初めての一人暮らし。新生活への夢が広がるものの、実際にどのように物件を探してよいのかわからないという人も多いだろう。
物件は一度決めたら最低でも1~2年は住む契約となるケースがほとんど。また、家は日々の生活の基盤となるため、安全性や快適性にもこだわりたい。
ここでは、初めての一人暮らしで重要となる物件選びの探し方や準備のスケジュール、内見時に確認しておきたいポイントを解説する。ぜひ、理想の物件を探すための参考にしてほしい。
一人暮らしの物件の探し方|「ハイシーズン」と「オフシーズン」について押さえておこう
不動産業界では、入退去によって賃貸物件の数が変動することを「物件の動き」という。物件の動きが多い時期はハイシーズン、物件の動きが少ない時期はオフシーズンとされる。ここでは、それぞれのシーズンの傾向や物件の特徴を紹介する。
ハイシーズンの物件の動きや特徴
ハイシーズンの1月~3月は、就職や進学で引っ越す人が増えるため、不動産業界の繁忙期である。物件の動きは多い時期だが、それだけ物件を探している人も多く、すぐに部屋が埋まりやすいのが特徴。
その次の繁忙期は9月~10月、会社の転勤や異動があるシーズンだ。なお、10月は新築物件の数が一番多い時期といわれている。そのため、新築物件にこだわりたい人はこの時期が狙い目だろう。
オフシーズンの物件の動きや特徴
オフシーズンは、6月~8月。この時期は、梅雨や夏の暑さが影響して、ハイシーズンと比べると物件の動きが少ないといわれている。不動産業界も閑散期になるため、ゆっくりと相談に乗ってくれる可能性が高いだろう。
スケジュールに余裕があるなら、オフシーズンの引っ越しがおすすめ
ハイシーズンは、入学や就職、転勤などの理由で絶対に入居しなければいけない日程が決まっている人が多い。そのため、物件の取り合いになるのは避けられないだろう。4月からの新生活で引っ越しが決まっている場合や、スケジュールに余裕がある場合、繁忙期に入る前の11月~12月に物件を決めてしまうというのもひとつの方法だ。
物件探しのシーズンと特徴を知っておけば、タイミングを押さえて賢く物件探しができるだろう。
引っ越したい月から逆算して準備を始めよう
引っ越したい月が決まったら、その引っ越しまでにどれくらいの期間があるか計算しよう。
ゴールから逆算してスケジュールを立てよう
引っ越しにおいては、物件探し以外にも内見や買い物、荷造り、電気・ガス・水道といったライフラインの手続きなどやるべきことが多い。ときにはさまざまなタスクを同時進行する必要もあるだろう。
複数のタスクを頭の中だけで整理しようとすると、やるべきことを忘れてしまったり、期限に間に合わなかったりすることも。そうした事態を防ぐためには、やるべきことのリスト化が重要だ。
ゴールを「引っ越し完了」と設定して、それまでに済ませたいことを逆算してスケジュールを立てていく。そうすれば、「物件探しはいつまでに終えなければならないか」という期日が見えてくる。
スケジュール管理は、「ガントチャート」がおすすめ
ビジネスシーンのスケジュール管理でも使われるガントチャートは、作業の進捗状況を一目で把握できるため、物件探しや引っ越しまでの計画にも役に立つ。
ExcelやGoogleスプレッドシートなどを使用し、縦軸にやるべきこと(タスク名)、横軸に日付を記入する。そこに、タスクごとに対応期間をラインで記入していけば作成完了。
最初にこのガントチャートを作る必要があるが、作ってしまえばそのスケジュールで動けばよいため、後々の管理が楽になるだろう。また、対応漏れや忘れなどを防ぐことができるのが最大のメリットだ。
一人暮らしの物件選び、内見時に押さえておきたい5つのポイント
一人暮らしの物件を選ぶ際は、自身の生活スタイルやこだわりに沿ってチェックポイントを定めることが望ましい。ここでは、内見後に複数の部屋を比べる際のヒントになる項目として、5つのチェックポイントを紹介する。
