イタリアを代表する偉大な写真家ルイジギッリ
写真を撮影するという事は世界をどのように捉えるかである。写真の持つ力を知り、被写体にどう向かい合うべきか。彼の話と、洗礼された優しい写真を見ていると、また写真が撮りたくなる。この本は写真を続けている以上、ずっと持っていようと思った一冊だった。
20年経った現在においてもアート写真が好きな方、写真のプロを目指す方には必見の一冊という位置付けである。
入手困難な写真集を紹介する事は本意ではないが、1年に一度くらいルイジギッリの写真集は発刊されているので、見つけた時が買い時である。悩んでいる間にマーケットからなくなっていたと言うのは写真集では良くあることなのだ。
今回紹介するのは、すでに入手が困難ではあるが、2017年にタカイシイギャラリーで個展を開催された時に刊行されたカタログになる。このカタログへのこだわりが凄すぎて、タカイシイさんが、いかにルイジギッリをリスペクトしているかが伝わってくる。
表紙に無駄なデザインはなく、写真作品でもない。ストーン柄のようなテクスト模様になっているため、パッとみただけでは何の本か判断が付かないだろう。ルイジギッリという名前だけが、この本のインフォメーションとなる。
小さいプリントには小さい良さがあるもので、作品を見ている者はより凝視する。パッと見ただけのインパクトは大きく無い分、ごまかしの効かない作品を出すしかない。そして凝視して心にスッと落ちた時には、忘れられない作品となり、大きな感動が生まれるはずだ。このあたりがルイジギッリの作品の上品さにも繋がっているのだと思う。
タカイシイの写真集はルイジギッリの意向を継ぎ実際にギャラリーで見ているのと同じような経験をできるような仕掛けをしているのだ。コレクターをも唸らせる素晴らしい仕事をされた一冊である。
ルイジギッリの集大成。この一冊を見たら写真が好きになる。
それぞれのコンセプトに分類され、まとめられている。この一冊には一人の写真家が人生を賭けて写真という行為に真剣に向かい合い、愛し、そして悩み、生きたという事を感じる事ができる。
だから写真は良い。絵画でも映像でもなく、写真には他には変えられない魅力がある。コンセプトは言葉であるが、言葉だけでは表現できない魅力が写真にはまとわりつくのである。
2024年MACKから新刊が発売
内容はイタリアの街をミニチュアで再現したテーマパークを撮影した作品である。ルイジギッリの視点と作られた街の違和感が混じり、不思議な世界にトリップしていく。
観光客を比喩している印象はなく、やはり心地よく温かい気持ちで眺めることができる。本の後半はテーマパークを創設したデザイナー、イヴォ・ランバルディの公園設立のための計画やメモが掲載されている。開園から50年以上経つ現在でもイタリアではインスタ映えスポットとして人気のあるテーマパークだ。
イタリアの写真に合わせてグラッパを頂く。
グラッパはワインを作る際に生じる葡萄の搾りかすから作られるイタリアの蒸留酒で、食後酒として飲まれる事がある。透明のグラッパは若く、琥珀色のグラッパは樽熟成されたものである。
天気の良い休日、あかるいうちから飲みたくなるようなお酒だ。
このグラッパは、何といってもコスパが良い。二千円台で購入をする事が出来るため、手にとりやすいだろう。熟成グラッパに比べて、アルコール臭も感じるが、ベリーっぽい香りもある。ベリー系のドルチェやティラミスなどと一緒に飲むのはオススメだ。またソーダ割りやロック、エスプレッソに入れて飲む、カフェコレットという飲み方もある。安価なグラッパだけに、色々な飲み方を楽しむのも良いだろう。