つけても、つけなくてもいい。そんなジュエリーへの価値観を揺さぶり、塗り替える。使うほどに体温に馴染み、肌に寄り添う。つけていないときよりも、つけている方が心地よく感じられる錫(すず)素材のジュエリー。日本にとどまらず世界に鋳物製品を届ける「能作」は、富山を代表するものづくり企業。職人が丁寧に仕上げる錫の器や真鍮の風鈴は、洗練されたデザインと本質的な美しさで、国内外の人々を魅了してきた。そんな錫を得意とする能作が、次に手がけたのはジュエリー。錫ジュエリーを身につける日常の美しさを紹介する。
100年企業が提案する、新しい錫のかたち
「能作」が手がける錫素材のジュエリーブランド「NS by NOUSAKU」。ファーストコレクションのテーマは「Ribbon(リボン)」。しなやかに絡み合うリボンの曲線を意識したリズミカルなデザインのピアス、ネックレス、リングなどが揃う。控えめながら、錫特有の上品な輝きを放つジュエリーと、ブランドが描く洗練された世界観。その美しさは、錫を身につけたいという憧れを、静かに呼び覚ましてくれる。
「NS by NOUSAKU」を展開する「能作」は、富山県高岡市で100年続く鋳物企業。そんな同企業が、こだわりを身に纏う、唯一無二の錫ジュエリー専門ブランドとして、2024年11月6日にローンチした。錫と金を配合した独自素材「Tin Gold」と、現代を生きる幅広い世代の男女に馴染むモダンなデザイン、職人技が宿る造形美。シンプルで上品なジュエリーとして、錫の新たな取り入れ方を提案する。
ローンチ直後の2024年11月13日(水)〜19日(火)には、伊勢丹新宿にて期間限定のポップアップストアを成功させ、11月20日(水)には、東京・日本橋に常設店「NS by NOUSAKU コレド室町テラス」をオープン。店内には、オリジナルの錫板が煌めく天井装飾や、錫ジュエリーを引き立てる錫のディスプレイ台が設けられ、錫ならではの上品でコンテンポラリーな魅力を体験できる空間が広がる。
肌に馴染む、しなやかなジュエリー
錫は錆びにくく、柔らかく曲げやすいという特性を持つ。「NS by NOUSAKU」では、ピアスやネックレス、リングを錫97%・金3%の独自素材「Tin Gold」で表現し、ジュエリーを展開。金を加えることで強度が増し、力を加えるとゆっくりと曲がるように仕上がっている。手に取ると、その軽さと、体温に馴染み肌にすっと寄り添うようなしなやかさに心奪われる。
リングは3号から7号まで、奇数サイズで展開(一部商品を除く)。ジュエリー専門店ならではのしっかりとしたサイズ展開に加え、軽く力を加えるとサイズを微調整できるユニークさを持ち合わせ、ジュエリーに対する新しい価値観を創造する。「能作」の製品として、これまでにも、錫を自分で叩いて模様をつけるカップや、自由に形を変えて使える器などが登場してきた。しなやかな食器は想像できても、ジュエリーまでもが柔軟であることに驚かされる。
けれど、その驚きは最初のひとときだけ。身につけるうちに、現代の日常に自然と溶け込む洗練されたデザインと錫特有の質感・存在感が、じんわりと心地よく感じられてくる。それは、新しいジュエリーの楽しみ方であり、錫という素材を現代に取り入れる、新たな提案でもある。
人生と共に変化していく存在
錫でできたユニセックスなデザインのリングは、女性は薬指に、男性はピンキーに。それぞれの感性や着け心地に合わせて、さりげなくペアリングとして身に着けるのもすてき。鎖のような強い結びつきではなく、ゆるやかで自然なつながりを感じさせるペアリング。今の時代に、ちょうどいいかたちだ。
使い込むほどに、錫のしなやかな光沢は深みを増し、よりやわらかく、やさしい存在感をまとう。軽やかに、そして穏やかに。カップルの人生に寄り添い、静かに変化していく存在となる。
さらに、アコヤパールのワンポイントやひねりといったディテールがブランドのトーンを保ちつつ、錫の落ち着いた輝きがタイムレスな価値を提供する。Tシャツにさりげなく合わせても、ドレスに華やかさを添えても、どんなシーンにも柔軟に溶け込む。シンプルなデザインは、ほかのジュエリーと重ね付けして印象を変えることもできる。性別や世代を問わず、感性に寄り添う錫ジュエリーの美しさが、日常のなかで静かに根づいていく、そんな日も遠くないかもしれない。
10年目の絆を錫に込めて
結婚10周年は「錫婚式」と呼ばれる節目。美しさとやわらかさを併せ持つ錫のように、しなやかに寄り添い続ける関係を祝い、感謝を伝える日だ。「能作」は、錫婚式のブライダル事業も手がけ、心に残るアニバーサリーの提案を行ってきた。10年という節目に、錫のリングを贈り合う。そんな記念日はどうだろう。錫ジュエリーが運ぶのは、しなやかなマインドと、しなやかな未来。時を重ねるほどに深まる絆に、そっと寄り添う存在になり得る。
記念日や節目に、「錫」という特別な素材のジュエリーを選んでみてほしい。感性や気分にあうアイテムでパートナーとの絆を形にしたり、それ自体を人生を歩んでいくパートナーとしたり。錫ジュエリーを手に取ることで、静かにポジティブな変化がおとずれるはずだ。ジュエリーは、ただの装飾ではなく、“心地よさ”や“しなやかな生き方”を映すもの。錫のように、変化を受け入れ、そのときどきで異なる魅力を放つ人でありたい。
NS by NOUSAKU
CURATION BY
東京と富山の2拠点生活をするインタビュアー・取材ライター。ライフワークはおしゃれホテル宿泊で、年間100以上の宿泊施設を利用。ローカルとシティどちらで遊ぶのも好きで得意。グルメはフランス料理とチョコレート、コーヒーが大好物。