Vol.543

MONO

30 APR 2024

不安な心に太陽のぬくもりを。いつでも気兼ねなく使えるソーラーランタン「CARRY THE SUN®」

日常が突然奪われる「もしもの非常事態」を意識したモノ選びをしたことはあるだろうか。自然災害が身近にある日本で生活していても、自分の身に降りかかる出来事として日頃から意識している人は少数派だと思う。必要な備えと分かってはいても、今すぐ必要というわけではないし、専用品は高価な場合も多く手が出しづらい。そこで、普段使いを兼ねて取り入れたのが「CARRY THE SUN®」だ。日常で無理なく、むしろ積極的に使用したいと思えるあたたかな灯りを紹介したい。

いつでも・どこでも・だれにでも使える太陽の光「CARRY THE SUN®」

「CARRY THE SUN®」は、太陽光を当てて充電することで最長72時間点灯することができる折り畳み式の軽量LEDランタンだ。使用時にはサイコロ型だが、充電時や携帯時には厚さ1cmほどに折り畳める特殊なつくりになっている。使用時には上下のベルトを引っ張るだけで形が復元するので、あとはスイッチを押すだけというシンプルな構造。

ベルトを両手で引っ張ると空気で膨らむ。紙風船を彷彿とさせる原理とフォルムだ

畳めばぺたんこに。ベルトにフックを付ければ持ち運び時に充電することもできる
ソーラーライトというと弱々しくて実用性の低い灯りのイメージがあるかもしれないが、最大100ルーメンの明るさで空間全体を照らしてくれるので、暗い夜道にも心強い明るさだ。乾電池式と異なり、太陽光がある限り電池切れの心配もほとんどなくゴミも出ない。

水濡れも安心な防水性能を兼ね備えているので、屋外でも気にせず使用できるのもありがたい。糸を織り込んだ丈夫なヨットセイル生地が使用されており、薄型・軽量で利便性が高いためにキャンプや登山で使用する人も多いという。

生地に編み込まれた糸は網目状の光の模様を作り出し、万華鏡の中を覗き込んだようなキラキラが部屋いっぱいにふわりと広がる。空間演出の間接照明としても美しいのだ。

光のキューブを重ねれば、複雑な光彩がつくりだす幻想的な空間がひろがる

IP67を取得している防水仕様と熱くならないLEDだから、水が掛かっても落としても安全なのがうれしい
実用性とデザイン性を兼ね備えた「CARRY THE SUN®」は、普段用・防災用・キャンプ登山用と分ける必要がなく、いつでも使える頼もしさのあるプロダクトだ。

「すべての夜に太陽を」モノづくりに懸けた想い

「CARRY THE SUN®」が生み出されるに至ったきっかけは、1995年に発生した阪神・淡路大震災にさかのぼる。発売元のランドポート株式会社代表の傳馬 綾(デンマ アヤ)さんの神戸の実家が被災したのだ。震災翌日に駆けつけた傳馬さんが目の当たりにしたのは、真っ暗闇に包まれた街。インフラが寸断され、闇とともに恐怖が押し寄せるなか、ひとつの明かりが不安な心を和らげてくれたという。「灯りは明るさを得るだけでなく、怖さを和らげて安心できる効果があると思ったんです」と傳馬さんは語る。

それから灯りの開発に着手するわけだが、ランタン型にしたのにも理由がある。懐中電灯のような直線状の明かりは、照射範囲外の闇を濃くするため恐怖が増長される。だからこそ明かりで自分を包み込み、周囲の安全を確認して安心できるランタン型の灯りにしたのだそう。

辺り一帯を光で包むランタン型なら、暗闇にひそむ恐怖と不安を穏やかにしてくれる

拠点に設置すれば、馴染みがない場所でも自分の居場所ができたようで安心できる
ではなぜ本プロダクトのような特殊なつくりなのかといえば、それまでの商品開発にも見られる傳馬さんのモノづくりへの想いがあるように思う。もともとはパソコン周辺機器やデジタル機器などの販売を行っていたものの、機械に詳しくない人でも使いやすいようにとユーザーフレンドリーな商品を開発していた。知識や環境に関わらず「だれでも使える」シンプルな使い方を追求するスタイルに、災害時など緊急時にも対応できる「いつでも・どこでも」使える性能が組み合わされたのではないだろうか。

夜中に起きてしまったときも、やさしい明かりが足元を照らしてくれる

ベッドサイドで使用しても安全。停電した避難所では抱いて眠る子どもも多いという
避難所などで使用するユーザーの声を取り入れながら、「不安なときは一晩中抱いて寝られる安全さ」「周囲の迷惑にならない明るさに調整可能」「誤って蹴飛ばしても人も製品もダメージのない軽さと素材」などを叶え、「太陽を持ち運ぶ」と名付けられた本プロダクトが完成した。

灯りを求める声に応えながら、地球への配慮を続ける

ランドポート社では、災害に見舞われた人々やアフリカ・アジアを中心とした電気のない生活を送っている人々に灯りを届ける「Buy One Give One®」という取り組みを行っている。

公式サイトで販売されている通常モデルに加え、支援を行っている被災地や電力インフラのない国内外の地域の名前を冠した支援モデルが購入された数と同数の「CARRY THE SUN®」をランドポート社が寄付する仕組みだ。つまり、通常モデル・支援モデルを問わず公式サイトを通して購入するだけで、明かりがなくて困っている誰かへの支援ができる。さらに支援モデルであれば商品を自分で受け取らずに寄付品として送ることも選べるので、合計で2個を寄付することもできる。最も利益率が高いであろう公式サイトにおける販売個数と同じ数を各地へ送り届けるという利益を度外視した姿勢には、ただただ頭が下がる思いだ。

