Vol.71

MONO

08 OCT 2019

スーツ、ではなく作業着? ワークスタイルの垣根を超える「WORK WEAR SUIT」

「働く」とはどういうことだろう。リモートワークの普及でオフィスに出勤するという概念がなくなり、副業でマルチな顔を持つ人が増えるなど、今までの“常識”が崩れつつある。 そんななか、「ブルーカラー、ホワイトカラーという言葉や考え方は古臭い偏見だ」というキャッチコピーのもと、2018年3月に発売されて以降、注目を集めているのがスーツ型作業着「WORK WEAR SUIT」だ。洗濯機での丸洗いOK、アイロン不要、カバンに丸めて入れてもシワにならない。しかも見た目はクール! スーツの常識も作業着の常識も覆す、そのファンクショナルな実力に迫った。

水道工事も、農業も、日本酒の醸造も。スーツを作業着に

作業着をオシャレにするのではなく「スーツを作業着にする」という逆転の発想で、ワークウェアを再定義したスーツ型作業着「WORK WEAR SUIT(以下、WWS)」。
30・40代男性を中心に愛好家を増やしているが、法人契約も250以上あり、工事現場監督、設計士、農家や造り酒屋、マウンテンバイクのプレイヤー、ダンサー、記者など、さまざまな職業の現場で愛用されている。

そもそもWWSは、水道工事業から始まった株式会社オアシススタイルウェアが社内用のユニフォームとして企画・開発したものだったが、「一般販売したところ予想以上の反響をいただき、生産が追いつかないほどでした」と広報・岩見祐香さん。

「今、三越伊勢丹の紳士服フロアで商品を展開しているのですが、そこで高級スーツ(購入平均価格帯8、9万円)が並ぶなか、WWSを購入される方もいます。フォーマルなスーツのほかに、いわゆる“作業着”でもない、“スーツ”でもない、その中間にあるようなウェアを持つ。そのニーズを実感しました。今までの日本では、職業ごとの固定的な服装イメージが根付いていたところがありましたが、今後は打破されていくのだと感じます」

空間設計デザイナー・松本圭右さんの現場の様子。「プレゼンでも現場でも、着替える必要がない。動きやすい、そして軽い」
仕事着のカジュアル化が進んでいると言っても、ある程度のフォーマルさが求められる場面はあるし、工事現場監督のようにスーツを着たまま現場作業が必要になる職業もある。

ワークスタイルの多様化にしたがって、服装の捉えられ方も変わってきている。WWSは、ワークスタイルの変化を体現したものと言えるかもしれない。

WWSを着ることでワークスタイルに変化が生まれた

筆者も記者という職業柄、以前から取材時等にジャケットを着用している。しかし日常的にアイロンをかけなければならなかったり、クリーニング代がかかったりと、なかなか手入れは大変だ。

「WWSでは、防水性・撥水性・速乾性・ストレッチ性等、すべての機能を兼ね備えた生地を選ぶため、全国から100近くのサンプルを取り寄せました。アップデートを重ねて、ようやく現在の生地にたどり着きました。30回洗濯機で洗っても撥水性が衰えないデータがありますし、弊社の営業職の社員も1年間ほぼ毎日着用していますが、機能の衰えを感じないそうです」と岩見さん。

WWSを着用してみる。

テーラードジャケット(ダークネイビー)裏地付き18,000円(税抜)。他、カーキ、チャコールグレー、ブラック、ネイビーがある。

フルレングスストレートパンツ(ダークネイビー)12,000円(税抜)。
まず驚いたのは、そのストレッチ性。走ったり、腕を伸ばしたりしても、まったく体に負荷がかからない。寒暖差が激しい日もあったが、脱いだり着たりをこまめに繰り返してもシワを気にせずカバンに入れておける。洗濯機で毎日丸洗いしていたが、洗濯後もシワにならない。

そして、ジャケットのウエスト位置の両サイドに大きめのポケットが2つあり、胸ポケットにはペン差しが付いている。名刺入れや小型カメラ、ボイスレコーダー、メモ帳、ペン。今までは逐一カバンから探して取り出していたが、取材時に必要なすべてが、すぐにポケットから取り出せるのはかなり助かる。

撥水性も抜群。着用時に雨が突然降ってきた日があったが、水を弾き、すぐに乾いてしまった。

ポケットにはジッパーが付いていて、屈んでも中の物が落ちない仕様になっている。

B6サイズのノートやiPadもすっぽり入る。
手入れが簡単で清潔さも保てるし、しかも収納力も十分。かなり経済的で、効率的だ。物を取り出す時間や手入れにかけていた時間を短縮できるようになっただけでなく、クリーニング代を他の用途に回すことができるようになったことで、ライフスタイルに確かな変化が生まれた。

別ラインに、デザイナーズモデル「YZO」、モード×ストリートモデル「MNT」がある。写真はMNT。

服装ひとつで、会社が一気に変わった

岩見さん自身も、WWSを会社のユニフォームに導入してからの変化を感じているという。

「弊社の水道工事施工者は平均年齢30代なのですが、2016年の開発当時、移動中やご飯を食べに行くとき用に着替えを持ってきている人が多かったんです。仕事に誇りは持っているけれど、汚れて汗をかいた作業着を外でも着ることがはばかられたんですね。
こうしたこともあり、どちらにも使える『デートにも着ていけるような作業着』をつくったのですが、導入直後は賛否両論でした。スーツに見えるウェアを着ると、身なりも整えなければならない。面倒くさいという声がかなり多かったです。

変化があったのは1カ月後。施工のためにお客さまの家を訪問したときの反響が良くなったんです。作業着だと圧迫感があったのが、スーツにしたことで好感度が上がったんです。会社が口酸っぱく『身なりをきれいに』と言ってもダメだったのが、服装を変えるだけで一気に社員のマインドが変わりました」

取材時に伺ったオフィスでは、多くの人がWWSを身にまとっていた。カラー、ライン等、さまざま。
施工者から営業まで、さまざまな業種・立場の人々が、ユニフォームをつくってからは一体感が生まれた。

「お互いにとっつきにくさを感じていてバラバラだった社内のコミュニケーションも活発化しました。同じような悩みを抱える会社も、世の中にはたくさんあると思います。今後はWWSを通じて、年齢や立場、職業の垣根をなくす活動もしていきたいです」

ファッションで働き方は変えられる!

服装は、個性の主張だ。仕事においても同じ。自分の仕事のスタンスを相手に伝え、パフォーマンスを最大限に発揮する戦闘服でもある。

とりあえず礼儀としてジャケットを羽織っておけばいい、無難なスーツを着ればいい、それは固定概念にとらわれたビジネスファッションなのかもしれない。

ワークスタイルは変化する。働く人も変化する。WWSは、自分が選び取ったワークスタイルへの主張なのだ。

WORK WEAR SUIT

オンラインショップ:https://www.workwearsuit.com/

<販売店舗>

アバハウス(ABAHOUSE)原宿店
住所:東京都渋谷区神宮前6-25-16

伊勢丹浦和店
住所:埼玉県さいたま市浦和区高砂1-15-1
※ほか、三越伊勢丹グループの百貨店やABAHOUSEでポップアップストアをオープン(期間限定)