自宅で夜を過ごすのに、最も心地良い季節は秋かもしれない。日を追うごとに木々の葉は色づき始め、新米やキノコ類など美味しい旬の食材が出回るシーズン。お気に入りのインテリアでまとめた住まいで過ごす夜は、気分を盛り上げるおつまみとともに、好みのドリンクでリラックスしてみよう。おすすめしたいレシピがアヒージョだ。シンプルな調理法とアレンジ自在のアヒージョで、秋の夜長を楽しみたい。
				
 
				
					
					
	                    
	                
	                    秋の夜を楽しむために。アルコールに合うおつまみを
	                
	                    休日前夜にゆっくり自宅で過ごす時間、それは至福のひと時だ。誰に気を遣うこともなく、美味しい肴を前に好みのアルコールをグラスに注ぐ。好きな本を読んだり、音楽や映画を楽しめば、日常の疲れもどこかへ消え去っていく。
 
	                
	                    
	                
	                    この時、自宅でのドリンクタイムを盛り上げてくれるのが、ちょっとしたアペタイザー。旬の食材を使い、アルコールを惹き立ててくれるおつまみを手早く作りたいのだが、手の込んだレシピは調理が億劫に感じてしまうし、そうかと言って毎度出来合いの総菜やテイクアウトばかりでは味気ない。
食材の旨味を活かし、調理法はシンプルで簡単、それでいてバリエーションに富んでいるものが好ましい。そんな贅沢な希望を叶えてくれるのがアヒージョだ。料理が苦手という人にも簡単にチャレンジできるアヒージョを、自分なりのオリジナルレシピで楽しんでみよう。
 
	                
	                    
	                
	                    アヒージョは素材を活かしてシンプルに
	                
	                    キャンプ料理としても人気が高いアヒージョは、スペインのバー(バル)で提供される多種多様な小皿料理、タパスのひとつであることは既にご存じだろう。アヒージョ(ajillo)はにんにく(ajo)から派生した言葉で、にんにくとオリーブオイル、そして唐辛子を加えたもので食材を煮た「にんにくオイル風味」の料理を指している。
 
	                
	                    
	                
	                    エビやマッシュルームの具材が定番のアヒージョは、本来はひとつの鍋にひとつの具材を使う。だが自宅で調理する時はルールに縛られず、自由気ままに楽しんでみたい。合いそうだなと感じた肉や魚と野菜を、自分流にミックスして楽しんでみよう。
スペインではオーブンと直火に対応できる耐熱性のカスエラという土鍋を使用するが、鋳鉄のスキレットはもちろん、普通のフライパンで調理して耐熱皿に移すのでもOK。にんにくとオリーブオイル、唐辛子を使ってオリジナリティにあふれたアヒージョを生み出してはどうだろうか。
 
	                
	                    
	                
	                    始めはベーシックなレシピから
	                
	                    それではさっそくアヒージョを作ってみよう。アヒージョのレシピだが、先に記したようにとても簡単。材料はオリーブオイル、にんにく、そして唐辛子。オリーブオイルは加熱すると香りが飛んでしまうので、ここではピュアオリーブオイルを使用する。オリーブオイルの香りを楽しみたい、という方は仕上げにエキストラバージンオリーブオイルを使ってみよう。
まずカスエラ、なければスキレットや小ぶりのフライパンにオリーブオイルを具材がひたひたになる程度(大匙2.5杯ほど)入れて、スライスしたにんにくをひとかけら入れて弱火にかける。15秒ほどにんにくを炒めたら、スライスした唐辛子を1本(辛いのが苦手な方は半分で)入れて弱火で炒める。
 
	                
	                    
	                
	                    
	                
	                    
	                
	                    
	                
	                    具材全体に火が通ったら、硬くならないよう予熱時間を計算して少し早めに火からおろし、刻んだパセリを加える。最後に塩・胡椒で味を整えて完成だ。アツアツのうちにテーブルへ運んで、香ばしい風味を味わおう。
 
	                
	                    
	                
	                    ご覧のようにアヒージョの調理法はとてもシンプル。これなら疲れた日に具材を切って下ごしらえをするだけで良く、料理は苦手という方もすぐに取り掛かれるに違いない。一つの具材を扱う調理法を覚えたら、次は様々な素材を組み合わせてチャレンジしてみたい。魚介類なら代表的な具材エビをはじめ、イカやタコ、ホタテなどがおすすめで、肉類はチキンや砂肝、ベーコンやソーセージも美味しい。
 
