秋口になるとふわりと香る金木犀。幼い頃の通学路で咲いていた情景や、しとしとと降る秋雨で小さな花弁がこぼれ落ち、濡れたアスファルトをオレンジ色に染め上げていた数々の思い出が甦る。旬のものを食べたり秋色の服を身につけるように、秋の香りをまとうことで季節の移ろいをより体感できるはずだ。そこで今回は、金木犀の香りを感じられるヘアケアアイテムをご紹介したい。
天然由来成分高配合のナチュラルケアブランド
今回私が手に取ったのは「track」というブランドのオイル。trackは、オリジナルのオイルの他にバームやミルククリームなどのケア用品の製造・販売を行っている。オイルは、以前通っていたヘアサロンで「金木犀の香りがするんですよ」とスタイリストさんにおすすめされ、それ以来シンプルなパッケージも含めて好きになったアイテムだ。
「金木犀の香り」と聞いて、私の心はにわかに高揚した。ローズやジャスミンなどと違い、金木犀の香りにここまで思い入れを持っているのは、きっと日本人ならでは。桜などと同様に、毎年毎年の思い出とともに蓄積された情景が、いつの間にか自分のアイデンティティと近しいところにあるように思われ、その名前を聞いただけで親しい気持ちが沸き起こってくる。
ブランド名である「track」は「足跡・軌跡」を意味するそうだ。今の自分をつくる “過去” を否定せず、その全てを受け入れて進むことで、未来に向かって自分らしい足跡を残してほしいという思いが込められているらしい。
オイルはどれも天然由来成分高配合。オーガニック認証原料を積極的に使用している。さらにパラベン、合成着色料、鉱物油も使用していないから、安心して使うことができる。
オイルはNo.1からNo.3のほか、ローズ、カシス&バジル、マグノリア、ジャスミンなど、さまざまな種類が揃えられ、その中でも人気なのが金木犀の香りをイメージしたNo.3だ。
金木犀をイメージしたNo.3
No.3のシトラスフローラルは、華やかなラベンダーにすっきりとしたレモン・ユーカリをミックスした香りで、金木犀をイメージして作られたもの。
ラベンダーやレモンを混ぜて果たして金木犀のような香りになるのだろうかと、頭でイメージを膨らませているだけだと不思議に感じてしまうが、実際に香りを嗅ぐと、スッキリとしているがどこか甘い香りは確かに金木犀のようだと思わせられる。
秋のある日、道を歩いていたらふとした瞬間に香ってくる金木犀のやわらかな香り。そのどこか懐かしいものに出会ったような安心できる香りを、オイルとして身にまとうことができるのだ。
全身使用できるオイルで、金木犀の香りをまとう
秋色の洋服をまとうように、香りでも金木犀が香る秋を楽しんでみてはいかがだろうか。このオイルは植物由来のため、フェイス、ボディ、ハンドなど、全身どこにでも使えるらしい。
質感も3種類で異なり、No.1のフレッシュシトラスは質感が軽め、No.2のシトラスハーブは中間の質感、そしてNo.3のシトラスフローラルは重めだそうだ。重めの質感は粘性があるため、手の滑りが良くなり、ボディマッサージにも向いている。
手のひらの上にオイルを出すと、途端に金木犀のような香りが鼻をくすぐり、気持ちがほぐれる。確かにテクスチャーは重めで、サラサラと肌に馴染むというよりは、薄い膜で肌を覆ってくれるような頼もしさがある。ふとしたときにハンドクリーム代わりに使うのはもちろん、乾燥が気になる秋や冬にはかかとや膝、ひじなどに使うのにもぴったりだ。じんわりと肌に馴染み、守ってもらっている感覚になれる。
アウトバストリートメントとしても
体に使う他に、もちろんヘアにも使うことができる。乾いた髪だけでなく、タオルドライ後の濡れた髪にも使えるアウトバストリートメントとして活躍するそうだ。アウトバストリートメントを使うと、髪のパサつきや乾燥を防ぐことができる上、髪のパサつきや乾燥を防ぎ、摩擦などの外的刺激から髪を保護する役割もあるそうだ。
オイルの種類は、オリーブ種子油やヒマワリ種子油などバリエーション豊か。親水性の植物オイルが髪内部を保湿しやわらかさを与え、天然のシリコン「ブロッコリー種子油」が髪の表面をやさしくコーティングしてくれる。
使い方は簡単で、しっかりとタオルドライした髪の中間から毛先にかけて馴染ませる。香りがとても良いので、お風呂後に贅沢な時間を過ごすことができる。髪に塗る時はもちろん、塗った後にふわりと髪から金木犀の香りを感じると、自然に包まれたようでリラックスできる。
秋のインテリアを彩る黄色のオイル
trackのモットーは、日々の生活を快適にし、豊かにすること。そのため以下の3つのポイントを大切にしているそうだ。
・気持ちをデザインする(気持ちを前向きにさせてくれる芳しい香り)
・空間をデザインする(日常に溶け込み空間を演出するパッケージデザインや香り)
・習慣をデザインする(環境問題に向き合うことができる新たな習慣、エコ活動の取り組み)
「空間をデザインする」という理念の通り、豊かな香りを楽しめるオイルを始めとしたケア用品は、パッケージも秀逸。シンプルながらtrackならではと思わされるディテールにこだわった瓶の形状もリピートしたくなる理由である。おしゃれなだけではなく、環境への配慮も考慮され、なるべくプラスチックを使わなくて済むようにと瓶を採用しているらしい。
また環境問題に向き合うため、例えば、使い終わった空き瓶を再利用することを視野に入れている。直営店舗にはtrack barというものがあり、洗浄・乾燥された空き瓶を持って行けばオイルの詰め替えを行ってくれるのだ。
ラベルの素材はすべてコットン。少しざらっとした質感のコットンのラベルは、洗練された都会的な雰囲気がありつつ、自然派由来の成分を使った温かみを感じさせる、trackならではの絶妙な空気感を醸し出している。
端を切りっぱなしにすることで、使っていくうちに糸がほつれ、変化していく過程も楽しめる、というデザイン意図があるらしい。
円柱型の箱にすっぽりとおさまった姿は、まるで宝石のよう。この箱にも、コットンのラベルが貼られている。気が利いたジェンダーフリーなデザインは、男女問わずプレゼントとして誰かに贈りたくなるのではないだろうか。
使い心地もさることながら、金木犀のような香りを身につけることで気分が上がるtrackのオイル。花の咲く頃に使うのはもちろん、香りで季節を先取りするのも良いかもしれない。
シーズンの服を着たり食事を楽しむように、香りも季節に合ったものを楽しんではいかがだろうか。
CURATION BY
東京都出身。フリーの編集・ライター。フランスと日本を行ったり来たりの生活をしている。