Vol.268

MONO

10 SEP 2021

秋の夜長に楽しみたい、その日の太陽の光を蓄えて灯す「スフェラーランタン」

焼けるような暑さが少しずつ和らぎ、朝晩はいくらか涼しく過ごせるようになった。夏のはげしく照りつける太陽とは変わり、明るくやわらかな光を放つ秋の太陽へと徐々に変化していく日々。そんなやわらかな太陽の光を溜め込み、夜もその太陽の光を味わうことができる照明器具「スフェラーランタン」を紹介したい。毎日表情が変わる太陽を身近に感じることができ、アウトドアでも重宝する秋にぴったりのプロダクトだ。

どんな部屋にも馴染むインテリア性の高いランタン

スフェラーランタンは太陽のエネルギーで発電し、粒状の太陽電池に日光があたると、少しずつ電気を蓄えていき、上下にひっくり返すと、日中に蓄えた光が灯る。充電するときは太陽電池が埋め込まれているアクリルの部分を上に向け、室内の太陽光のあたる場所に置く。その日の太陽の光の量に応じて充電・点灯し、充電の残量が減ってくると少しずつ光量が落ちていき、蓄えた電気がなくなると日が落ちるように光がゆっくりと消えていく。晴れた日は晴れた分だけ、雨の日はささやかに灯る。スフェラーランタンが灯る光は、その日の太陽の光だ。

よく晴れた日に充電。明るく灯る

雨の日に充電。ささやかな光を放つ
スフェラーランタンは球状の太陽電池が埋め込まれた透明のアクリルと、ろうそくのようなやわらかい光を灯す電球色のLED内臓のアクリルシェード、その二つを繋ぐ天然木材でできた結合部分の三つのパーツからできている。ハードメイプルとウォールナットの2種類で、砂時計のようなシンプルなフォルムでキッチン、リビング、寝室などどんなインテリアシーンとも馴染む。

ウォールナットのスフェラーランタン

あらゆる光を効率よく採り込める太陽電池を内蔵

アクリル部分に埋め込まれている球状太陽電池は一粒が直径1mmほどの大きさでできており、光沢のあるグレー色をした小さなビーズのようで、円柱状にきっちり整列されている。よく目にする通常の平面でできた太陽電池とは異なり、一粒一粒が球状のため、あらゆる角度からの光を効率よく取り込むことができるのだ。球状の太陽電池は平面の太陽電池と比較すると受光面が多くなるため約3倍の光を採り込むことができる。スフェラーランタンを開発したスフェラーパワー社オリジナルの技術だ。

よく目にする平面の太陽電池とは異なる小さな太陽光電池
太陽は常に移動し続けるため光の当たり方は一定ではなく、光は雲で散乱したり、ガラスや水面で反射する光も存在する。「あらゆる光を効率よく採り込むためにはどうしたらよいか?」そんな問いからスフェラーランタンは誕生した。

石油ショック以降本格的な開発が始まった太陽電池。太陽電池の開発はどんどん進み、現在の日本における太陽光発電普及率は9%だ。最近よく耳にするであろうSDGsの17目標の7番目「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」にも太陽光発電は該当する。太陽光は地熱や風力と同様に、環境保護につながる再生可能な自然のエネルギーの一つ。太陽エネルギーには興味あるけれど、なんとなく大変そう…という人にも入門編としてスフェラーランタンをおすすめしたい。自宅で太陽のエネルギーを身近に感じてみてほしい。

他のランタンにはない魅力をもつスフェラーランタン

スフェラーランタンはコードレスのため、どこにでも置けるのも魅力の一つ。日中にインテリアとして部屋に置いておけば、夜はライトに早変わり。

他のインテリアを邪魔せずどこでも充電できる
スイッチを入れる煩わしさもなく、くるっと上下に回すだけで点灯するのは想像以上に使いやすい。灯油やガスなどを使う燃焼タイプのランタンと違い、転倒してもやけどしたり液体がこぼれたりしないため、インテリアとして安心して自宅で楽しむことができる。また、生活防水の設計のため、湯船でゆっくりしたいときやテラスでの食事にも使える。オイルタイプのランタンのように点灯しても熱くならず、風が吹いても消えることもない。

柔らかい光はリラックスタイムにぴったりで、寝る前やほんのりとあかりが欲しい時にも重宝する。キッチンやデスクの上などとっさに光が欲しい時にも便利だ。通常のLEDランタンは充電したり乾電池を入れたりしなければならないが、スフェラーランタンは日光に当てるだけで特別なお手入れも必要なく、ランニングコストもかからない。さらに重さも気にならず、とっさの災害時にも運びやすい大きさだ。USBコードが付属で付いているので補助的に充電することも可能。

自然的なものと人工的なもののあいだ

砂時計の砂が落ちるように、光を少しずつ蓄えていき、上下ひっくり返すと日中に集まった光で点灯する。スフェラーランタンは仕様もフォルムも砂時計のようではあるが、砂時計のように落ちていく砂とすでに落ちた砂が目に見えたり決まった時間を計ったりすることはできない。

コードレスで電気も使わず部屋に置いておくだけで充電できるというのは、非常に使いやすく便利なプロダクトのように思えるが、実はパーフェクトなものではないかもしれない。外出時に雲ひとつない快晴でも、帰宅して夜にスフェラーランタンをひっくり返してみるとすぐに消えてしまうこともある。今日は夜にランタンが使えなさそうという天気でも、突然晴れて蓄えた灯りで夜過ごせてしまうことも。その日の太陽光よって貯蓄できる光が異なるため、スフェラーランタンが灯す光も変則的で365日毎日違うところが面白い。

蓄えた光は目に見えないため、砂時計のように残りもわからず、いつ光が消えるのかもわからない。毎日の天候や太陽の動きによってその日の夜に使える光が左右されるスフェラーランタンは、私たちがコントロールできない自然の存在をひっそりと感じさせてくれる。スフェラーランタンを通して自分の予測を超えた存在や物事を許容する余裕を手に入れたい。

朝、ランタンをまたひっくり返して充電する
スイッチを入れれば電気を使え、コンクリートに囲まれた自宅で過ごしていると太陽の存在をつい忘れてしまうが、スフェラーランタンの毎日異なる点灯時間からは太陽が織りなす予測できないリズムを感じさせ、毎日表情が変わる太陽を身近に感じることができるだろう。

夜、オフの自分の時間を楽しむ

これからだんだんと長くなってくる夜をスフェラーランタンとともに楽しみたい
オンオフをスムーズに切り替えたい。そんな方にもおすすめだ。スフェラーランタンをくるっとひっくり返せば、昼と夜が切り替わり、仕事に没頭する時間が終わって自分のための静かな夜の時間がやってくる。日中に世界を明るく照らしていた太陽も、おだやかな光に変化して自分の周囲だけを照らす。

いつ光が消えてしまうかわからなかったり、日によって光量が変わってしまうスフェラーランタン。しかし、あえてそのランダムで気まぐれな灯りを楽しみたい。「この光が消えるまで読書をしよう」「たくさん充電できたからテラスで食事をしよう」というように、その日の夜のアクションを日中の光によって柔軟に決めるのも面白い。光がしばらく灯るかと思えば、ふっと終わりがやってくる。たまには合理的に思考することをやめ、自然の力に身を委ねてみてはどうだろうか。

スフェラーランタン

http://www.sphelar.com/

ウォールナット / ハードメイプル 33,000円(税込)
充電時間:快晴時の直射日光下で約4-6時間
点灯時間:最長4時間 *付属のUSBケーブルで充電と点灯が可能