気温が低くなるにつれ、温かい靴下が恋しくなる。人々の生活に欠かせない靴下は、なんと紀元前2〜3世紀の頃から、アラビアの遊牧民によって作られていたという。さらに16世紀には、編み機が誕生。現在に至っては、低価格を追求したものやデザイン性を追求したもの、履き心地や機能性を追求したものなど、幅広いタイプの靴下が手に入れられるようになった。そこで今回は、多くのセレクトショップで取り扱われているドイツの靴下ブランド、FALKE(ファルケ)に注目。 “ちょっといい”靴下を日常に取り入れると、暮らしはどのように快適になるのだろうか。
いつもの靴下を見直してみる
ものを置ける場所は有限だ。古いものがどうしようもなくなったら、新しいものを手に入れることを検討するし、新しいものが欲しくなったら、今あるものをどうするか考える必要がある。衣食住のあらゆる面において、手にしたものやその扱い方を見直し、より心地よいものを求めて適切に新陳代謝させていく。それこそが、快適な暮らしを営むために、大切なことなのではないだろうか。
ある日引き出しを開けると、3足1セットで買ったリーズナブルな靴下たちが、新旧入り乱れてぎっしり詰まっていた。すでに見慣れた光景となってしまっていたが、「さすがにこれはなんとかしなければ」と感じる。そもそも靴下は下着の部類だし、消耗もしやすい。だから乱雑な扱いになるのは仕方がないのかもしれない。しかし他の衣類は素材や形をこだわって選び抜き、大切に着ているのに、靴下だけぞんざいな扱いなのはいかがなものか。考えた末に、長く使えて履き心地のよい“ちょっといい靴下”に変えて、「少なくてもいいから、引き出しの中を愛着ある靴下だけにしてみよう」という結論に至る。
愛着のない古びた靴下たちを手放し、お気に入りになる靴下を手に入れる。そこで選んだのが、FALKEの靴下だ。
ドイツで100年以上の歴史を誇るレッグウェアブランド「FALKE」
FALKEは1895年、フランツ・ファルケ氏がドイツで設立したレッグウェアブランド。設立当初から人間工学に基づいた製品を提案し、素材開発にもこだわり続けている。FALKEのレッグウェアは非常に多様なバリエーションがあり、現在はスポーツライン、カジュアルライン、ビジネスラインが並ぶ。性別を問わず、あらゆるシーンで活躍するレッグウェアが手に入るブランドだ。
日本のセレクトショップで特に人気なのが、FALKEのスポーツラインである。つま先部分に「R」と「L」のマークが入った特徴的なデザインだ。左右を見分ける必要がある理由は、非対称なヒトのつま先の形に合わせて、靴下も左右非対称の立体デザインにしているから。こうすることで、履き心地やフィット感、歩きやすさを実現している。今回はこのスポーツラインの中から、定番モデルの「RUN」と「WALKIE」の2種類をチョイスした。カラーバリエーションが豊富で、選ぶのも楽しい。
「RUN」は、靴下の踵からつま先にかけてパイル地を採用し、足底をしっかりサポートしてくれるモデル。薄手でカジュアルに履けるデザインなので、スポーツ用だけでなく、日常使いにも最適なアイテムだ。
一方の「WALKIE」は、スポーツラインの中でもトレッキングやウォーキング用に特化したモデル。厚手で丈夫な靴下で、保温性が高いのはもちろんのこと、伸縮性のある編み目にすることで通気性の良さも実現している。
両立する「履く心地よさ」と「ファッションに合わせる心地よさ」
さっそく「RUN」を履いてみよう。薄手の生地が足の形に合わせて程よくフィットする。また、足裏に触れる部分がタオルのようなパイル地になっているので、地面に足をつけるたびに、ふわりと心地よい感触を受ける。
今回薄いグレージュのNATUREを選んだのは、最近買った薄いグレーのスニーカーに合わせるためだ。スニーカーとパンツの間からチラリと見える靴下は、意外にも全体のバランスを大きく左右するもの。漂白された白い靴下とは違う風情を醸し出してくれた。
続いて「WALKIE LIGHT」を履いてみよう。厚手の靴下といえば「秋冬に履くもの」というイメージがあるが、「WALKIE LIGHT」の場合は「春も夏も、1年中愛用している」という人が多く、リピート率も高いそうだ。末端冷え性な上に、日頃からよく歩く筆者にもぴったりである。
履いてみると、確かに程よい厚みがあり、歩くとふかふか。この柔らかくふっくらとした感触がたまらない。爪先から足首まで暖かく包み込んでくれる上に、通気性が良いので汗をかいても蒸れにくいのも嬉しい。やみつきになる人が多いというのも納得だ。
今回FORESTというアースカラーを選んだが、この色が絶妙な風合いで、厚手の衣類にも合わせやすい。しっかりと寒さをしのいでくれるので、ちょっとしたお出かけの時にサンダルと合わせるのもいいだろう。
履き心地がよく、ファッションの一要素としても気分を上げてくれるFALKEの靴下は、すっかりお気に入りとなった。そんな靴下だからこそ、しまう時も美しく収納したい。左右セットにした状態で丸めて、小さく仕切った引き出しにいれることで、選びやすく取り出しもしやすい。靴下選びがますます好きになるだろう。
心地よくおしゃれに履ける、“ちょっといい靴下”。これからの季節、パートナーや家族など親しい人へのプレゼントとしても喜ばれることだろう。きっと「毎日をいい気分で過ごしてほしい」という思いが伝わるはずだ。
足元からほんの少しの幸せを積み上げていく
靴下は一般的に、見せるアイテムではない。それゆえこだわりのないものを選びがちだが、選ぶ視点を少し変えれば、足元の心地よさとおしゃれさが両立するアイテムになる。実際に“ちょっといい靴下”を選んでみると、“些細だけれど嬉しい変化”が日常にたくさん生まれることに気づく。足元を見直せば、1日中、1年中の幸せが、少しずつ積み重なっていくのかもしれない。
FALKE
FALKE「WALKIE LIGHT」
FOREST ¥2,750
FALKE「RUN」
NATURE ¥1,980
https://www.falke.com/
CURATION BY
フリーライター・エディター。専門はコミュニケーションデザインとサウンドアート。ものづくりとその周辺で起こる出来事に興味あり。ピンときたらまずは体験。そのための旅が好き。