風邪を引いたある日、あまりにも体が重たくて料理をする気にもなれなかった。けれどもお腹が空いてしまい、気を紛らわそうと舐めたスプーン一杯の蜂蜜の濃厚な甘さに、心の底から救われた。それ以来すっかり蜂蜜の虜になってしまった。そんな私が出会ったのが、Hédène(エデーヌ)の蜂蜜である。
実は蜂蜜大国フランス。その中でも人気のHédène
Hédèneはフランス発の蜂蜜ブランド。日本もそうだが、フランスも蜂蜜の多くを中国やウクライナなどからの輸入に頼っているのが現状だ。そこで、より国産の蜂蜜に注目しようという想いからブランドが作られた。
創業したのは二人の養蜂家、シリル・マルクスとアレクシ・ラトゥイだ。パリのリュクサンブール公園にある養蜂学校を卒業後に出会った二人は、蜂蜜業界に革新をもたらしたいという同じ志から、100%フランス産かつラグジュアリーな立ち位置を持つHédèneを設立した。「Hédène」という名前の由来は、エデンの園(Eden)から取ったもの。さらに頭文字の「H」は快楽主義(hédonisme)から付けられ、蜂蜜が持つ多彩な味や色、質感から得られる楽しみを象徴しているそうだ。
彼らが目指すのは、フランス産の蜂蜜が持つ固有の味わいを取り戻すことだ。そのため蜂蜜の優れた点を生かせるよう、さまざまなこだわりを持って作っている。例えば、彼らが採用しているのは「冷却抽出法」という加熱せずに蜜を取り出す方法。加熱をしないため熱によって壊れてしまうビタミンや酵素などの栄養素、そして自然な香りと味を守れる反面、とても手間暇がかかる。温度管理を間違えると、蜂蜜が固まってしまったり、雑菌が入ったりするリスクがあるのだ。
その他にも、フランス各地の花の多様性を強調するために、100%フランス産かつ一種類の花から手作業で蜂蜜を採取するという「単一花蜜(モノフローラル)」にこだわっている。
非加熱の蜂蜜とは何か
私がHédèneに信頼をおいている理由のひとつが、先ほどご紹介した「冷却抽出法」をはじめ、こだわりを持って作られていることだ。
現在多くのスーパーで手頃に手に入る蜂蜜だが、実はさまざまな加工が施されており、その選び方には注意が必要なのだ。例えば、精製蜂蜜は「加工品」に分類され、脱臭と脱色がされたもの。その他、シロップなどの糖類を加えた加糖蜂蜜も多く出回っている。そしてこれらの加工や加工時の加熱によって、少なからず蜂蜜の栄養素は減ってしまっているのだ。その代わりたくさん作ることが可能なため、多くの人に届けることができている。
けれどももし少量でも良いから「栄養価が高いものが欲しい」という方は、「非加熱」や「生蜂蜜」と呼ばれているものがおすすめだ。
おいしい上に、蜂蜜は抜群の栄養を誇る
私が蜂蜜の栄養にこだわりたいと思う理由、それは蜂蜜が多くの栄養を持つ優れた食材だからだ。蜂蜜にはビタミン、ミネラル、アミノ酸、酵素、ポリフェノールなど、150種類以上もの栄養素が入っている。
例えば、腸内環境に良いとされているグルコン酸やオリゴ糖。エネルギーの補給に役立つブドウ糖やショ糖(スクロース)、筋肉の疲労・消耗を抑えるアミノ酸のロイシンやバリンも摂取できる。よくスポーツ時の差し入れとして使われる「レモンの蜂蜜漬け」は、こうした蜂蜜の特性をとてもよく理解したおやつだ。
その他、蜂蜜に含まれているポリフェノールにはシミやシワなどの原因となる酸化を抑える抗酸化作用があり、アンチエイジングも期待できるそうだ。ビタミンも、もちろん健やかな肌を保ちたいときに積極的に摂取したい栄養素。これら蜂蜜が持つ豊富な栄養素を残せる加工方法こそが、「冷却抽出法」なのだ。
