Vol.513

KOTO

16 JAN 2024

風で描くアート アルコールインクアートであなただけのアートを

身の回りに好きなものを揃えて「自分らしく」暮らす。簡単そうだけど、インテリアから家電まですべてを完璧に揃えようとすると、物理的に経済的に、また精神的にも厳しいもの。そんなに頑張らなくても、ちょっとした工夫次第で「自分らしい暮らし」は実現できる。例えば陶芸教室でつくった手作りのマグカップで過ごすカフェタイム。プランターで育てた野菜を使ったサラダで朝食。既製品でなく「自分で作ったオリジナルの品」で、自分らしさを満喫してみてはいかが?今回は、そんな「自分らしさ」が気軽に楽しめる「アルコールインクアート」を紹介したい。自分で描いたアートを部屋に飾って、世界でたったひとつのアート体験を楽しんでみよう。

アルコールインクアートとは?

風を操り自由に描く
「アルコールインクアート」をご存じだろうか。アルコールインクを紙に垂らし、インクの広がりやにじみ、色の混ざり合いから偶然出来る模様を楽しむ技法。ドライヤーなどの風を使ってインクの流れを操ることから「風を操るアート」「風で描くアート」とも呼ばれている。海外では以前からFluid(流動性)アートのひとつとして知られていたが、近年日本でも急速に人気が高まっている。

初心者でも楽しめるのが魅力
アルコールインクアートの一番の魅力は、初心者や絵心の無い人でも気軽に始められること。偶然のインクの広がりを楽しむアートなので、そもそも「正解」というものがない。上達すれば、インクを思い通りの方向に流したり色を美しく重ねたりと、いろんな技でもっと自分らしい作品を描けるようになるが、初めての人でもそれなりに描くことができる。何より300種類以上のインクから好きな色を選ぶだけでも楽しそうだ。

アルコールインクアートはこんなことができる

どんなアート作品ができるのか、少しご紹介しよう。自分で描いた作品は、パネルに貼ったりフレームに入れ「絵画」として楽しめる。「自分の絵を飾る」という、ちょっとしたアーティスト気分を味わえる。

アルコールインクアートで装った壁掛け時計
少し上達すれば、オリジナルのスマホケースやアクセサリー、ネイルチップも作れる。壁掛け時計を作成するワークショップも人気だ。自分で仕上げた時計を壁にかけ、毎日を過ごすのはかなり魅力的に思える。

スマホケースも自分色で描いて
「世界でひとつだけのアート」はプレゼントにも最適。その人に似合う色を選び、相手をイメージしながら描いた作品は、どんな高価なものより心のこもった贈り物に違いない。

世界にひとつだけのプレゼント
好きな色を選んで、紙にインクを落とす。次にアルコールを垂らし、手元に集中してインクを広げていく。その繰り返しはいつの間にか「無の境地」に入り込んで、ヒーリング効果につながるらしい。世界で一つだけのアートを描きながら、心まで軽くなる。全国各地で体験ワークショップが開催されている「アルコールインクアート」は、今注目のアートだ。

ワークショップでアルコールインクアートを初体験

絵になじみのない自分でも、楽しむことができるだろうか。早速、アルコールインクアートのワークショップを体験してみることにした。

こんな美しいアートを描いてみたい
今回伺ったのは名古屋でアルコールインクアートのスクールを開講しているIRODORI ART STUDIO(イロドリアートスタジオ)。受講者はすでに700名を超え、遠方から飛行機や新幹線でやってくる受講者もいるという人気スクール。オンラインで受講することもできるので、各地でも受講可能だ。受講者のほとんどが「アルコールインクアートは初めて」という「体験ワークショップ」に参加してみることに。

「不器用な自分でも本当にできるかな」ちょっと緊張しながら部屋に入ると、「大丈夫ですよ!」と講師のtaeco先生が笑顔で迎えてくれた。テーブルの上には色とりどりのインクが並び、それだけでも気分が高まる。他の受講者の皆さんと顔合わせをして席へ着くと、眼の前にはマットやアルコール、ドライヤーなど必要な道具が勢ぞろいしている。

まずは材料の説明から 画材は手に入れやすい物ばかり

材料も入手しやすく、すぐはじめられる
まず、材料や道具の説明。最低限、アルコールインクと無水エタノール、ユポ紙などの耐水紙。それとドライヤーがあれば始められる。どれも通販などで入手できるものばかりだ。インク、用紙、パネルがセットになった「スターターセット」が販売されていることも。風を送るドライヤーは、くるくるドライヤーの先端を外すと使いやすい。アルコールを垂らすときは先端が針のように細くなっているニードルボトルがあると便利。これも入手はかんたん。

注意が必要な点もある。アルコールの扱いは、アレルギーのある人は作業できないし、火気は厳禁、換気するなど丁寧に説明を受けた。油性染料インクは、服についたら落ちない。エプロンを付け、手にぴったりする薄手のプラスチック手袋などを着用しよう。

