〇〇メーカーと言えば、それを作る専用の機器であり、簡単に手づくりできるのが魅力である。しかしその専門性が仇となる事もある。買った当初は張り切って使うものの、一つのものしか作れないことが飽きに繋がり、やがては引き出しの奥底にしまったまま…となることも少なくない。熱心に使い続けられるのがベストであるが、そう上手くいかない筆者は、前述通りの末路を辿るパターンがお決まりなため、なかなか専用機械に食指が動かない。だが、その中でも使い続けているのが、ビタントニオ社のワッフルベーカーである。
”専門”の魅力と弱点
近年の技術の進歩は目覚ましいもので、ありとあらゆる便利な商品が開発され続けている。より簡単に、より優れたものを、よりシンプルに、…。人間の欲というものは尽きないものだと、失望どころか関心さえしてしまうほどだが、それが如実に現れているプロダクトの一つが、専門機器だ。
業務用の専門機器の開発はこれまでにも多かったであろうが、近年は家庭用・個人向けの専門機器の登場が増えているように感じる。とりわけキッチンツールにおいてはその傾向が顕著だ。
ピーラーひとつ取ってみても、キャベツの千切り用、牛蒡・人参のささがき用、薬味用等、用途どころか材料ごとに専用の道具がある。そのシーンに合った特性があり、通常の道具と比べるとスピードや使いやすさがアップし、大変便利な商品である。
が、それと同時に専門以外の用途には弱いという側面もある。加えて汎用性の低い道具を集めると嵩張ってしまうため、収納性にも欠点があると言えるだろう。利便性とその側面にある弱点をどこまで許容するかが鍵になってくる。
〇〇メーカーと呼ばれるものがまさにそれだ。家庭では中々作れない料理を手軽に作れるのが魅力だが、魅力以上に嵩張り、使用頻度が低くなるのがオチである。かく言う筆者も、使っていたのは最初だけで、しまわれた箱が埃を被っているものがちらほらという状態だ。
そのため、お店で「これがあれば便利だ」と思える商品を見つけても、収納性、汎用性、そして今ある道具を押し除けてでも迎えるべき必要性があるか、とあれこれ考え込み結局棚に戻すのが常である。
このような筆者と専門機器の関係であるが、長年使い続けているものもある。それが今記事で紹介したいビタントニオ社のワッフルベーカーだ。
1台で何役もこなすユーティリティプレイヤー
ビタントニオ社の代名詞とも言えるワッフルベーカー。その魅力は何といっても実用性の高さである。最新機器ではワッフルプレートとマルチサンドプレートが付属している他、11種類の別売りプレートがある。ひとつのものしか作れないイメージの専門機器だが、交換性のプレートがその弱点をカバーしていると言えるだろう。別々の機器で揃えると置き場所に困ってしまうが、交換性のプレートならその心配もない。
何より、最初から全てセットされているのではなく、自分で自由に組み合わせられるのは大変魅力的だ。多種多様なプレートの中にはあまり自分では使わないものもあるだろう。収納面で数を絞りたい場合もある。汎用性の高いプレートだけ付属され、その他は自分好みにカスタマイズできるビタントニオは、「必要なものを必要なだけ」というサステナブルな今の時代に沿っていると言えよう。
専門機器に”あるある”なのが、洗いにくい複雑な構造。細かい溝に残った汚れが取れなかったり、そもそも本体一体型で水洗いできなかったりと、お手入れに難ありなものが多い印象だ。ビタントニオのワッフルベーカーは、プレートがフッ素樹脂加工されていて、こびりつきにくく、外して洗えるため衛生的だ。面倒くさがりでできるだけ手間を省きたい筆者にはうってつけであった。
1台で何役もこなすマルチな魅力に、お手入れのしやすさとカスタマイズ性を盛り込んだビタントニオのワッフルベーカー。専門機器の導入に悩んでいる人にぜひ検討してもらいたい商品だ。
使い方はひとつじゃない。自由な発想で楽しんで
プレートの名称通り、ワッフルプレートはワッフルを、ポワソンプレートはいわゆる鯛焼きを作れる…だけで終わるのは勿体無い。ワッフルプレートひとつとっても、使い道は多岐に渡る。
ビタントニオのワッフルプレートは、サクフワ食感の本格的なベルギーワッフルの焼き上がりを追求したこだわりの深型プレートが特徴だ。この深型とワッフルベーカーの”サンドする”構造がポイントで、ワッフル以外にも様々なものをサンドして楽しむことができる。
いつものおにぎりもワッフルベーカーでサンドするだけで、外はカリッ、中はモチっとしたおこわのような食感になる。見た目も変わり、非日常な気分に浸れる。日本で生まれた米菓のモッフルは、餅をワッフルメーカーでサンドして焼き上げたもの。外はさっくり、中はふんわりとした普通のお餅とは異なる食感を楽しめる。
ワッフルとはかけ離れたものをサンドしてみるのも面白い。肉まんをバターと一緒にプレスすると、表面が揚げたみたいにカリカリに。蒸し立てのふかふか食感の肉まんとは相異なる美味しさだ。
通常フライパンや鉄板で焼くチヂミも、ワッフルプレートで焼くと火の通りも早く、より香ばしい仕上がりに。切り分けずとも1枚ずつ食べられて、ファストフードのような感覚で楽しめる。
ポワソンプレートも、鯛焼きだけではなく、お好み焼きの生地を焼いてみたり、パイ生地を使ってクロワッサン風にしてみたり、中の具をガラッと変えて惣菜風にしてみたり、アイディアは無限だ。
多彩なラインナップのプレートの持ち味を活かしながら、そこに自由な発想を加えることで何通りにも楽しめる。型にこだわらないで、アイディアを自分らしく膨らませてみよう。
型にとらわれない、オリジナリティを大切に
ワッフルと言えば甘いもの、これが筆者のイメージだった。ワッフルベーカーはスイーツのワッフルだけではない、食事を作れることが筆者に刺さった。だがこれも筆者の勝手な固定概念だろう。甘くない食事スタイルのワッフルだってある、ワッフル生地だけじゃなく他のものをサンドしてみたっていい。ちょっと変えるだけで見た目も食感も変化し、新たな美味しさを発見できる。思考のどこかにある「こうあるべき」という型にとらわれていてはそれもできない。
手作りの醍醐味は好きなようにできること、すなわち自由であることだったはず。それなのに、そこに名前の付いた道具が現れるとその名前に囚われがちだ。ワッフルメーカーで何かを作ろうとなると、やはりワッフルだけになってしまうのである。「ワッフルを作るもの」と勝手に決めつけているのは自分だ。名前は役割にすぎない。使い方を狭めるも広げるも自分次第なのだ。
型にはまることは大切だが、囚われすぎると窮屈に感じてしまう。たまには全て取っ払って自由になろう。自分だけの自由な発想で楽しむ、子供の頃のようなわくわくとした時間。大人になるにつれ失われていってしまう、今となっては貴重な感覚だが、それ故に感慨もひとしおだ。
やわらかな考え方とオリジナルなセンスを組み合わせて、何倍も楽しもう。
ビタントニオ|ワッフルベーカー
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北国で暮らすフリーのWebライター。お酒と猫に目がない。