世界中からウイスキーファンが訪れる戸部のモルトバー
ジャパニーズウイスキーのラインナップも充実。もちろんビールやカクテルなども豊富で、地元の方々はもちろん全国各地や貴重なジャパニーズウイスキーを飲むために遠く海外からのウイスキーファンも訪れる場所だ。今回はウイスキーの聖地スコットランドの蒸留所を巡り、そこから得た知識と経験で来店者に特別な時間を提供してくれる倉持さんに、ボトラーズウイスキーの魅力についてたっぷり語って頂いた。
一つの樽から直接注がれた小ロットのボトル
有名な銘柄のオフィシャルボトルは安定した味わいと品質を保つために、複数の樽からブレンドしてボトリングされていることがほとんどで、アルコール度数も強くなりすぎないように加水されたり、色濃く見せるように着色をしてあるウイスキーも少なくない。
それに対してボトラーズは樽から出したそのままの自然な状態をボトリングしているウイスキーが多く、加水をしないボトルをカスクストレングスと呼び「樽そのままの強さ」を意味している。また一つの樽からのみボトリングされたシングルカスクと呼ばれるウイスキーも珍しくない。一つの樽からわずか100本前後しか取れないウイスキーは、2度と手に入らない非常に貴重なボトルとして、世の中のウイスキー通の憧れの的となる。
ボトラーズでは、オフィシャルからはリリースされていない熟成年数のボトルを出したり、独自の樽に移し替えて、さらに熟成させたりと自由な方法でボトリング出来るため、個性のある面白いウイスキーが生まれるという。
飲み比べて分かるウイスキーの個性
まずスコットランド北部の島オークニー諸島にある蒸留所「ハイランドパーク」のスタンダード12年と老舗のボトラーズブランドである「ゴードン&マクファイル(GM)」を飲み比べてみた。
GMはスコットランドで19世紀からオリジナルボトルを販売しているボトラーズで、数千樽を所持し独自のボトルを数多く出している老舗のブランド。コニサーズチョイスはGMの顔とも呼ばれる代表的なシリーズで、ボトラーズの歴史そのものであると言える。今回出して頂いたボトルは1999年に蒸留されてからバーボン樽で熟成され、2018年に瓶詰めされたもの。熟成年数は19 年となる。ここまで詳しい情報がラベルに記載されているのも、ウイスキー通であれば必ずチェックしておきたいポイントだ。
樽の種類が記載されているのは、例えばアメリカのバーボンには新樽でしか熟成させてはいけないという規定があるためで一度熟成に使われた樽は使えなくなる。逆にスコッチでは新樽はほとんど使わないので、バーボンで一度使用した樽でスコッチを熟成させるためにアメリカから輸入し再利用されている。
樽の大きさや材質、過去に何を熟成されていたかによってウイスキーの風味が大きく変わるため、樽の違いはウイスキーの個性に大きく変わってくるのだ。この樽の個性をそのまま楽しめるのはシングルカスクならではだろう。
それに対してオフィシャルのボトルは12年と表示されているので、12年以上の長期熟成されたものやシェリー樽バーボン樽で熟成されたウイスキーを蒸溜所のエキスパートなブレンダーが混ぜ合わせ、安定したハイランドパークの味になるように作られている。
熟成年数、樽の種類、アルコール度数も違い同じ蒸溜所の物でもオフィシャルの12年とボトラーズの中身は全く違う。しかし「オフィシャルの方が良い、ボトラーズの方が良いということではなくて、それぞれ楽しみ方が違うんです」と倉持さんは言う。
ボトラーズでしか飲めない閉鎖蒸留所のウイスキー
また1998年に閉鎖されたインペリアルのような、すでに稼働していない蒸留所もあり、残っている樽が無くなったら二度と飲むことが出来ないという幻のウイスキーもある。このようなウイスキーが飲めるのもボトラーズの大きな魅力だと言う。
とっておきのもう一本は近ごろでは人気がありすぎて、オフィシャルでも入手困難なスプリングバンクの1970年に蒸留された34年物は、こちらも世界に151本しか存在しない。まさに世界で数限られた特別なウイスキーだ。
「数十年も前に遠く離れた場所で作られた物を飲むことが出来る喜びを感じます。作ってくれた方や恵まれた自然を想像しながらグラスを傾けます」
ビギナーから上級者までが楽しめるモルトバー
「普段はウイスキーをハイボールでしか飲まないビギナーの方にも気軽にモルトバーの扉を開いてもらいたい。バーテンダーとのコミュニケーションからお客様の好みも分かってきますし、行きつけのバーが出来る事は幸せな事だと思います」
これからウイスキーを飲んでみたいという方はどのようにしてウイスキーを注文したら良いかを尋ねたところ、「とりあえずオススメとおっしゃる方が多いのですが、お店のウイスキーは全てがオススメです(笑)。何か少しでもヒントとなる言葉をお伝えいただければ、そこから私のイチオシをご案内できます。例えば甘いとか柑橘系とか、もう少し慣れてきたらスモーキーが良いとかシェリー樽が良いなど。そこからウイスキーの魅力や楽しみをお話ししながら、その方に合ったウイスキーを探していきたいですね」
ウイスキー専門と聞くと敷居が高いように感じるが他にあるバーのように気軽に訪れてもらいたい。倉持さんのようなウイスキーのプロが、お客様の好みを聞きながら自分好みのウイスキーを探しだしてくれる。ウイスキーが注がれたグラスはその時代の風土、蒸溜所の人々の思い、何十年もの時間が詰まって今ここにある。大麦の風味や潮風の香り、凝縮された自然の恵みを口に含めば都会の喧騒から離れることが出来るであろう。
Shanty Shack
電話:045-231-3115
営業時間:18:00〜25:00
定休日:日曜日
Facebook:https://www.facebook.com/shantyshack
Instagram:https://www.instagram.com/shantyshack_whisky