	                
	                    
	                
	                    肉や魚と合わせる野菜にぴったりなのが、キノコ類。また少しボリュームアップしたい時はじゃがいもが良いだろう。芋類は煮込むのに時間がかかるため、予め茹でておくのがおすすめだ。
彩りが良くなるブロッコリーやアスパラ、味のアクセントになるプチトマト、ズッキーニやコーン、オクラなども相性が良い。素材の旨味を存分に活かし、季節をたっぷり味わおう。
 
	                
	                    
	                
	                    アレンジは自分次第。オリジナルな発想で新たなレシピを
	                
	                    シンプルな調理法の他、アヒージョの特徴は具材のアレンジが豊富なところが挙げられる。肉や魚、野菜はもちろんのこと、豆腐や餅、チーズを合わせてみても美味しいのだ。豆腐はシンプルに絹ごしや木綿、あるいは厚揚げでも異なる食感を味わえる。
 
	                
	                    
	                
	                    チーズは最後に上に載せてとろけた状態で他の具材と絡めて食べるのも美味しく、またカマンベールなど塊で中央に置くと、雰囲気がぐっと華やかになる。
 
	                
	                    
	                
	                    またベースがにんにく、オリーブオイル、唐辛子ととてもシンプルなアヒージョなので、他の調味料を加えると味ががらりと変わる面白さも持っている。マヨネーズを加えてまろやかさを楽しんだり、豆板醤を加えて中華風にしてみたり、ハーブと一緒に煮込んでみたりと、様々な味の変化を楽しんで
 
	                
	                    残ったオイルも有効活用
	                
	                    アヒージョに使うオリーブオイルは、具材を食べつつバゲットに浸して味わうが、それでも残ってしまう時がある。その時は他の料理にこのオイルを使ってみよう。にんにくの香りと唐辛子の風味、そして煮込んだ具材の味が浸透し、奥深い味わいのオイルになっているので、最後の一滴まで余さず楽しんでみたい。
 
	                
	                    
	                
	                    定番としてはオリーブオイルを使うパスタ料理に、あるいはリゾットに。もちろん魚料理や肉料理などを焼く際に使うのもおすすめだ。その際アヒージョで使用した具材が魚介類であったなら魚のレシピに、というように、同じ具材を使用するとより味が引き立つだろう。
 
	                
	                    
	                
	                    またアヒージョに使用したオイルにアンチョビを足すとバーニャカウダとなる。アヒージョを食べた翌日は新たな味付けのオイルで、野菜料理を中心にヘルシーに過ごすのも良いかもしれない。
 
	                
	                    
	                
	                    
	                
	                    料理が苦手な人も、おつまみはシンプルなものから始めたい
	                
	                    「アヒージョ」と聞くとキャンプ料理として、あるいはパーティ料理の前菜など、華やかな食卓の印象を持つ人もいるかもしれない。だがアヒージョは少ない材料をベースとして具材を輝かせる、調理の工程がとてもシンプルな料理。
料理に苦手意識を持っている人も、調理過程が多いレシピに億劫さを感じていた人にも、気軽に取り掛かることができる。合わせる具材を変えることで、見た目の雰囲気も味も変わる。応用の効くレシピだからこそ、自宅でどんどん新たなバリエーションを試してほしい料理なのだ。
 
	                
	                    
	                
	                    さあ、今度の週末の夜は久しぶりにゆっくり自宅で過ごすことにしようか。始めは冷たいビールから、続いて良く冷やしたスペイン産の白ワイン。そしておつまみには自分で調理したアヒージョを。ぐつぐつと鍋が煮え立ち、具材に程よく火が入ったらバゲットを用意してテーブルセッティング。アツアツのアヒージョと冷たいワインの心地良さで、秋の夜長を過ごしてみよう。
 
	                
	                    
	                
					
	  			 
	  			
	  			
	  			
	  			
	  				
	  					CURATION BY
	  					
	  					
	  						31年間暮らした英国から日本へ。海と山と川に囲まれた、小さな村での暮らしが始まりました。