Vol.767

FOOD

23 JUN 2026

夏の食卓をもっと豊かに。インスピレーションは世界各地のサラダから

サラダは食欲が減退する夏でもさっぱりと涼やかに食べられる、おすすめのメニューのひとつ。不足しがちな野菜がたっぷり食べられる反面、いつも同じ食材で、味の変化はドレッシングだけ、というマンネリ気味になりがちでもある。そこで世界各地で愛され続けてきたサラダからインスピレーションをもらって、野菜やタンパク質、炭水化物がバランス良く摂れる、個性豊かなサラダに挑戦してみたい。一品だけで大満足できるクリエイティブなサラダで、この夏を元気よく乗り切ってみよう。

退屈さから抜け出して。夏のキッチンを楽しく、栄養満点に

いよいよ夏本番、容赦なく照り付ける太陽とまとわりつくような湿度の高さ。帰宅してキッチンに向かおうと思っても、暑さによる疲れは消えることなく、調理をするのも億劫な季節となった。

熱気がこもるキッチンで火を扱う料理は作る気が起きないし、そうかと言って蕎麦やそうめんなどの手軽なメニューが続くと、栄養バランスが気になり始める。それではビタミンやミネラルが豊富なサラダを中心に 、と思ってみても、具材はトマトやレタス、キュウリといった同じ顔ぶれに固定されがちで、そこへ市販のドレッシングをかけると毎回似たような味になってしまう。

いつも同じサラダでは、野菜を切る作業もルーティン化してしまう
これまで日本ではサラダは主役ではなく、どちらかと言えばメインに添える脇役としての役割を担ってきた。調理に時間はかからないものの、「必要だから切っている」という作業感が先に立ち、そこに楽しさや喜びを見出すことは難しい。また卵やツナなどを足したとしても、それだけでは炭水化物やエネルギー量が不足し、満足感が続きにくいこともある。

そこで注目したいのが、世界各地で愛されているサラダたちだ。それらは野菜はもちろん、肉や魚、米や麺などを取り入れて、一品だけで完結できるメインディッシュとなっている。そんな個性豊かな世界のサラダからヒントをもらって、夏の食卓を彩り豊かに、栄養たっぷり味わってみたい。

自由な発想で食材を組み合わせ、メインディッシュとなるひと皿を完成させてみよう

世界のサラダから学び、主役級の一品へ

日本のサラダと世界のサラダの違いはその役割、また構成の複雑さにあるのではないだろうか。日本のサラダは「箸休め」的な存在で、野菜の瑞々しさが重要なポイントとなる。水分を含んださっぱりとしたサラダを口にすることによって、メインの料理がより引き立ち、最後まで美味しく食事を進めることができるのだ。

定番のサラダは瑞々しさが重要で、メインを引き立てる位置付けだった
一方、世界のサラダは食材の組み合わせが鍵となる。温かいものと冷たいもの、異なる食感や風味の相乗効果がサラダを豊かに、味わい深いメインディッシュへと昇華させている。例えばスコットランドの名物であるスモークサーモンに茹でたジャガイモを合わせたサラダ。炭水化物とタンパク質、脂質をバランス良く摂取できる、主役級の一品だ。

ジャガイモの温かさとサーモンの冷たさがマッチして、最後まで飽きない一品に
また一見日本のサラダによく似ているのがギリシャのサラダだ。トマト、キュウリ、赤玉ねぎを使うシンプルな構成だが、ここに黒オリーブとフェタチーズが加わる。そこへ上質なオリーブオイルと塩、そしてオレガノやタイムなどのハーブを加えると、素材の良さをぐんと引き出し、見慣れた野菜たちが新鮮な味わいとなっているのに気付くだろう。

フェタチーズの濃厚さとオリーブオイルのコクが野菜の味を引き立てる
世界のサラダは温と冷、新鮮さと濃厚さといったコントラストを生み出し、夏に不足しがちな栄養素を補ってくれる。自宅で作る場合でも決してハードルは高くなく、ベースの野菜に肉や魚、チーズなどのタンパク質、麺やパン、米などの炭水化物を足し、そこへアクセントとしてスパイスやナッツ類、ハーブやオリーブオイルを加える。これを基本に考えていくと、幾通りものサラダを気軽に楽しめることだろう。

シンプルな調理でボリューム満点のサラダを楽しもう

それでは早速夏にぴったりなサラダを作ってみよう。まずご紹介するのは、シンプルな工程のベトナムのヌードルサラダだ。日本でも夏は冷麦や蕎麦を食べる習慣があるが、タレや野菜はいつも同じものになりがちだ。そこでベトナムの細麺、バーミセリを使ったエキゾチックなサラダに挑戦したい。

ベトナムではフォーよりも馴染みのあるライスヌードル、バーミセリ

レタスやキュウリ、人参を細切りにし、加熱した肉や魚を用意する。甘辛く炒めたビーフや冷やした豚しゃぶ、ガーリックを効かせてグリルしたエビなどがおすすめだ。茹でたバーミセリを冷水で〆たものに野菜と肉または魚を加えて、パクチーやミントなどのハーブを好きなだけ載せる。

