肌に潤いを与え、もっちりとした素肌に。とろみのあるテクスチャーで、リンパを流すようマッサージしながらなじませる使い方も。ブラックスプルース、パイン、シダーウッドを使用した「森」をイメージした香り。
美容液/エッセンス ウィズ モディフィケーション
水溶性コラーゲン(保湿成分)、アスタキサンチン(うるおい成分)、ビート根エキス(整肌成分)配合の美容液。良質な水を用いた基材により潤いをしっかり保ち、透き通るような明るい肌へ。リトセア、フランキンセンス、ミルラを使用した「イネ・シトラス」をイメージした香り
植物の進化のはじまりである水藻をイメージした「藻の香り」を、スキンケアの初めに使うクレンジングに採用し、そのあとに使うアイテムの順に、生物の進化のステージを表現した5つの香りとなっている。深く呼吸をして身体の奥深くまでゆっくりと届けたくなる香りだ。
植物の力を借りて素肌と向き合う
ジェンダーや世代、国籍の境なく、地球に生きる私たちの変化し続けるライフスタイルにおいて重要な要素となるこれからの化粧品の新しい価値を追求しているD.W.M.。伊藤氏は「D.W.M.のコンセプトを表現する主な要素として、ユニバース・ヒューマン・ネイチャーがあり、それらの要素が合わさって一つになるとき、すべての人種やジェンダー、世代などから開放され自由になると考えています。ひとりひとりの内なる力を最大限引き出すことをコンセプトに作られたブランドであり、皆さまが本来持っている力や能力を最大限発揮するための手助けとなるようなブランドとして、サポートできればと願っております」と話す。
D.W.M.という名前は、イギリスの自然科学者・ダーウィンの著書である『種の起源』の中で述べている ”Descent With Modification (変化を伴う由来)” の頭文字から成る。種の起源でダーウィンはevolution(進化)のことを”Descent With Modification”と述べ、厳しい自然環境が生物に対して無目的に起きる突然変異を選別し、生物は常に環境に適応するように変化し、種が分岐して多様な種が生じると主張している。
descendant(後世)へと生を繋ぎ、多種と共存しながらmodification(変化)していく植物。偉大な植物の力を借りて、素肌と向き合い、個々が持つ本質的な美しさを変化させながら伸ばしていきたい。
従来の固定概念にとらわれない選択を
「ピンクやパステルカラーのパッケージ」「アンチエイジング」「美白」などのスキンケアアイテムが多く売れているなか、それが売れているからといって自分に合っているか改めて考えてみる。ジェンダーや年齢、肌の色に関係なく、スキンケアアイテムを自由に選択し、健やかな自分でいるために、心地よくスキンケアの時間を楽しみたい。
スキンケアをしている時間は仕事ややるべきことを忘れ、深く深呼吸しつつ、肌の状態を確かめながらていねいにスキンケアを行う。スキンケアする時間は言わば自分自身と向き合う時間ということをD.W.M.は教えてくれた。
D.W.M.
https://dwmcosmetics.com/クレンジングリキッド ウィズ モディフィケーション<クレンジング>
140mL 7,550 円(税込)
フェイスウォッシュ ウィズ モディフィケーション<洗顔料>
140mL 7,550 円(税込)
エマルジョン ウィズ モディフィケーション<乳液>
140mL 9,440 円(税込)
トナーウィズモディフィケーション< 化粧水>
120mL 7,550円(税込)
エッセンス ウィズ モディフィケーション<美容液>
50mL 12,220円(税込)
CURATION BY
東京生まれ。フリーライター・ディレクター。美しいと思ったものを創り、写真に撮り、文章にする。