丁寧なデモンストレーション 自分でもできそうな気持にしてくれる

デモンストレーション後、いよいよ体験スタート

説明の後は、先生のデモンストレーション。色を選んで用紙にインクを落とし、まわりにアルコールを垂らす。そこにドライヤーで風を当てるとインクが用紙の上を滑るように広がっていく。これなら難しくなさそう。「出来そうかも・・・」自分でもやりたくなってきたところでタイミングよく「それじゃ、やってみましょう」の声が。

どの色にしよう・・・インクの色見本を見るだけでも心がはずむ
配られた用紙を広げ、まずは色を選ぶ。色を使いすぎると色どうし重なって濁ってしまうので、初心者は3~4色を使うと良いそうだ。200色はあると思われるインクは見ているだけで楽しいが、手を伸ばすと迷ってしまう。先生にアドバイスをもらいながら、用意してあった色見本でイメージを作りつつ、ようやく4色をチョイス。

最初の一滴 緊張の一瞬
インクのキャップを取り紙に垂らそうと構えるが、真っ白な紙を前にどこに落としていいやらプチパニック。用紙は3枚あるから失敗してもあと2枚あるし・・・エイヤッ…ちょっとビビったのか思ったより隅の方に落ちてしまった。

落としたインクにアルコールを垂らすとグラデーションがあらわれる
インクの周りにアルコールを垂らす。量は…このくらい?そこにドライヤーで風を当てるとアルコールに沿ってブワッとインクが流れ出す。濃淡が浮き出るのが面白くて最初の不安はどこへやら、次から次へ垂らしてはドライヤーの繰り返し。

風の当て方などその都度先生にアドバイスをいただくが、インクはなかなか思ったように広がってくれない。思わぬ方向に流れてしまったインクが、かえっていい味を出すことも。

思ったようにインクが広がってくれない…けれどそれも楽しい
「アルコールインクアートに正解はないので、自由に描いてください」taeco先生が言っていた意味が理解できた。「風を操る」というよりは「風に操られている」感じだが、それでも模様になっていく。

思い思いの色で自由に描いていける
他の受講者の皆さんもそれぞれの色でインクの広がりを楽しんでいる。同系色でまとめる人、カラフルに描く人。十人十色だ。

真剣だけど和気あいあい。他の人の作品を見るのも楽しい
つい熱中すると無言になってしまうが、合間に隣の人の作品をのぞいて「その色きれいですね」などと会話するのもまた楽しみ。

完成!世界でたったひとつのマイ・アート

ドライヤーの当て方も少しコツがわかってきた
だんだん調子に乗ってくると、インクやアルコールの垂らし方が大胆になってくる。佳境にさしかかったようだ。

インクの色も広げかたも十人十色
さて、そろそろ「終わりを決める頃合い」。もう少し色を足すほうがいいのか、ここで終わりにするのか決めるのも自分。アルコールインクアートには正解も不正解もない。自由に決めればいい。

どの作品をパネルにしようか…悩みどころ
思い思いに描いた3枚の中から、どの一枚をパネルにしようか思い悩む。パネルの大きさに合わせた黒い枠を当てて、仕上がりをイメージしてみる。どの部分を切り出すかも悩みどころ。

切り出し方によって作品の雰囲気はがらりと変化
フレーミングを決めたら、いよいよパネルに貼り付ける作業。用紙をパネルに合わせてカッターで切り、パネル表面の両面粘着シートに貼りつける。

ずれないよう、ていねいに位置決め

表面保護スプレーでコーティングすれば、世界にひとつのアートが出来上がり!
パネルに貼ると、実力以上にきれいにみえるので達成感もひとしお。作者の個性がそのままあらわれるらしい。皆で先生の話を聞いて同時に始めたのに、仕上がっためいめいの作品は色も模様も全く違っている。インクを広がすのに無心になったせいか、なんだか気分までスッキリしている。

はじめて描いた一枚がアートに
「初めての人でも大丈夫。無心でアートをめいっぱい楽しんで、夢中になれる時間を過ごしてください。作品が仕上がっていく様子に心も癒されますよ。」taeco先生の言葉どおり、久しぶりに「無」になる時間を満喫できた。

自分で描いたアートを飾ってみる

飾ってみるとそれなりに見えるのでなんだか嬉しい
持ち帰った自作のアートを部屋に飾ってみよう。

パネルにしたものは壁に掛けてもいいし、100均で購入できる小さなイーゼルに立て掛けてもなかなかいい具合。パネルにしなかった2枚は、切り抜いてフォトフレームに入れてみよう。スマホケースに入れれば、オリジナルのスマホケースにもなる。絵心の無い私にとって「自分の作品を飾る」のは初めての体験。なんだかまんざらでもない気分。つかの間のアーティスト気分に浸ることができた。

自分だけのアートをぜひ楽しんで
世界にたったひとつの自分の作品を描くことができるアルコールインクアート。

初めてでも大丈夫。まだ「風を操る」ことはできないけれど、風にまかせて伸び伸びと自由に自分らしく。楽しみながら気分もリフレッシュ。忙しい日々の合間にぜひ、体験してみてほしいおすすめのアートアイテムだ。

IRODORI ART STUDIO

https://irodoriartstudio.amebaownd.com/

体験レッスンはこちら
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