Vol.67

FUNCTIONAL

24 SEP 2019

「貼る」文具の進化系。使うほど惚れるコクヨ「GLOO」の機能美

日々使うものだからこそ、使う人の個性が表れる文具。万年筆、ペン、ノートなどは特にこだわりをもって選ぶ人が多いが、「貼る文具」はどうだろう。のり、接着剤、テープ…どうしても単純作業の傍らにある裏方的存在のような気がする。実際、筆者もデスクに置いても様になるものを長年探していたが、なかなか見つからず、引き出しの常連となっていた。
しかし、このたび発見したコクヨの接着・粘着用品の新ブランド「GLOO(グルー)」は、そんな「貼る文具」を主役に引き上げてくれた。「”貼る”は何かと何かをくっつけ、新しい何かを作り出す行為であるはず」という思いのもと生み出されたアイテムたちは、デザイナー佐藤オオキ氏が率いる「nendo」による洗練されたファンクショナルなデザイン。そこに込められた美学とは?

「常識を疑って」再解釈した答えがここに

2019年1月に発売された「角までぬりやすいスティックのり」「持ち方えらべるテープのり」「色が消える瞬間接着剤」「片手で軽く切りやすいテープカッター」は、コクヨの技術力と、世界的なデザイン賞を多く受賞しているnendoによるデザインがコラボレーションして生まれた。

「新ブランドを立ち上げるにあたり、”定番の常識”を一つひとつ疑うことから開発が進められていきました」とコクヨ開発担当の三井隆史さん。

一般ユーザーがどのような使い方をしているのかを分析してデザインに落とし込んでいったという。


使う時だけでなく、使わない時のデザインも考慮されている。多くの「貼る文具」はカラフルな色合いで、机の上にあるとゴチャゴチャした印象になってしまいがち。「GLOO」は白を基調としたスマートな佇まいで、クールにデスク上をまとめてくれるし、文具好きの筆者としては、他のこだわりの文具のデザインを引き立ててくれるのもうれしいところ。

肝心の使い心地はどうだろう。

円筒型じゃなくて四角形!「角までぬりやすいスティックのり」

四角形なので、コロコロ転がりにくい。しっかり貼れるタイプのもの、塗ったところがわかりやすい色付きタイプがある。

角まできれいに塗れる。
円筒形が定番だった、その常識を疑うことで生まれた、四角形というアイデア。確かに、多くの紙は角が四角。そのストーリーからも、クリエイティビティを刺激される。

今までにない形だけに、のり自体の開発に試行錯誤があったようだ。

「従来の円筒形から形を変えることで、繰り出す容器や貼る紙の摩擦による抵抗のかかり方も変わるため、のり自体をイチから見直す必要がありました。のりの最適な硬さや、接着力のバランスを見つけるために、何回も試作を繰り返しました」

四角いのりに密閉性の高い丸キャップを組み合わせ、のりの乾燥を防いでいる。
スティックのりは通常、フタをくるくると開けて中身を出し、逆の動作をして収納する。使う時に両手がふさがってしまうことになる。一方で、「角までぬりやすいスティックのり」は片手だけで使える。フタの縁に親指を引っ掛けてパチっと音を立てて開けるときの心地よい使用感、角まで綺麗に塗れるというスティックのりの機能面まで、すべてが考え抜かれたデザインだと実感できる。

塗り終わったらフタをデスク等に押し付けて閉じれば、そのまま立てて置ける仕様。片手で完結。

あなたはどちら派? 2wayタイプの「持ち方えらべるテープのり」

封筒ののり付けに便利なしっかり貼れるタイプ、付箋がつくれる貼ってはがせるタイプ、プリント貼りに最適な貼り直しができるタイプと、3種類ある。同社の「ドットライナー」で培った独自の加工技術を使い、のり切れのよさと接着力を両立。
「人差し指で押さえつけるように持つ人」と「全体を握るようにして持つ人」どちらにも対応したテープのり。筆者はまっすぐに長辺を塗りたいときは前者、封筒など横ラインに細かく塗るときは後者、とシチュエーションによって使い分ける派である。しかし、従来のテープのりでは、前者では握りづらいことと指で塗っている場所が見えなくなること、後者では紙に対して水平にスライドさせることが難しくて塗りムラができることに、不便を感じていた。

