Vol.37

MONO

21 MAY 2019

シンプルなデザインに秘められた実用性。野田琺瑯「バターケース」

姿かたち、用途は違えど “いいもの”は私たちの感性を育ててくれる。日常で使うミニマルな要素を持ったアイテムは、いつの時代も変わらず魅力的だ。今回フォーカスを当てるのは野田琺瑯(のだほうろう)の「バターケース」。1934年に創業した老舗琺瑯メーカー、野田琺瑯が作るバターケースは、シンプルでミニマルなデザインの中にあたたかな表情と実用性を備えた、長く使い続けたい保存容器である。そんなミニマルなアイテムが持つ、奥深い世界をのぞいてみよう。

野田琺瑯「バターケース」S ¥2,800(+tax)

暮らしをほんのり豊かにしてくれる、琺瑯製のバターケース

桜の木でできたフタと角の丸い形状が、やわらかな雰囲気を漂わせる。
朝焼きたてのトーストを食べるとき、料理やお菓子づくりをするときなど、バターは日常で幅広く使われている。その一方で空気に触れて酸化することで一気に鮮度が下がってしまうほど、デリケートな食材でもある。そんなバターを保管するアイテムが専用のバターケースだ。必ずしも暮らしに必要なものではないと思う方も多いかもしれないが、実際はバターの鮮度を保ち、冷蔵庫の中でのにおい移りを防ぐことができる優れたアイテムなのだ。

下地釉薬によってできる容器のフチの黒いラインが、アクセントに。
バターケースには木製や陶器製、ガラス製のものなどさまざまなタイプがあるが、そのなかで野田琺瑯が作るバターケースはにおい移りがほとんどないのはもちろんのこと、冷却性も高いのが特徴。琺瑯はバターの保管をする上で最適な素材なのだ。

フタには桜の木をくり抜いて作られた無垢材を使用している。 本体に絵柄や模様などの装飾は一切なくシンプルな姿かたちでありながら、木のフタのぬくもりや、やわらかな陰影が落ちる角丸の形状が温かみを感じさせてくれる。食卓に馴染む魅力的なアイテムだ。

琺瑯一筋で85年。熟練の職人技が生み出す琺瑯製品

野田琺瑯は、1934年に創業した老舗メーカーだ。手間がかかるその全ての工程を一貫生産できるのは国内で野田琺瑯のみ。高い技術があることは言うまでもない。保存容器や調理用品のほかにも、衛生用品や理化学用品も生産している。

金属の表面にガラス質の釉薬(ゆうやく)を高温で焼き付けることでできる琺瑯。その歴史は古く、紀元前1300年頃にはすでに製造されていたという。日本でも明治時代から実用化されるようになった。

素材は表面がガラス質なので落下や衝撃に弱いデメリットはあるが、ガラス質で覆うことによって雑菌の繁殖を防ぎ、衛生的に使える。また、ガラス質によるツヤの美しさ、ひんやりツルツルとした触感も魅力のひとつだ。

容器の裏側には、NODA HOROのロゴマークが印されている。
また熱伝導率が高いという特徴もあるため、耐熱性・冷却性に優れ、そのまま火にかける調理に使うこともできる。やかんや鍋などに琺瑯製品を使っている方も多いだろう。さらにガラス質で覆われている部分は塩や酢などに強く、有害物質も使用されていないため長期間安全に使用し続けられるなど、さまざまなメリットがある。キッチン周りのアイテムに最適な素材なのだ。
一方で桜の木のフタは、琺瑯の清潔感あふれる白さに対して、あたたかみのある風合いが魅力だ。容器本体にフィットするように溝が掘られ、ミニマルな見た目でありながらミニマルな見た目でありながら密閉機能も高い。裏返してフタの上にバターを乗せれば、バターをカットするソーサーとしても活躍してくれる。

使うほどにその良さがわかるデザイン

一見シンプルで、ミニマルな佇まいの野田琺瑯のバターケース。その裏側には長い製造工程を経て手作業で最後まで仕上げる、職人たちの技とこだわりが詰めこまれている。ものの良さは、使えば使うほどにわかるだろう。

持ち上げれば簡単に開くが、持ち運びの振動などではずれることがない、フタのぴったりくる感じが心地よい。200gのバターとともに、バターナイフをしまえる手軽さ。バターを包む銀紙も、すべて取り除いてから使用できるので、バターに張り付いた銀紙を少しずつ剥がすといった手間もなくなる。
透明感のある白さや清潔感も、食卓での気分を整えてくれる。使えば使うほど味わいが出てくるこのバターケースは、進んで食卓に出したくなるほどインテリアに馴染み、格別な雰囲気を演出してくれる。まさに長く使いたくなる、暮らしをほんのり豊かにしてくれるアイテムなのだ。
このミニマルで美しいアイテムを、生活に取り入れてみてはいかがだろうか。

今回紹介したアイテム

野田琺瑯 「バターケース」

Size / S(W157×D97×H52mm)
Volume / 0.42L
Weight / about 390g
¥ 2,800(+tax)