甘酸っぱいタレがエビとバーミセリによく絡み、ナッツとハーブが丁度良いアクセントになっている

最後にナンプラーとライムの搾り汁、酢と砂糖、チリオイルを混ぜたドレッシングを加え、トッピングとしてローストして砕いたナッツを振りかければ完成だ。器の底から全体を豪快に混ぜ合わせ、ライムの酸味とハーブの香り、野菜のフレッシュ感を楽しもう。


続いてご紹介するのは、アメリカのコブサラダ。レシピは非常にシンプルで、ダイスのように同じ大きさにカットした野菜を材料ごとに器に並べるだけでOK。ドレッシングはクリーミーでスパイスの効いたものが定番だが、ここは自分の好きなもので構わない。そしてこのサラダをメインに格上げするために加えたいのが、アメリカらしくジューシーに焼き上げたステーキ肉だ。

食べ応え抜群のステーキを載せれば、大満足のメインディッシュが完成する
好みの味付けをしたステーキ肉を焼き、粗熱が取れたらカットしてコブサラダの上に載せれば、野菜とタンパク質を一度に摂れる贅沢なメインが完成する。調理法は野菜と焼いた肉を切るだけという簡単なものだから、料理をする元気がない時にもおすすめのメニュー。ステーキをチキンに変えたり魚にしたりと、バリエーションも楽しめる一品だ。

おもてなしにもぴったりなサラダは、少しだけ手間をかけて

手軽かつ満足度の高いサラダを作ってみたら、次は少し時間と手間がかかる世界のサラダにトライしてみよう。まず試してみたいのが、スパイスの聖地・インドのオニオンバジとライスを組み合わせたサラダだ。

バジとはインドのかき揚げのようなもので、ひよこ豆の粉にすりおろした生姜とニンニク、クミンパウダーやコリアンダー、ターメリックなどのスパイスを足して混ぜ、水を加えてバッター液を作る。そこにスライスした玉ねぎを入れて程よい形にまとめ、油でカラリと揚げた料理だ。

ひよこ豆粉が手に入らない時は、小麦粉と片栗粉を1:1の割合で代用してみよう
ライスはバスマティライスを冷ましたものがよく合うが、ジャスミンライスや市販のビリヤ二風ライスでアレンジしても良いだろう。ライスにカットした玉ねぎやキュウリなど好みの野菜を加え、パクチーやミントといったハーブを足す。

そこへ揚げたオニオンバジを載せて完成だ。最後にオリーブオイルとレモン、塩・胡椒で整えたドレッシングや、ヨーグルトをベースにレモンとクミンシードを加えたドレッシングなど、好みのものを組み合わせてみよう。

冷たいライスと温かなオニオンバジのコントラストに食が進む。スパイスが効いた、これまでのサラダとは一味異なる味を楽しんでみたい
そして最後にご紹介するのは料理上手な友人が作ってくれて、とても感動したタコスサラダ。タコスは言わずと知れたメキシコの定番料理だが、トルティーヤをカップ状にし、そこへタコスを入れてサラダ仕立てにしたものだ。

まずフライパンに油を加え、市販のトルティーヤに薄っすらと焦げ目がつくくらいに焼く。焼いたトルティーヤを素早くオーブン用の耐熱容器に押し付け、型を付ける。

焼いたトルティーヤは柔らかく扱いやすくなっている。小さめにカットして、マフィン用の型を利用するのもおすすめ
耐熱容器に入れたトルティーヤを190℃に熱したオーブンに入れ、約8〜10分ほど加熱した後、容器から取り出して粗熱を取っておく。トルティーヤが冷めたらタコスの材料(レタス、タコミート、アボカド、トマト、チーズ、黒オリーブなど)を加え、サルサソースやサワークリームソースを用意すれば完成だ。

器ごと食べられるタコスサラダは夏の夜にぴったりなメニュー
トルティーヤカップの中身はベーシックなタコスを入れても良いし、好みで具材を変えても面白い。ちょっぴり手間がかかるメニューだが、作っている時間から食卓に並べた瞬間、味わうひとときまで存分に楽しめる、夏の夜にふさわしい豪華なサラダとなるだろう。

可能性は無限大。オリジナルなサラダを目指して

苦手な人はもちろん、そうでない人にとっても、毎年上昇しているかのような湿度と気温、そして年々長引いている気がする夏は、辛く厳しいものに違いない。料理をする気はもちろん、食欲さえも失せてしまうこの季節。だからこそ栄養抜群、パワーが出るサラダを作り、元気よくこのシーズンを乗り切ってみたい。

これまで長年抱いてきた「サラダ=メインの添え物や引き立て役」という固定観念を脱ぎ捨て、世界で愛され続けてきたレシピからヒントをもらって、クリエイティブなサラダに挑戦してみよう。

自分らしいオリジナルな発想で作る特別な一皿。サラダにはまだまだ自由な可能性が秘められている
食材の食感や香り、彩りを考慮しつつ、野菜と肉や魚、米や麺を組み合わせ、合わせるドレッシングで無限に広がるサラダの世界。自分の五感をフルに使って生み出す「自分だけの特別なサラダ」で、この夏を美味しく、エネルギッシュに過ごしてみたい。

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