「人差し指で押さえつけるように持つ人」

「全体を握るようにして持つ人」
しかし「持ち方えらべるテープのり」はどちらの使い方に対しても快適。ボディに目盛りが付いていて、「1」に合わせると「人差し指で押さえつけるように持つ人」、「2」に合わせると「全体を握るようにして持つ人」に使いやすい仕様となる。「1」にすると、人差し指がボディのカーブ部分にフィットする形となるだけでなく、指先で塗っている場所も隠れることがない。「2」に合わせると、先端が細くなっているため握りやすく、塗り口が少し外側に出っ張る形になるので、紙に対して水平にスライドすることも簡単に。

カチカチと回転させて角度を変える時の動作が合体ロボみたいでカッコイイ! 収納するときに連動してキャップが閉まるのも、ロボットが基地に帰っていくみたいでワクワクする。
使う人の個性や使うシチュエーションをすべて解消し、快適な使い心地に昇華させる。新しい文具体験だ。

塗った場所がわかりやすい。「色が消える瞬間接着剤」

硬質プラスチック、金属、合成ゴムなどのスピード接着に最適な液状タイプ、陶器や木材の接着に適した液垂れしにくく染み込みにくいゼリー状の2タイプ。写真は前者。
多くの瞬間接着剤は透明。思わず指で触ってくっついてしまった……なんていう経験は誰しも一度はあるだろう。筆者も例にもれず、瞬間接着剤を使ったあとの指先は大変なことになる。しかし「色が消える瞬間接着剤」は、塗った瞬間は赤色、徐々に色が薄くなっていき、10~20分で透明に。塗った場所がわかりやすいので、初めてあの失敗をしないで済んだのだ。

光に反応し次第に色が消える「レッドテック」の技術を活用。割れたプラスチック製アクセサリーの断面に塗って、接合を試みる。塗りたては赤色。

15分後。下部が接合した部分だが、色が透明になり、接続面がどこかわからなくなった。
キャップは後ろに挿しておけるので、使用後に見つけるのに時間がかかってノズルが乾いてしまうことも防げるし、ノズルの断面が斜めになっていて点も線も塗りやすい、と従来の瞬間接着剤の問題点が華麗にクリアされている。

キャップのデザインにも工夫が。開けやすくて転がりにくく、さらには二重構造にすることで密封性を高めている。
こちらも使用感だけではない。デスク上に置くときから使用後まで、徹底した機能美を感じられる。

持ち運びも据え置きも対応。「片手で軽く切りやすいテープカッター」

木面などの凹凸のある面でなければ、平らな水平面にしっかり固定できる。
オフィスで特に迷うのが、テープカッターの存在。よく使うならデスクに置いたままに、時々しか使わないなら持ち運びしやすい小型のものを引き出しに入れている人が多いのではないかと思う。
筆者は後者だ。しかし、片手でテープカッターを固定して、もう片手でテープを切る、つまり作業中に両手がいちいち塞がるのはストレスがたまる。小さくテープを切り分けて、たくさんテーブルに貼っておいたりもするけれど、途中で腕についたり絡まったりして、非常に切ない思いをすることが多い。
ちなみに据え置き型のものをよく使う友人は、デスクの幅を取ることと、他の場所に移動して作業するときに運ぶのが重たくて面倒だと嘆いていた。

この「片手で軽く切りやすいテープカッター」は、その両方に対応するアイテム。126gと軽量で運びやすい上に、底についている吸盤をデスク等の水平面に軽く押し付けるだけで簡単に固定できる。テープも力を入れずとも片手で軽やかに美しくカットでき、非常に快適だ。リング状の持ち手を持ち上げれば、力を入れずにキュポッと簡単に剥がせる。

吸盤がついている。
快適に文具を使うというだけではない。ワークスタイル自体もスマートにしてくれるテープカッターだ。

見て、置いて、使って。文具でワークスタイルをリデザインする

「GLOO」は、さっそく筆者のデスク上の文具の仲間入りを果たした。引き出しから出し入れしない分、作業効率もアップ。単にデザインが秀逸であるというだけではない。快適で心躍る使用感を兼ね備え、ワークスタイルに彩りを添えてくれた。

“貼る文具=裏方”という常識を捨てるときがやってきたのだ。

コクヨ「GLOO」