Vol.86

MONO

06 DEC 2019

思い出はアナログで。旅人のための「トラベラーズノート」

旅の記録を、どのように残しているだろうか。デジタルカメラやスマートフォンで、という人が多いだろう。しかし意外と、撮りっぱなしになっていて振り返る機会がなかったりするのでは。デジタルは簡単に旅を記録できる反面、記憶からこぼれ落ちるのも早い。デジタル時代だからこそ、あえてアナログで。そんな時に使ってみたいユニークなアイテムが「トラベラーズノート」だ。旅をどう可視化し、再定義してくれるのか。

コンセプトは「毎日を旅するように過ごしたくなるノート」。

同じノートはひとつもない

トラベラーズノートは、牛革素材のカバーとノートリフィルの2つをベースに、しおりやチャーム、マスキングテープ、スタンプなど、さまざまなオプションで自分仕様に自由にカスタマイズできるアイテム。カスタマイズしやすいようにと、カバーとノートリフィルはあえてシンプルなつくりにしてある。

ステーショナリーメーカー、デザインフィルが展開するブランド「トラベラーズカンパニー」のメインアイテム。「旅するように毎日を過ごす」がコンセプトのノートは、ブランドマネージャーの飯島淳彦さんのチームが生み出した商品だ。

「トラベラーズノート スターターキット」4,400円 (税込)。内容は、外箱、コットンケース(布製)、カバー本体、ノートリフィル、スペアゴムバンド。

カバーのカラーは、黒、茶、キャメル、ブルーの4色が基本。パスポートサイズもある。
タイのチェンマイで手作りされている牛革カバーは、使うほどに味わいと風合いが増していく。ノートリフィルは書くのが楽しくなるようにと、書きやすさにこだわったオリジナルの筆記用紙を使用。レギュラーサイズは、マップやチケットが挟みやすく、手に携えて持ち歩くのにちょうど良い大きさを追求している。

経年変化を楽しめる革製のカバー、用途や表現によって複数の紙質から選べるノートリフィル、豊富なオプションで、自分で“育てて” いける。普通のノートもカスタマイズできるが、やはり自由度が高く、選ぶ楽しみが多いほうがおもしろい。旅好きが、旅好きのために考え抜いたノートなのだ。

クラフト紙、画用紙、軽量紙など、ノートリフィルの紙の種類も色もバラエティー豊かにそろっている。色鉛筆、水彩絵の具など、好きな画材で自由に楽しめる。カードやチケット等を入れられるポケット付きリフィル等、ユニークなものも。

旅先に持っていって、写真を撮る代わりに腰を据えて絵を描くのもいい。

描くだけでなく、旅先のチラシや落ち葉を貼ったり、挟んだりしてもいい。ルールはない。シンプルなつくりだからこそ、クリエイティビティが広がる。

世界中の旅人も、隣人も、トラベラーズノートでつながる

誕生は2006年3月。13年間で、すっかり旅人達のおなじみになった。目にしたことや名前を聞いたことがある人もいるだろう。今やACE HOTELや台湾の誠品書店、スイスのナイフメーカーVictorinox(ビクトリノックス)、tokyobike、東京メトロなど国内外のブランドや企業とコラボをし、30カ国以上の国や地域で販売されている。

特にスペインのマドリードでは、取り扱い店舗が増えていることをきっかけに、取り扱い店舗でノートに関連した展示イベントやワークショップを開催したほか、各店舗をめぐるスタンプラリー、街なかのオススメのスポットをまとめたオリジナルマップの配布などを行い、大いに盛り上がったとか。

海外にも愛用者のファンコミュニティがつくられ、SNS等でノートを見せあい、カスタマイズのアイデアを共有しながら、お互いのクリエイティビティを刺激し合っているという。

東京メトロとのコラボ商品。
発売元である株式会社デザインフィルのスタッフ達もまた、トラベラーズノートを愛用するコミュニティのひとつ。広報の中村雅美さんに聞くと、「旅先の食べ物や風景の絵を描いたり、スタンプを押したり、写真やかわいい紙モノを貼ったりと、思い思いの使い方を楽しんでいます。旅先に持ち歩ける水彩絵の具のセットやお気に入りのペンを持ち歩いているスタッフもいます。お店にはオリジナルのチャームやクリップもありますが、自分のお気に入りの小物をチャームにしたり、ステッカーを貼ったりして、ノートをカスタマイズしている人もいますよ」とのこと。

