Vol.248

FOOD

02 JUL 2021

おいしく食べながら竹林問題を考える。ちょっと新しいメンマ「メンマチョ」

食卓にユニークな食材を新しく取り入れる。そのちょっとしたチャレンジは、私たちの心を踊らせ、食べる者同士の会話も弾ませてくれる。今回紹介する瀬戸内発の「メンマチョ」は、既存のメンマのイメージを覆し、さまざまな料理に活用できるユニークな食材だ。そんな商品を開発した発端に、国内の各所で拡大している放置竹林問題があったという。そこで今回は、食材の魅力を入り口に、普段見逃しがちな社会問題にまで視野を広げて考えてみよう。

メンマの新しい魅力に出会えるメンマチョ誕生

「お試しメンマチョ」¥3,150(税込)
2021年3月から4月にかけて、クラウドファンディングで先行発売が行われていたメンマチョ。“ちょっと新しいメンマ”というコンセプトで売り出され、その達成率は549%にまでのぼり、大きな注目を集めた。筆者もまた、クラウドファンディングでメンマチョのプロジェクトを応援したひとりだ。

購入したのは「お試しメンマチョ」という、瓶入りの「メンマチョ わたしの瀬戸内レモン」と、パウチ入りのスクエア、穂先、ダイスカットの「調理用メンマチョ」がそれぞれ1つずつ入ったセット。多様な活用アイデアが載ったオリジナルレシピブックも同梱されていた。

「メンマチョ わたしの瀬戸内レモン」
メンマといえば、やはりラーメンの定番具材というイメージが強いのではないだろうか。日本には、中国や台湾経由でメンマが伝わってきたということもあり、おつまみや炒め物の具材として使う場合も、中華風の味付けで食べることが多い。

そもそもメンマという食材が具体的にどういったものか、知らない人も多いだろう。メンマの原材料はたけのこである。それを下処理したものをボイルまたは蒸してから1ヶ月ほど発酵させ、天日干しをして、一定の大きさに成形することでメンマが完成する。工程からわかる通り、メンマとは発酵たけのこのことで、中国だけでなく、タイ、ベトナム、ネパールなど、アジア各地で保存食として親しまれてきた。

「メンマチョ わたしの瀬戸内レモン」は、メンマの基本的な製造プロセスをなぞりながらも、開発拠点である瀬戸内地域の名産品、瀬戸内レモンをふんだんに使い、オリーブオイルに漬けこむことで、メンマ=中国の食材という概念を覆す味わいに仕上げた。レモン香る、爽やかな風味の新感覚メンマである。

更なるメンマの可能性を探るべく生まれた、「乳酸発酵生メンマ 調理用メンマチョ」。写真奥から、コリコリ食感の「ダイスカット」、しっかり歯応えがある「スクエア」、柔らかく食べやすい「穂先」
意外にも発酵食品であるメンマは、たけのこ自体が持つ植物性乳酸菌によって発酵する。要するに、漬物のようなものだ。発酵させることにより、硬いたけのこがシャキシャキとした食感になり、うまみのある味わいに仕上がる。「お試しメンマチョ」についてくる「乳酸発酵生メンマ 調理用メンマチョ」も、メンマ本来の味を活かしながら、成形方法や部位を変えることで異なる食感を生み出し、料理の幅を広げる商品となっている。

メンマを通して知る、日本の竹林問題

愛媛県西条市内の放置竹林。撮影:Hinel山中
メンマチョの魅力は、食品としての新しさだけではない。現在日本各地で問題となっている放置竹林に注目し、拡大を抑え、整備することを目的に生まれた、社会課題解決のためのプロジェクトという側面も併せ持っている。

もともと、竹は古くから私たちの暮らしに役立てられてきた素材だ。竹林についても、生活用品や造園建築資材、食用のたけのこなど、原材料を生産することで管理されてきた。しかし、40〜50年ほど前からたけのこや竹材の輸入が増加するとともに、竹材の利用量が減少し、さらに生産者の高齢化が進んだことから、次第に放置されるようになってしまったのだ。

竹の成長スピードは凄まじく、芽が出てからたった数ヶ月で成竹になってしまう。さらに森林に生えた竹が伐採されず拡大してしまうことで、もともとの植生にも悪影響を与えてしまうのだ。近年はこうした問題に着目し、竹を有効利用することで竹林・森林整備への関心を高める取り組みが各地で行われている。

