発酵バターとは?日本の主流のバターとは違う魅力を紹介
原料のクリームに乳酸菌を加えて発酵させたバター
発酵バターは原料となるクリームに乳酸菌を混ぜ、半日以上発酵させて作られる。発酵バターの製法にはクリームに乳酸菌を添加する方法と、乳酸菌をバターに直接練り込んで発酵させる方法の2種類がある。
風味やコクが魅力の発酵バター。味わい深い仕上がりに
そのため、一般的なバターに比べると、パンに塗ったり料理に加えたりするだけで、バターの風味をより深く感じることができるのだ。
バター本来の栄養素+乳酸菌を取り入れられる
乳酸菌は人のカラダにとって有益な「善玉菌」で、整腸作用や免疫力を高める効果 があるといわれている。
ヨーロッパ発祥の発酵バター。その歴史は紀元前から
紀元前での製法では自然と発酵バターに
その当時は原料の乳の殺菌がおこなわれておらず、チャーニングにも時間を要したので、作っている段階で自然と発酵バターになったという。まさに自然の恵みからできた製法といえるだろう。
文明が発達するにつれてバター作りも機械化が進む
撹拌機は進化を続け、19世紀にはクリームの分離が短時間でおこなえるようになったという。また原料として殺菌乳が使用されるようになると、時間をかけて作られていたころの発酵バターの風味は、利便性と引き換えに少しずつ失われてしまったのである。
発酵バターのおいしさを求める声は多かった
そうして再び発酵バターが作られるようになり、現在にいたってもヨーロッパでは発酵バターが主流として広く使用されるようになったのだ。
日本でも気軽に手に入るおすすめの発酵バター
アンデルセン醗酵バター
アンデルセン醗酵バターは、プライベートブランドの「HYGGE(ヒュッゲ)」シリーズの1つ。「HYGGE」はデンマーク語で「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気」を意味する。HYGGEな食卓を楽しんでもらいたいという想いから名付けられたのだそうだ。
アンデルセン醗酵バターは、クリーミーで味わい深いバターを実現するために小岩井乳業と共同開発をおこなった。
原料は厳選された生乳。乳酸菌を使って醗酵させているため、クリーミーでほのかな酸味を感じられる。パンとバターのおいしさを最大限に引き出すために、塩分は少なめに作られているのが特徴だ。こんがりとトーストしたパンに、たっぷりのバターを塗って食べると、サクッとした食感と芳醇な香りと味わいが口の中いっぱいに広がる。
アンデルセン醗酵バター:https://www.andersen-net.jp/shop/g/g9798/
プレミアムバター
山中牧場は、「本当においしいバターを作りたい」という想いからバターの製造と販売をスタート。納得のいく発酵バターの完成には数年の歳月を要した。山中牧場の発酵バターは、殺菌や発酵、冷却、エージング(保持)の過程におよそ2日間をかけ、3日目に回転式バターチャーンで攪拌する。
どこかにぬくもりを感じられるバターにするために、バターチャーンのローラーはあえて「木製」。容器には小樽にある缶詰工場の缶を使用し、原料から容器までをできる限り地元産でまかなう。山中牧場のこだわりが詰め込まれた発酵バターは、プレミアムと名付けられるにふさわしい。
プレミアムバターは、冷蔵庫から出してすぐにバターナイフが使えるほどやわらかい。発酵バターならではの乳脂肪豊かな風味と、コクのある味わいがある一方で、すっきりとしてくどくない後味が魅力だ。ぜひ北海道の大地を感じながらご賞味いただきたい。
プレミアムバター:http://yamanakabokujyou.co.jp/goods/butter.html
トラピストバター
トラピスト修道院の発酵バターの製造は、1897年ごろから手作業でおこなわれている。1903年にはオランダからホルスタイン種の乳牛を導入し、牛乳の品質改良もおこなった。その後、牛乳を用いた製品としてバターの一般販売を開始したそうだ。1952年には専門家のアドバイスに基づいて、さらに改良が加えられた発酵バターの製造に取り掛かっている。
トラピストバターは本格的な発酵バターとして、多くの人を魅了している。バターを作る際には、低温殺菌の生クリームをじっくり時間をかけて発酵させる。連続マシーンを使わずに、バターチャーンを用いて発酵バターの風味を生かし、食塩を控えめに製造するのだそう。豊かな香りとコクのある味わいが感じられるトラピストバターは、中世から続くシトー会修道院の伝統製法による希少な発酵バター。歴史に思いをはせながら味わいたい。
トラピストバター:https://www.trappist.or.jp/home/Butter.html
冷凍保存はできる?発酵バターの保存方法
バターは消費に時間がかかるもの。冷凍保存がおすすめ
一度解凍した発酵バターは、再冷凍しないほうがよい。せっかくの発酵バターの風味を損なう原因になってしまうからだ。また、冷凍庫での保存期間は1ヵ月が目安と覚えておこう。
冷凍した発酵バターをおいしく解凍。使う前は常温保存も
ヨーロッパでは、バターは常温保存するのが当たり前だという。しかし日本とヨーロッパには平均気温の差があることを考慮しなければならない。すぐに使用する場合は常温でも構わないが、室温が18℃を超えるとやわらかくなって溶けてしまうので注意しよう。ほとんどが油脂成分でできているバターは、一度溶け出すと酸化が進み、成分と油分が分離してしまうため元に戻すのは難しい。
長期保存をせずに2週間ほどで使い切る場合は、冷蔵保存でも構わない。2週間を超えると風味が損なわれてしまうため、早めに冷凍保存に切り替えよう。
発酵バターを取り入れて、食卓に新しい風味を
長く、奥深い歴史をもつ発酵バター。人々から必要とされるには、きっと多くの理由がある。この機会に古代から人々に愛されてきたバター本来の風味を、ぜひ試してみてはいかがだろうか。