中村さん自身の使い方を尋ねると、一人旅、二人旅で、違う楽しみ方をしている様子。

「夫婦で旅行に行くときに、画用紙のリフィルを見開きにして、同じ風景やモチーフの絵をそれぞれ即興で描いて楽しんでいます。左ページは夫、右ページが自分というように。同じものを見ても、心に留まるポイントが違っていて、タッチも構図も全く違うものになるのがおもしろいです。一人旅に行く時も、以前は写真を撮るだけだったのが、今は帰国後に思い出に残ったことを水彩イラストで描いています。見返すのも楽しく、旅がいっそう豊かなものになりました」

左が中村さんの夫作、右が中村さん作。同じものを描いても、まったく印象が異なる作品ができあがった。
自分自身のために旅の思い出を可視化するだけではない。他の誰かと旅で得たものや印象に残ったものごとを共有して楽しんだり、一緒に旅をした人との感動を可視化して語り合ったり。思いを伝え、互いの理解を深める、そんなきっかけにもなるのではないだろうか。

マイ・トラベラーズノートと旅に出た

さっそく筆者も、トラベラーズノートと旅に出た。選んだのは、4色の中でも特に経年変化を楽しめそうなキャメルのカバー。海外旅行に連れて行った時に海外の人と会話のきっかけになればと、富士山モチーフ、東京のプレス工場で職人が刻印した真鍮製のブラスタグをチャームとして付けた。

行き先は、栃木県益子町の「益子陶器市」。さて、どんな一日になるかな。

日常使いを考慮して、ペンホルダーも購入。

大通り沿いなどに、益子焼や食べ物を扱う店が所狭しと並ぶ。窯元の職人達と会話を楽しみながら物色。

大きな窯の見学も楽しい。
買い物をしたり、窯の見学をしたりして一日を過ごした後、宿に戻ってトラベラーズノートを開く。日中は何を書こうか迷いそうだと思っていたものの、意外とテーマはすんなりと決まった。この日で一番自分自身がうれしかったのは、数多くのなかからお気に入りの器に出合い、購入できたことだ。

出来上がったトラベラーズノートの1ページがこちら。益子陶器市で出合ったユニークな器や、購入した器と出合ったときの感動を忘れないようにしたいと思いつつ作成。
この形にした旅の思い出を、誰に伝えようかと考える時間も楽しい。

日常の中にも旅を

「旅にはもちろん、日々の生活でいつも持ち歩くことで、旅するように毎日を過ごしてほしいです」と中村さん。

トラベラーズノートが定義する“旅”とは、何も特別なものではない。日常も旅するような気持ちで過ごせば、毎日の生活の風景が違うものに見えてくる。日常という旅から、非日常の旅まで。ノートにつづる“旅”に制限はない。

中村さんは、仕事用にも1冊を持っているという。「案件によってノートリフィルを日々の気分で変えたり、表紙はシンプルにしつつ、中身はマスキングテープなどで遊びを加えたり。トラベラーズノートを使うことで、仕事の中にもちょっとしたワクワクを感じられます」。

デジカメやスマートフォンの写真は色褪せずに残るが、記憶は色褪せていく。
筆者のキャメルの牛革カバーが飴色になり、傷が増え、貼った映画館のチケットや美術展のチラシなどでページが厚みを増し……。そんな1冊が出来上がる頃、一体どんな自分になっているだろうか。これからトラベラーズノートで日々を刻んでいくのが楽しみだ。

旅にはいろんな出会いがある。でも、そのすべてを覚えておくことは難しい。ならば、一番印象に残ったことや忘れたくないこと、得たばかりのみずみずしい感情を整理して、残しておくことが大切なのかもしれない。

トラベラーズファクトリー TRAVELER’S FACTORY

TRAVELER’S FACTORY NAKAMEGURO (Flagship shop)
住所:東京都目黒区上目黒3-13-10
営業時間:12:00-20:00
定休日:火曜日

TRAVELER’S FACTORY AIRPORT
千葉県成田市成田国際空港 第1旅客ターミナル 中央ビル 本館4階
営業時間: 8:00–20:00
定休日:なし

TRAVELER’S FACTORY STATION
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東日本東京駅構内地下1階 改札外
営業時間:10:00-22:00(日・祝日は21:00まで)
定休日:なし


ONLINE SHOP:https://www.tfa-onlineshop.com/

公式サイト:https://www.travelers-company.com/