味と香りの濃さに酔いしれる。栄養がぎゅっとつまった蜂蜜
今回私が手に取ったのは、3種類が箱に入った「Paris Je T'Aime」。Hédèneの代表的なフランス産蜂蜜2種であるアカシアと栗と、パリ産の蜂蜜を味わうことができる。パリ産の蜂蜜と聞いてもピンと来ないかもしれないけれど、実は観光地としても有名なリュクサンブール公園をはじめ、パリ国立オペラ座などにも養蜂場があるほど、パリでは蜂蜜産業が盛んなのだ。
Hédèneの蜂蜜は、シロップを追加するなどの加工がされていないため、蜂蜜本来の味と香りの濃さが特徴だ。
「Paris Je T'Aime」に入っていないものだとラベンダーやリンデン、ローズマリー、ブラックベリー、ホリーなど、フランス各地の特定の花から採取された多様な蜂蜜が用意されている。
3つセットの醍醐味は、やはり食べ比べ。それぞれ少しずつすくって食べてみると、蜂蜜の個性に驚かされる。例えば、栗の蜂蜜からは甘さの中にまるで栗の皮に感じるような渋味や酸味を感じるのだ。
私は蜂蜜の良さは、この複雑な味わいにあると思っている。ただ甘いだけではなく、エレガントな花の香りやフルーツのような香り、そして苦味や酸味もあり、例え少量でも食べると満足感を感じられる。
目を覚ましてくれる、蜂蜜の甘さ
私にとってHédèneの蜂蜜は、まるで薬のようなものだ。冒頭でご紹介したような体調のあまり良くないときや、疲れを感じたとき、気分転換したいときなどにスプーン一杯をひと舐めする。それだけで、栄養が体に染み渡るような気がするし、濃厚な甘さのおかげで頭もすっきりする。
特に、仕事の休憩やいまいち頭が回っていないように感じる早朝、私は甘いものが欲しくなる。それもほんのりとした甘さではなく、目が覚めるような強い甘さが欲しいのだ。
そんなときはお菓子を食べても良いけれど、気になるのが血糖値。特に白砂糖が使われたものは体に吸収されやすく、血糖値が上がりやすくなるのと同時に急激に下がってしまう原因を作るとされている。もしそれが起こった場合、集中力の低下や倦怠感を招くこともあるそうだ。
けれども天然の蜂蜜は、凝縮されたような濃い甘さがありつつ、血糖値がゆるやかに上がるとされている。蜂蜜を食べると、甘いものを食べられて至福なのと同時に、私は体のコンディションが整うように感じるのだ。
喉に違和感を感じたときも
マヌカハニーに代表されるように、蜂蜜には抗菌作用もある。そのため季節の変わり目など、喉に違和感を感じたときにも、蜂蜜をひと舐めしたり、ハーブティーや紅茶に入れて飲むようにしている。また冬は、ホットミルクに蜂蜜をたらして飲むのも好きだ。
がんばった一日のおわりや休憩中に、優しい甘さになったあたたかなお茶やミルクがあるだけで、思わず肩の力が抜ける。
見た目も味も、幸福感をもたらす
味もさることながら、蜂蜜は見た目も人を幸福にするなぁと思う。まるで太陽の光のような明るい黄金色は、見ているだけで気持ちまで明るくしてくれる。食卓の上に蜂蜜があるだけで、私はこの上もなく満たされた気持ちになれるのだ。
手頃に手に入る蜂蜜もおいしいけれど、ぜひ試してみてほしい非加熱蜂蜜。その中でもHédèneは信頼のおけるブランドだ。健康・美容に良い上においしい蜂蜜を、みなさんも一度手に取ってみてはいかがだろうか。
Hédène|エデーヌ
CURATION BY
東京都出身。フリーの編集・ライター。フランスと日本を行ったり来たりの生活をしている。