「330(さんさんまる)」は、キャンプ好きに人気のアウトドアブランドDODが、「非日常の35日ではなく、残りの330日にスポットライトを当てる」というコンセプトで立ち上げたライフスタイルラインだ。担当者自身の「これが欲しい」というこだわりから生まれたアイテムや、ユーザーの声をもとに開発したアイテムが並ぶ。どう使うかは使い手に委ねられており、使い方をユーザー同士で共有しあう文化もある。ブランドと生活者の距離が近いことも、330の魅力のひとつだ。生みの親の一人であるDOD販促チームの谷本隆太さんにお話を伺った。
「エゴ」と言えるこだわりに共感。DODらしいものづくり
特別な日だけ棚から出していたグラスが、毎晩の食卓に並ぶようになる。330のアイテムが部屋に入ることで起きる、小さいけれどよくある変化だ。330の累計売上1位である「fave beer glass set CL(ビアグラス)」は、そんな変化を最もわかりやすく体現するアイテムかもしれない。
開発のきっかけは、「いついかなるときも使えるグラスが欲しい」というシンプルな希望だった。谷本さんは、お酒が好きでグラスに注いで味わうことが多い。チューリップ型のグラスは香りを引き立てるのに優れた形状だが、首の細いものは洗うたびに不安がある。「いくつ割ったかわからない」というグラスを、「特別な日に出してくるくらいで、一軍には置けない」と感じていた。
美味しく味わうことと、気兼ねなく使えることを両立させるために何が必要かを考えて、首を太く、飲み口は薄すぎず厚すぎずという仕様にたどり着いた。安定するようにグラスの下部にあえて分厚いガラスを採用し、重心を低くする工夫もしてある。飲み物に使えるのはもちろん、お菓子や料理を盛り付けるなど、さまざまな使い方をしているユーザーがいるそうだ。
谷本さんが「エゴ」と表現するほどのこだわりだが、その言葉からは、楽しみながらものづくりに向き合う姿勢が伝わってくる。実際に手に取ってみると、グラスの安定感が想像以上だった。食事と一緒にテーブルに置いても、本を読みながら片手間に飲むときも、倒れる心配をしなくてよい。世の中にある標準的なものではなく、「これが欲しい」と感じたものを形にして共有してくれているような感覚がある。
各担当者の思いが詰まったアイテムは他にもたくさんある。完全オリジナルデザインのトランプもその一つだ。「一生遊べるゲームを作りたい」と考え抜いた末にたどり着いたのが、トランプという完成されたゲームだった。そこにDODらしい遊び心のデザインを加えることで、単なるゲームのツールではなく、使うたびに愛着が湧き、開発者の思いを感じられるアイテムに仕上げている。
アウトドアブランドが目を向けたのは、330日の日常だった
DODのロゴマークであるウサギは、右目だけわずかに斜めを向いている。真正面を向いて王道を行くのではなく、斜めの視点からDODだからこそ出せるものを狙っていく。そんなブランドから生まれたのが、330というライフスタイルラインだ。
330を立ち上げたのは、製品開発を担う「モノセクション」ではなく、コミュニケーションや販売を担う「コトセクション」のメンバーだった。アウトドアブランドの中でも独自の立ち位置を築いてきたDODにとって、「DODらしさ」は強みであると同時に制約にもなっており、構想からスタートまでには時間を要したという。
最初に試みた「アウトドアライクなライフスタイル雑貨」という方向性は、日常使いにはスペックが過剰になったり、価格が高すぎたり、展開できるアイテムが少ないといった課題が重なり、1年半かけて検討したが、大きく方向転換することになる。ちょうど、ユーザーからは「家でも使える日常のアイテムが欲しい」という声も届いており、生まれたコンセプトが「330 days for 35 days」だった。思いついたとき、目の前が開けるような感覚があったという。
日常にスパイスを。330が目指す、花や絵のような存在感
ソトアソビができるのは年間35日程度。圧倒的な遊び心を持ち続けるために、日常の330日も小さなワクワクを大切にしてほしい。そんな思いを込めたメインコンセプト「330 days for 35 days」の裏には、Spice up(スパイスアップ)、Warm up(ウォームアップ)、Favorite(フェイバリット)という3つのサブコンセプトを置いている。
スパイスアップは生活に彩りを、ウォームアップはほっと和めるアイテムに、フェイバリットはお気に入りになれるアイテムをつくろうという意味で、それにちなんで330のアイテムにはすべて「fave」という言葉が入っている。