メンマチョの仕掛け人であるHinel(ヒネル)山中さん曰く、プロジェクトがスタートした当初は、アルコールや抗菌スプレー、和紙などの製紙類、土壌改良材やコンポスト基材に用いる竹パウダーなど、竹の性質を活かしたプロダクトを検討していたそうだ。

しかし「誰もが関わりやすいプロダクトであって欲しい」という想いから、食べられるたけのこに注目。収穫や加工など、地域の老若男女が自分のペースで竹林整備にも参加できる上に、おいしく楽しく食べられる。さらに都会に住む人も、食べることで活動に参加できる点にメリットがあると考えたという。そして"ちょっと新しいメンマ"というコンセプトを立て、イノベーションを起こすメンマ商品の開発が始まったそうだ。

4月中旬から5月中旬にかけてが、若竹(たけのこ)の収穫シーズン。成竹になる前に収穫することで、竹林の整備に繋がる。撮影:小出伸輝
そうして竹林問題をキャッチーかつ力強く社会に伝えていく、マッチョな覆面ヒーロー・メンマチョというキャラクターを打ち立て、楽しくおいしく社会課題の解決に参加できる商品が開発されたのだ。今後このプロジェクトは、全国各地の竹林整備を行う人々と共同しながら、3年後までに10種類の商品化を目指していくのだという。

土地柄を活かしたフレーバーや、形状に個性を持たせることで、今後もさらに“ちょっと新しいメンマ”が増えていくことだろう。

ちょっと新しいメンマで、食卓もちょっと新しく

メンマチョで広がる、食の可能性
メンマチョは歯応えが良い上に、程よい塩気とすっきりとした後味で、そのまま食べてもおいしい。そしてさまざまな料理に活用することで、さらにおいしくいただける。

筆者もメンマチョをアクセントとして、普段の料理に取り入れてみることにした。

まずはサラダに
パセリたっぷり、クスクスが入った中東・レバノン発祥のタブレというサラダに、ダイスタイプの「調理用メンマチョ」を混ぜる。元々5mm程度のサイズなので、カットする手間がないのが嬉しいポイント。コリコリとした食感が入ることで、より食べ応えがアップした。

おつまみのアクセントにもぴったり
爽やかなレモンの酸味と食感が魅力の「メンマチョ わたしの瀬戸内レモン」は、お酒のおつまみとして食べたいところ。ピンチョスとしてはもちろん、パンやクラッカーなどに載せることで、おしゃれにおいしくいただける。

インド料理にも
穂先タイプの「調理用メンマチョ」は、レモンライスの付け合わせに。和洋中の料理はもちろん、中東やインドなどエスニックな料理にも合わせやすい。

もちろん、ラーメンの付け合わせにも。特に塩ラーメンや豚骨ラーメンと相性がいいのだとか
付属のレシピブックには、ドレッシングやオーブン焼き、オムレツ、スープなど、メンマチョを使った、目から鱗の7つのオリジナルアレンジレシピが紹介されている。そちらを参考につくってみるのも良いだろう。普段の料理のアクセントとしてもメンマチョを活用することで、食卓の幅が広がるはずだ。

食を通して視野を広げる

おいしく食べながら、社会課題に貢献しよう
食を楽しみながら、社会の問題に向き合い、関わることができるメンマチョ。身近な人と食卓を囲む時も、いつもより視野を広げて議論できるかもしれない。現代社会が抱える問題やその解決方法を総合的に考えることは、アクティブ・ラーニングにもつながるだろう。もちろん、ユニークな食材として気軽に紹介することで、ひと味違うコミュニケーションも生まれるはず。“ちょっと新しいメンマ”を通して、ちょっと新しい視点が発見できるだろう。

お試しメンマチョ 全商品 各1個セット

セット内容
・「メンマチョ わたしの瀬戸内レモン」1個
・「乳酸発酵生メンマ 調理用メンマチョ 3種類(スクエア、穂先、ダイスカット)」各1袋
・「オリジナルレシピブック」x1冊

¥3,150(税込)

https://menmacho.jp/
*7月中旬から都内店舗にて販売予定