食欲をそそる食べ物は多々あるが、中でも炊きたてのご飯は格別と言える存在だ。ふっくらと粒だった白く輝く米は噛めば甘くねっとりとした食感。共に食すのはご飯が進む肉や魚のメイン料理、もしくは漬物などの極々シンプルな食材でも構わない。おかずを引き立てる名脇役でありながら、それだけで美味しいという主役にもなるお米。STAUB(ストウブ)のラ・ココット de GOHANはその米を、より美味しく炊くために生まれたプロダクトだ。
和食の中心を担う食材、お米を美味しく贅沢に
日本人の主食として知られている米だが、実は消費量は1962年から減少の傾向にあるのをご存知だろうか。これは主に食生活の変化を理由としており、米は減少しつつもパンや麺類の消費量は上昇し続けている。他にも核家族が多くなり外食の回数が増え、糖質制限を意識する人も増えていることも原因に挙げられるだろう。
一人暮らしや二人暮らしの家庭では、今や米をあまり炊かないというケースも多いかもしれない。我が家も米を炊く際は通常一合、多くて二合。食すことは減っているものの、だからこそその機会には少々手間をかけてでも、美味しいお米を食べたいと思うようになった。
炊飯器はあるものの使用する回数は減り、場所を取る上に置く場所が限定される。そこで思い立ったのがフランスで生まれたSTAUBが「お米を美味しく炊くために」開発したという、ラ・ココット de GOHANの存在だった。
ラ・ココット de GOHANの特徴
STAUBがお米を美味しく炊き上げるために注目したのは、平安時代に日本で生まれた羽釜の存在だ。羽釜の特徴である底から上部へかけて緩やかな球状であるのに合わせ、ラ・ココット de GOHANのフォルムは底からカーブを描いている。
これが底面だけでなく側面からも熱を受け、大きな対流を鍋底から生み出すことによって、熱をお米一粒ずつ均等に伝えていく仕組みとなっている。更に鋳鉄製の厚い側面は頑丈で鍋全体を均一に温めてくれる。
また蓋裏には「システラ」と呼ばれる突起があり、これが美味しさを生み出す秘訣のひとつ。重たい蓋で密閉されて生まれた蒸気は旨味をふんだんに含んでおり、これらが再び鍋内で自動的に対流し降り注ぐ方式は「アロマ・レイン」と呼ばれている。
STAUB ラ・ココット de GOHANは昔ながらの炊飯法とSTAUB独自の特性が組み合わさり、見事に昇華されているのだ。
ラ・ココットde GOHAN ご飯の炊き方
STAUBのラ・ココット de GOHANには一合炊きのSサイズ、一・二合炊きのMサイズ、三~五合炊きのLサイズがある。日常使用する分量によってサイズを選んでみたい。白米二合分の炊飯方法だが、まず米を水で優しく洗い(無洗米はこの手順を飛ばす)、30分ほど浸水させる。
次にザルにあげて5分ほど置いた米をラ・ココット de GOHANへ入れる。そこへ水400cc注ぎ、蓋を開けて中火で加熱する。
沸騰し米の周囲に大きな泡が立ってきたら鍋底から米をかき混ぜ、再び平らな状態にする。
蓋をして弱火で10分加熱し、火を止めてコンロから鍋を外し、10分ほど蒸らしておこう。蓋を取って炊きあがったお米を優しく底から混ぜれば完成だ。米はブランドによって、また好きな米の硬さによって水の分量や炊飯の時間が多少前後する。色々試してみて、自分好みにぴったりの炊飯方法を見つけたい。
STAUB独自の黒マットエマイユ加工が施されているため、側面には米粒が付きにくく、洗うのも簡単だ。STAUBのラ・ココット de GOHANは米が沸騰するまで注意を払えば、後はキッチンタイマーがあればとてもスムーズ。鍋で米を炊くことが身近になるに違いない。
お米を炊くだけじゃない。煮込み料理や揚げ物にも
STAUB ラ・ココット de GOHANは米を炊くだけでなく、もちろん通常の鍋としても使用できる。炊飯に使用しない時はSTAUBが得意とする煮込み料理やスープに。ほど良いサイズ感なので、少量を作りたい時に重宝できる。
また鋳鉄性の厚い側面は温度を保ってくれるので、揚げ物もおすすめ。自宅で作るのは億劫に感じるフライ料理も、ラ・ココット de GOHANがあればぐっと調理しやすくなるだろう。
ここで使用しているMサイズは直径16センチ、ご覧のように大き過ぎず小さ過ぎず、ちょうど良いサイズ。これひとつあれば米を炊くのをはじめ様々な調理法に対応でき、一人暮らしには最適と言えるだろう。
美味しいお米と自分の時間を贅沢に
紀元前5世紀頃、朝鮮半島より日本に伝来した水田耕作。たっぷりと水分を与えてくれる梅雨があり、夏は暑いという気候が稲作栽培に適しており、また長期間保存ができる米は長く日本の食文化の中心を担ってきた存在だった。
時代の流れと共に炊飯方法は変化し発展を遂げ、今はボタンひとつで簡単に米が炊ける時代。作業時間は短縮された分、活用できる時間が増えたわけだが、果たしてその時間を有効に使っているのかと問われると、思わず考え込んでしまう。
鍋で米を炊くのは聞いただけでは億劫に感じる作業。だがお米を美味しく食べる、そのために自身の時間を使い手間をかけてみる。火加減を調節し水分量を考慮する。慣れないうちは上手く炊けないこともあるだろう。しかし手間暇をかけることによって料理の腕は上達し、自身の感覚は研ぎ澄まされていく。それは手軽で簡単という文明の利器からは得られない、自分らしい暮らしを作り上げてくれるはずだ。
ラ・ココット de GOHANはフランス発のSTAUBが、独自の性能を活かしつつ日本の食文化と伝統を取り入れたプロダクト。炊きあがった米を食せば、しばしその味に酔いしれるに違いない。時には鍋で米を炊き、米本来の美味しさとその味を堪能するひと時という贅沢を味わってみてはどうだろうか。
STAUB ラ・ココット de GOHAN
CURATION BY
1992年渡英、2011年よりスコットランドで田舎暮らし中。小さな「好き」に囲まれた生活を求めていたら、夏が短く冬が長い、寒い国にたどり着きました。