暮らしていく上で欠かせない存在である照明器具。部屋全体を明るく照らすだけでなく、インテリアとして室内を彩ってくれるものであり、作業用や就寝前など、目的に合わせたタイプを選ぶことができる。だがデザインや光源の大小は選べるが、「灯りのかたち」はどうだろう?通常の照明では難しいけれど、Gingko(ギンコー)のスマートアコーディオンランプはその時の気分や用途に合わせ、灯りのフォルムを変えることができるクリエイティブな照明だ。
自分でクリエイトする、自分だけの灯りのかたち。
家で過ごす時の気分はさまざまで、ゆっくりと一人静かに過ごしたい時もあれば、賑やかな気分で過ごす日もあるだろう。自分で作り上げた住まいの中で、私たちはその時の気分に合わせて、心にぴったり来るものを探し、選び、快適な時間を過ごそうと試みる。
例えば音楽。明るい気分の時はそれに合わせて心が弾むようなテンポの曲を選び、落ち着いて過ごしたい時はしっとりとした音楽を選ぶ。あるいは飲食、それに必要な食器類。和食を食べたい気分となれば、そのメニューに合わせて器を選択し、好みの飲み物に合ったグラスをチョイスする。
同じようにインテリアもその時の気分や流行に合わせ、時にはスタイルやコーディネートを変えて心地良い空間を作り出す。だが住まいの中で変えることのできないものもあり、そのひとつは灯りと言えるのではないだろうか。
多種多様なデザインから選ぶことのできる照明だが、種類によって光源の大きさを変えることができても、「灯りのかたち」は変えることは難しく、用途や目的、その時の気分が異なっても、周囲を照らす灯りそのものは変わらない。
Gingkoのスマートアコーディオンランプは、楽器のアコーディオンにインスパイアされた灯りのかたちを変えることができるプロダクト。曲げたり伸ばしたり、縦に置いたり横にしたり、吊るしてみたりとさまざまなかたちをクリエイトし、その時の気分に合わせて灯りを作ることができる。
アイデア次第で多くのかたちを描くことができるこのランプは、畳めばコンパクトなサイズとなって持ち運びも自在。その時の気分に合わせて、好きな場所で好きなかたちの灯りを作り、楽しめる照明だ。
サスティナブルを核に。イギリスで生まれた「Gingko」
Gingkoはポール&ナタリー・サン夫妻がオックスフォードで立ち上げ、現在はイギリス南部にあるウォリックシャーに拠点を置くプロダクトデザインブランドだ。日本語で「イチョウ」を意味するこのブランド名は、地球上で最も古くから存在する木のひとつと言われているイチョウのように美しく、暮らしに役立つプロダクトを造りたいという意味が込められているそうだ。
二人の子供を持つサン夫妻は環境に優しい製品を造ることを意識しており、美しいデザインと最先端のテクノロジーを持ちつつ、サスティナブル(持続可能)であることをプロダクトの核としている。
彼らの製品の99%はプラスチックではなく、竹やメープル材などの天然素材を使用しており、将来的には全製品のすべての素材をサスティナブルなものにするという。
「退屈から逃れる ― より良い生活のためのデザイン」が彼らの理念であり、すぐに飽きられてしまうもの、すぐに廃棄されてしまうプロダクトではなく、暮らしを豊かにし、長く愛せることができる製品を生み出し続けている。
Gingkoではこのアコーディオンランプの他に、同じ仕組みを持つブック型ランプやR字型ランプを始め、シンプルで美しいプロダクトを数多く展開している。2018年から2020年の英国ギフト・オブ・ザ・イヤー賞、2020年英国ファニチャー・アワードなどさまざまな賞を受賞しており、常に新作が楽しみとなるブランドだ。
好きな時に、好きな場所で、好きな灯りを。
閉じた状態だと手のひらに収まるほどの大きさのこのランプは、両端を持って蛇腹を開くと灯りが点く仕組みになっている。蛇腹の部分を伸ばしたり縮めたりして、置く場所や気分に合わせてさまざまなフォルムを楽しめる。
ひとつのランプに柔らかなぬくもりのある暖色系と、クールな寒色系の2種類の光源が内蔵されており、開閉するだけで光源を切り変えることができるので、その時の気分や用途に合わせて選んでみたい。
このランプは灯りのかたちをクリエイトするだけでなく、使用する場所もテーブルの上だけに限らない点も特徴と言えるだろう。両端の木製部分にはマグネットが内蔵されているので、磁石が付く金属のものに固定すればウォールランプのような使い方もできるのだ。
付属の磁石付きストラップを木製部分に付ければランタンのようなかたちになり吊るすことができ、ペンダントライトとしての使用も可能だ。
付属のUSBケーブルで給電し、連続使用可能時間は6~8時間ほど、大きさは10cm × 10cmとコンパクトで重さは350gと軽量サイズ。場所を取らずに持ち運びができるのでアウトドアでの使用も向いている。蛇腹の部分には耐水性のあるタイベック紙を使用しており、温かみのある柔らかな光りを実感できるだろう。
音楽を奏でるように、灯りを作る
このライトの発想の元となっているアコーディオンはご存知のように、ひだ状になった蛇腹のふいご部分で空気を送って音を奏でる楽器。ヨーロッパでは19世紀に普及されたと言われており、日本では詩的で美しい「手風琴」という名で親しまれてきた。
蛇腹の部分が照明となり、灯りのかたちを作ることができるGingkoのスマートアコーディオンランプは手の中にすっぽりと収まる繊細な楽器のようだ。手風琴で細やかな音色を演奏するように、自分だけの灯りのかたちをクリエイトしてみよう。
日が暮れて室内に闇が差し掛かる時間、仕事終わりにゆっくりとくつろぐひと時をどのように過ごそうか。きりりと冷えた白ワインをグラスに注ぎ、読みかけの本のページを開く。音楽を奏でるように灯りを作り、柔らかな灯りの元でほっとひと息。
住まいで過ごす自分だけの大切な時間を、Gingkoのスマートアコーディオンランプが優しく彩ってくれるだろう。
Gingko Smart Accordion Lamp
CURATION BY
1992年渡英、2011年よりスコットランドで田舎暮らし中。小さな「好き」に囲まれた生活を求めていたら、夏が短く冬が長い、寒い国にたどり着きました。