そうして集まった「CARRY THE SUN®」は、ランドポート社スタッフ自らが直接現地へ届けているというから驚きだ。考えてみれば至極当然だが、電気インフラが整っていない地域ということは、流通が滞るために配送も困難を極める。であれば直接届けた方が安全かつ確実なのだという。

「CARRY THE SUN®」は、届いた瞬間から現地で役立つ生活用品。日本で充電された太陽の光をおすそわけ
傳馬さんは自らが現地へ赴く理由を「なにより現地の人がどんな風に使っているかを知れるから、というのが大きいです。どんな家で、どんな生活をしていて、どう使われているのか。寄付してくれた方々により深く実感してもらいたいから、現地のありのままを経験して“生の声”を伝えたいんです」と話す。

2023年には「一緒に届けに行きたい」というユーザーの声をきっかけに、寄付者とともに難民キャンプへ「CARRY THE SUN®」を届けに行くツアーを開催。スーツケースに「CARRY THE SUN®」をパンパンに詰め込んで、1週間ほどかけてタイ・ミャンマーの国境地域をめぐり、現地の方々へ手渡ししてきたのだという。参加された方にとっては、寄付の枠を超えた経験となったことだろう。

灯りがあれば、夜道も安全。明るいなかでの食事や勉強も叶う
買うだけで支援につながる「Buy One Give One®」の取り組みについて、ユーザーからの「新しい支援の形を与えてくれてありがとう」という声が多いのも頷ける。お金だけに寄らない支援の形であり、それ以上に遠い国や地域との交流の形を提供している。


自然とともに生きていること、遠くに住む隣人への応援の気持ちを実感できる

「CARRY THE SUN®」は、お金ではない寄付や応援の形を探している人や、人や地球にやさしい暮らしをしたいとモノ選びをしている人にもうってつけのプロダクトだ。

寄付金を渡すだけだと、その後どのように活用されたかは実感しにくいもの。認証マークが付いた商品を選んでも、どんな意味があるのかを実感として得るのは難しいだろう。だからこそ、ランドポート社では支援をしてくれたユーザーの行動がどのように人の役に立っているか、喜ばれているかをよりダイレクトに感じられるようにと現地の様子を公式Instagram・FacebookとHPで公開しているほか、メールマガジンで配信している。

自分のしたことが誰かの笑顔につながっていると実感できると、心がぽっとあたたかくなる
日本から飛行機で数時間ほどの近隣諸国のなかにも、様々な事情で電気がない生活をしている人は大勢いる。不安に思いながら夜道を歩いたり、勉強ができずに困っている。太陽光だけで長期間使用できる灯りがあれば、解決できることも多い。

そういった現地の状況を深く理解する機会にしてもらうだけでなく、自らの行動が人の役に立っていると実感してもらうこと。そして、「CARRY THE SUN®」を使うたびに「いいことをした」と思い出されて心があたたかくなる体験をしてほしいのだという。

人の営みとともにある自然。ほどよく肩の力を抜きながら、今あるものと大切に向かいあいたい
「CARRY THE SUN®」には、気軽に太陽光のエネルギーを暮らしに取り入れられる側面もある。傳馬さんは「太陽がないと充電できないソーラーランタンだからこそ、太陽が出ているか空を見るはず。少し不便だけれど、それが自然。自然を感じ、自然と生活していることを考えるきっかけにしてほしい」と語る。お子さんが「太陽が出ているんだから充電しないともったいないよ」と親御さんに声をかけるご家庭もあるそうだ。

晴れた日には、日光浴を。ランタンと一緒に空を眺めて風が吹くのを感じれば、自然とともに暮らしていることを思い出す

太陽の光は、自然のなかに溶けこむように美しく灯る
便利な機械があふれ、ついパソコンやスマホの画面ばかりを眺めてしまう日々にあってはつい忘れがちになってしまうが、山や海に行かずとも自然はいつもそこにある。太陽光パネルといった大きな装置を取り入れるのは大変でも、手のひらほどのランタンならすぐにでも生活のなかに自然を取り入れられる。

どこか遠くに感じてしまっている「同じ世界に生きている人・自然とのつながり」を、ふだんの暮らしのなかでも感じることができれば、自分の心もぽかぽかと温かく感じられるはずだ。

いつでも・どこでも安らぎを与えてくれる小さな太陽を手元に

日本に住む以上、自然災害に見舞われる可能性はいつもある。だからこそ、変わりなく日常を過ごせる環境と自然のエネルギーに感謝し、遠くの誰かにもおすそ分けをしたい。いつか我が身に災厄が降り掛かってしまったときには、いつもどおり使い慣れた明かりを灯す。「CARRY THE SUN®」が照らし出す空間だけは、日常であり続けてくれるだろう。

おやすみ前の時間は、やわらかな光でゆっくりと過ごしたい

防災リュックの隙間に入れておけば、身の安全を守ることも安心を得ることもできる
不安な気持ちに苛まれる夜でも、やさしく光る灯りが手元にあれば、気持ちも明るくなるはずだ。どんなときにも変わらず照らしてくれる小さな太陽を手にとってみてほしい。

CARRY THE SUN®

Warm Light / Cool Bright

https://carrythesun.jp/pages/product

Mediumサイズ :4,400円 (税込)
Smallサイズ :3,300円 (税込)