DODらしさを表現するために、特に徹底しているのが配色だ。アウトドアラインは実用性の面から落ち着いた色味のものが多くなるが、330にはオレンジやレッドなど明るい色味を取り入れたアイテムが多い。差し色とベースカラーを1対9で使うことも意識しているという。
330が競合として意識するのは、生活雑貨ブランドではなく、花や絵といったインテリアだという。部屋に馴染むというよりは、置くことで空間に華やかなアクセントを加える存在を目指している。
またあえてハイスペックになりすぎないという点も特徴のひとつだ。耐久性や機能性の向上はアウトドアブランドの得意とする分野だが、キャンプをしない人でも必要十分な機能で気兼ねなく使えるように、価格と機能のバランスにこだわって開発している。
買うことが入口に。DODや仲間とつながる、330の楽しみ方
330のものづくりを語る上で、ユーザー会員「ウサピエンス(通称:ウサピ)」の存在も欠かせない。ウサピは、「DOD camp+us」アプリの有料会員のことで、DODのものづくりや裏側の話を聞いたり、会員同士で交流したりすることに価値を感じている人たちだ。
壁掛け時計の開発は、ウサピからのリクエストでスタートした。個性を出しにくいアイテムであることや、目立ちすぎると部屋に飾りにくくなることもあって、ちょうど良いバランスを探すのに苦労したという。
また、2026年4月にラインアップに新たに加わったのが、ウサピからの要望を受けたペット用品だ。「普通なものはつくらない」というこだわりがハードルになっていたが、330という枠組みを活用することで製品化に踏み切った。ペットキャリーにはDODの代名詞「カマボコテント」のかたちがモチーフとして取り入れられるなど、ファンを喜ばせる仕様になっている。
そして、ユーザーとのつながりは製品開発にとどまらない。ぬいぐるみを購入したユーザーが服を自作してSNSに投稿したところ、「つくり方を教えてほしい」「うちの子にもつくって欲しい」というコメントが集まり、自発的にコミュニケーションが生まれるといったことが日常的に起きている。
谷本さんはこのスタイルを「バーベキュー型」と表現する。食材は用意するが、焼き方や味付けはみんなで自由に、というイメージだ。使い方はユーザーに委ねる。だからこそ、想定外の使い方が生まれ、それがまたコミュニティの中で広がっていく。アイテムを買うことが、ものづくりの裏側を知る入口になり、ユーザー同士がつながるきっかけにもなるのだ。
STAY CRAZY。自分らしく自由に、330日を楽しむ
DODのブランドコンセプト「StayCrazy」には、「自由でいよう」「ゆるくいこう」というメッセージが込められている。その自由さとゆるさは、330のアイテムを実際に生活に取り入れてみると、より実感できる。今回は、ビアグラスに加え、「fave toolbox(ツールボックス)」と「fave wrap cloth(ラップクロス)」も暮らしに取り入れてみた。
ツールボックスは、工具入れとして活躍中だ。たまにしか使わない小物は収納場所に困りがちだ。デスクの上に置いたままでも様になるので、限られた収納スペースを使わずに済む。複数個買えば、ぴったりとはまり積み重ねられる仕様になっているのもポイントだ。
ラップクロスは、布同士がくっつく特性を活かして、結ばずに簡単に包める。大切なものを包むクッションとして使ったり、雨の日に濡れた傘を包んだりするのにも役立つ。バッグの中の持ち物をすっきりさせたい人にとって、あるとうれしいアイテムだろう。
いずれのアイテムにも、開発者のこだわりや工夫が感じられる。330にはそれを使い手が発見して膨らませる楽しさがある。さらにコミュニティに参加して、ユーザー同士で新しい使い方を共有したり、DODのものづくりの裏側を知ったり、欲しいアイテムをリクエストしたりと、関わり方も自由だ。
330の世界観をリアルに体感したい方は、2026年度に山梨県にオープンする複合施設「DAYS with」へ。ブランド初のオフィシャルカフェ「DOD 330 cafe」とDOD監修の民泊施設が併設される予定だ。
330日の日常を自分の手でもっと楽しく、自分らしくしてみたいと感じたら、330はそのきっかけとなるかもしれない。
ビーズ | DOD 330
fave beer glass set CL:3,850円
fave toolbox:2,530円
fave wrap cloth set [S×1,M×1]:3,300円 (いずれも税込、送料無料)
公式オンラインショップ:
https://www.dod.camp/330/
CURATION BY
料理とお菓子作り、キャンプが趣味。都会に住みながらも、時々自然の中で過ごす時間を持ち、できるだけ手作りで身体に優しい食事を取り入れている。日々の暮らしを大切に、丁寧に過ごすことがモットー。