1.部屋の中心からも写真を撮る
内見時に部屋の写真を撮る際には、気になる箇所のフォーカス画像だけでなく、部屋の真ん中に立った位置からも撮っておこう。そうすれば、見返した際にフォーカスした画像が部屋のどの箇所なのか一目瞭然だ。
また、部屋の中心から360度の動画を撮影しておくと後で見返すときに便利。あわせて、家具の配置イメージやコンセントの位置などもしっかりと確認しておこう。
2.クローゼットや備え付けの棚などの収納量をチェックする
収納面の確認も内見時に欠かせないポイントだ。ロフトやクローゼットなどの収納スペースがあれば、新たに収納家具を購入する必要もなくなり、部屋自体を広々と使えるだろう。加えて、備え付けの棚がどこにあるかもチェックしておけば、生活の動線をイメージしやすい。
収納スペースが狭い場合、新たに収納家具を購入した方がよいケースもあるだろう。生活を始めるにあたってかかる費用の目安にもなるため、自身の荷物の量と比較して考えておくことをおすすめする。
3.部屋の中や冷蔵庫・洗濯機置き場、入り口などを採寸する
大型家電や家具など置きたいモノが決まっているなら、事前に問題なく設置できるか部屋の中の計測をしておこう。あわせて冷蔵庫や洗濯機置き場の広さ、カーテンのサイズも測っておけば、買い物などの準備も進めやすい。
4.共有設備についても実際に見る
内見時に部屋は念入りに確認していても、共有設備については意外と見落としがち。ゴミ捨ての場所や出し方、宅配ボックスの有無、自転車に乗るなら駐輪場なども内見のついでに確認しておきたい。
5.駅から家までの治安や環境を実際に確かめる
物件探しの条件として、「駅近」をあげる人も多いだろう。駅からの距離は不動産会社で教えてもらえるが、実際に歩いてみると踏み切りがあったり、思いのほか移動に時間がかかったりすることもよくあるのだ。もちろん人によって歩くスピードも違うため、実際に自分の足で歩いて何分かかるか試しておくとよいだろう。
同時に街の治安や夜の街灯などの確認もしておくと安心だ。近所にスーパーやコンビニ、病院、薬局があるかといった暮らしやすさの面も見ておこう。
内見時にさらに確認しておきたい、生活に関わる2つのポイント
内見時には、住み始めたときの生活に関わることも忘れずに確認しておこう。
1.騒音
住み始めてから騒音で悩まされないよう、隣の部屋や上の階、廊下、物件の外からの騒音がないか確認しておこう。また、自分の部屋から音が漏れないかも重要だ。
2.日当たり、風通し
日当たり、風通しは意外と内見時に見落としがちなポイント。日当たり、風通しがあまりよくない物件は、カビが生えやすいため注意が必要だ。また、すでに窓際や収納などにカビの痕跡がないかも確認しておこう。
入居前に見つけた場合には、自身の退去時に請求されないよう、写真を撮って管理会社へ申告しておくと安心だ。
一人暮らしの物件探しは、スケジュール決めと内見時の確認が重要
一人暮らしの物件探しは、時期を見極めたうえでスケジュールを引くとスムーズに進めやすい。ガントチャートなどで管理して、確実に準備を進めよう。
また、今回紹介した内見時に確認すべきポイントは、実際に住み始めてからの生活に大きく影響する。入居後に後悔しないためにも、部屋探しの際に活かしてほしい。
こちらの記事でも、部屋探しのコツを紹介している。あわせて確認しておこう。
Vol.298 一人暮らしのための部屋探しのコツとは?譲れない条件の決め方や内見時の注意点
https://zoomlife.tokyo/koto/298
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整理収納アドバイザー。講師を務めるセミナーはリピート率90%以上。
メディア出演、コラム執筆、ショールームでの収納コーディネートをはじめ、収納用品の開発や監修なども行っている。